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まむおの小説シリーズ

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私が書いた小説をまとめました。
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#クリスマスプレゼント

赤いシグナル

辺りの音が聞こえなくなった。こんな日は、様々な模様の結晶がゆらゆら降りてくる。 私は、お気に入りの毛糸の帽子とエンジ色のマフラー、チェックのコートを身に着けて立っていた。北国の寒さは顔を凍らせる勢いで、頬を真っ赤にさせる。 時折、突き刺す風がやって来ようものなら、風上に背を向けて、何とか耐え忍ぶ。それでも、心までは冷え切ることはない。 雲に覆われて遠くから見える街の灯りが点々と輝いている。小さな宝石箱みたいだ。 幼い頃、私が大事にしていた宝石箱には、鍵が掛けられるよう