Public Affairsとエンジニアが生み出すビッグバン ~生成AIのルールメイキング~
こんにちは!「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションに、医療プラットフォームを提供しているUbie株式会社の島津真夢(mamu)です。Ubieに入社して早いもので1年半が過ぎました。これまで事業開発を担当していましたが、今期からPA :Public Affairsチームにジョインし、前職(総務省)での経験を活かしたルールメイキングに関わるお仕事をしています。
この記事は#Ubie Acceleratorアドベントカレンダー21日目にエントリーしています。特に、テック系企業のPAってどういうことしてるの?エンジニアから見たとき、UbieのPAってどういう存在なの?が気になる方にこの記事が届けばいいなと思っています🎁
生成AIとPublic Affairs
昨今になってChatGPTをはじめとする生成AI(Generative AI)の技術が目まぐるしく広がっています。生成AIはヘルスケア領域でもその活用が注目されており、最近では弊社プロダクトでも生成AIを活用した要約機能をリリースしました。
Ubieでは社内用ChatGPTツールも開発・導入しており、職種・チームにかかわらず、生産性向上・業務効率化のために多用されています。かくいう私も検索エンジンで調べるよりも先に社内用ChatGPTツールでプロンプトを入力する習慣がついてしまい、まるでいつでも気軽に対話してくれる先生がそばにいるかのようです。
最新技術をプロダクトと掛け合わせて提供するニーズが高まる一方で、事業者側として気になるのが「既存の規制の中でどういう論点を気にすればいいの?」「なにを確認してOKであれば安心してプロダクトが提供できるの?」という点です。せっかく良い技術があるのに事業者として守るべきポイントが分からずプロダクト提供に踏み出せないのももったいないですし、逆にわからないまま提供を開始して規制や制度に抵触していた、ということもあってはなりません。
このような中、時を同じくしてUbieが所属している業界団体である日本デジタルヘルスアライアンス(通称「JaDHA」)では、利用者が適切にヘルスケアアプリを選択できる環境づくりを推進するために、生成AI活用に関する検討を開始することになりました。新しい領域でのルールメイキング、まさにまっさらなキャンバスに絵を描いていくような、そんなワクワクと新鮮味を感じてのスタートでした。
スタートダッシュでのつまずき
ありがたいことにUbieは生成AI活用の検討を行うワーキンググループのリーダー企業として全体のリード・統括を担当することになりました。しかし、議論を開始すると思わぬ壁がありました。それは、「最新技術である生成AIに関する専門用語や技術それ自体など、テクニカルな領域がまるで分からない」という点です。例えば、「エンベディング」「フューショットラーニング」「グラウンディング」といったように最後に「グ」がつく用語でも意味が違う言葉がたくさんあります。ネットで調べてもカタカナまみれの説明ばかりでまるで頭に入らず。また、私自身は機械学習エンジニアではないため、「技術的にこういう工夫が望ましい」という論点に対して「本当にそれは実行可能なのか」といったフィージビリティや肌感覚がわからない。論点整理やアウトプットについては、エンジニア以外の各社PAやBizdev領域といった生成AI初学者が見てすぐ理解できるような手軽なものにしたいのに、専門用語を誰でもわかる言葉に翻訳できない。作成当初でたくさんの段差につまづいてしまいました。
すぐそばにエンジニアがいるUbie
そこで弊社内のエンジニアの力を借りることにしました。
①レビューをラフにもらう from 社内エンジニア
まず論点整理などのアウトプットについてUbie内エンジニアに読んでコメントをもらうようにしました。エンジニアは○○チームにいるエンジニア、と限定はせず、社内で生成AIについて主にエンジニアが議論しているチャンネルに展開しました。すると機械学習エンジニアやデータサイエンスを専門領域にするエンジニアがどんどんコメントを付けてくれた結果、2~3日で約30件のコメントやアドバイスが!このように別のチームにいても自分事のようにアドバイスや意見をくれるエンジニアがいる環境は自分にとって非常にありがたかったです。
②壁打ち with 社内エンジニア
Ubieではどのチームでも「壁打ち文化」が根付いています。今頭にある内容を話をしてみて感想や雑談を言い合うことで頭の整理やアウトプットの方向性を形にしていく時間です。私の場合も、①でもらったコメントの意味がまったくわからない・・ということも少なからずあったので、コメントをくれたエンジニアに30分だけラフに雑談する時間をもらったりしました。「これってこういう理解であってるかな?」「こういうわかりやすい言葉に置き換えたらどうだろう、誤解が生まれるかな?」そういったコミュニケーションをすることで、生成AIの難しい技術はこういう例えにすれば分かりやすいかも、といった発想につながりました。
③そぼぎ発信 to 社内エンジニア
UbieではSlackで個々人に「times」というチャンネルを作り仕事やプライベートのことを自由に発信できる環境があります(社内版Xのようなイメージ)。議論のとりまとめをしていると、あれ?この言葉の定義とここで使われている言葉は違うけど同じことを表してる?といった細かい論点や気になりが出てきますが、こういう素朴な疑問(Ubieでは頭文字を取って「そぼぎ」と言ったりします)を自分のtimesで発信したりしていました。もともと後で調べるto doメモ目的だったのですが、その投稿に気づいたエンジニアが「その言葉の定義は一般的には○○だけど、△△といった意味で使ったりするよ。」と反応してくれたりするので、「それならどこかで定義をちゃんと作らないとな~」といった新しいアイデアや、より一層理解が深まるきっかけになりました。
ヘルステックスタートアップUbieのPAとは
このようにたくさんのエンジニアメンバーに支えられながら生成AI活用についての検討を進めてきましたが、振り返ると、もやがかかっていた目の前がいつのまにかクリアな視界になっていたという感覚で、同じチームかどうか関係なくすぐに手の届く距離にエンジニアがいて気軽に相談できる環境がとてもありがたかったです。(この場を借りて、今期助けてくれたエンジニアメンバー、本当にありがとう!)
PAは官公庁対応やロビイングといったイメージが強く、会社の事業や技術といった分野からは一見遠そうな印象かもしれませんが、こうやって優秀で優しいエンジニアとコミュニケーションを取りながら、ルール形成と事業をつなぐのがUbieのPAとしての重要な役回りであり、おもしろいポイントだと思っています。
「こういう障壁があるから○○ができない」「○○をやってみたいけど誰もやったことがない」、そんな領域に対して制度を活用したり、規制を守りながらやりたいことを実現していくことで、生活者や社会にとって健康で過ごしやすい環境を提供していく。UbieのPAは、プロダクト提供とは違う形で、社会やヘルスケア業界をより良くする形の活動をしているととても実感しています。引き続き頑張っていきたいです!
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