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みんな違ってどうでもいい

 「みんな違ってどうでもいい」

 最近私が感銘を受けた言葉の一つであり、受け入れ難い言葉だ。釈然としない想いがこの一言に凝縮されている。自分とは関係のない他人の生き方や有り様を否定している者を見るたびに、一体何で何を満たせているのだろうと疑問に思っていたし、自分自身もそういう者達の人間性を否定しようとしていた。そして、そういう私の他者に対する疑問や苛立ちさえこの言葉の上では不要なものなのだと気付いた。私が「みんな違ってどうでもいい」と考えられる者ならば、そう考えられず他者の批判ばかりしている者の事さえ「どうでもいい」と感じているはずだ。冷静に考えてこの言葉を用いて何かを風刺する事は矛盾している。ついに私は沈黙する事しか出来なくなる。沈黙は肯定ではないが、沈黙を貫く限り反論する事は出来ない。誰かが他者に意見する事でやっとバランスが保てるのだ。そうやってグレーゾーンにあるものを仕分けているのだろう。
 結果的に私はこの「みんな違ってどうでもいい」という言葉を用いて場合によっては何者かの発言や行動を批判していくのだろうと感じているし、その矛盾は不完全な人間によって構成される集団社会のクセを削り落としバランスを保つのに必要だと思っている。

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