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第18回ショパンコンクール予選:Alexander Gadjiev(日本時間10/6(水)18:30)

今回のショパンコンクールで一番楽しみにしていたアレクサンダー・ガジェヴさんの登場です。

このリサイタル以来、どれだけ今日を楽しみにしていたか。リアルタイムで聞きます!

☆Etude in C sharp minor Op. 25 no 7

緩徐楽章的な性格の作品。左手の旋律のカンタービレな奏法と、右手の内・外声の弾き分けが課題となる。ショパンは、先立つ《練習曲》Op. 10の第5番〈黒鍵〉でも行ったように、この作品でも黒鍵上での親指の使用を認めている。この作品でいえば、特に12小節目の右手の内声dなどにみられるように、内声をよりレガートに演奏するための工夫であると考えられる。
左手の旋律は、チェロのような温かみのある音色で、情緒的に歌われる。右手の旋律は、基本的にこの左手の主旋律に応える形で、左手の模倣を奏でる一方で、時折左手が装飾音を奏でる際には主導的立場をとる。右手内声は、八分音符による重音を奏で、緩やかなニュアンスの移ろいを表現している。


☆Etude in F major Op. 10 no 8(リサイタルアンコール曲)

右手の16分音符のパッセージの練習。順次進行、跳躍の入り混じるこの音型は、スラーを伴い、下行、上行を頻繁に繰り返す。一方で、左手はバス音と付点リズムを伴い、より躍動的なパートを担当する。
A(1~28)B-(29~59)-A(60~73)-Coda(74~94)の三部形式。中間部(29小節目以降)は一時的に、平行短調であるニ短調で冒頭主題を提示したのち、両手で16分音符のパッセージへと展開していく。コーダでは、まず、右手は16分音符のパッセージを続け、左手は、内声に新しい旋律を伴い、左手と右手の性格は対照的になるが、最終的に両手のユニゾンで煌びやかに終わりを迎える。

☆Etude in B minor Op. 25 no 10

A部分(1~29小節)は、両手のオクターヴのユニゾンの練習となっている。重くのしかかってくるような順次進行が特徴的となっており、その音響効果を出すためのペダルの効果的な踏み方や、腕の重みの掛け方の追究が要となる。3拍子になり、ロ長調へと転調するB部分(30小節~)の右手は、Aと同じオクターヴで旋律を奏でるが、その性格は一変し、穏やかで優美になる。左手は内声と外声に分かれ、時折内声が右手旋律をユニゾンでなぞる。同じ下行音型が14小節繰り返される移行部を経て、Aに回帰する。

☆Ballade in F minor Op. 52

《バラード》第4番は、物語的な起承転結の構成や、終結に向かって突き進む推進力よりも、抒情性に満ちたいくつかのセクションを並列している点で、他の3曲とはやや傾向を異にする。とりわけ冒頭の8小節、それに続く主題は、その旋律自体がどこから始まりどこで終わるのかぼかされ、おだやかな和声リズムに乗って永遠に続くかのような印象を与える。しかしやがて、この主題が変奏され、そのたび激しさを増してゆくと、この主題にまつわる「物語」をはっきりと追うことができるようになる。この曲には他の3曲に見られるような単純明快な起承転結、常に期待通りに落ち着くカデンツ、胸のすくようなドラマ性といったものが判りやすく埋め込まれてはいない。表面に見て取れるのは、ただ揺れ動き、収縮しながらも徐々に気分を高揚させるような主題配置だけである。きわめて抒情的なバラード、とは形容矛盾に聞こえるが、この作品がバラードの最高傑作と呼ばれるなら、それはやはり、物語性と抒情性の見事な結合にこそ理由があろう。

Etiuda cis-moll op. 25 nr 7  /  Etude in C sharp minor, Op. 25 No. 7 (46:57)
Mazurek C-dur op. 56 nr 2  /  Mazurka in C major, Op. 56 No. 2 (52:21)
Mazurek c-moll op. 56 nr 3  /  Mazurka in C minor, Op. 56 No. 3 (53:58)
Etiuda e-moll op. 25 nr 5  /  Etude in E minor, Op. 25 No. 5 (59:47)
Etiuda a-moll op. 25 nr 11  /  Etude in A minor, Op. 25 No. 11 (01:02:57)
Ballada f-moll op. 52  /  Ballade in F minor, Op. 52 (01:07:09)


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