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弁護士とFIRE・アーリーリタイア①~種銭作り前編~


 弁護士登録前から資産を形成して労働から解放されたいと志していたまもるくんです。弁護士としての志は低め安定です。これから、私を含む一部の弁護士が欲してやまないFIRE(Financial Independence,Retire Early/経済的自立の達成と早期引退)について何回かに分けて書いてみます。なお、私はFIREとアーリーリタイアは同じようなものだと思っていますが、私の思考は節約の概念が入っている点でFIREに親和性があると感じているので一応FIREに統一します。
 まず、FIRE実現のためには、戦略、意思の力、良き習慣を身につけることなどが必要です。私の推奨する方法は、難しいとまでは言えません(少なくとも私にとっては司法試験よりは容易でした)が誰にでもできることではないので、「こんなのできないよ」という方もいらっしゃるかと思います。その場合には私の個人的な見解など無視してご自身のやり方を見つけてみてください。ただひとつ言えるのは、弁護士登録後15年以内、20年以内で登録抹消しても生活に困らない状態を実現するのは普通のことではありません。その普通でないことの実現可能性を高めるには戦略に基づいた正しいやり方を踏まなければならないということだけは認識していただいた方がいいかと思います。


1.一番大事なのは種銭作り


 私は、FIREに一番重要なのは何かと問われれば迷い無く「種銭作り」であると回答します。種銭がないと話になりません。種銭の作り方は親族からの贈与でも相続でも宝くじでも何でもいいのですが、大多数の人は若いころにそういった機会に恵まれることはないし期待すべきでもないので、結局自分で種銭を貯めるということになります。
 そして、私は大多数の人が通る道である「自分で種銭を貯める」ことが王道であり最も素晴らしいと考えています。これは「自分で資産を形成した人の方が尊い」などいった日本人的発想とは関係ありません。種銭を作る過程には、控えめに言ってFIREに必要な要素の7割以上が含まれているからです。自らの意思と努力で種銭を作ることができた人はFIREにとって最も重要な要件を満たしたと言えるのです。


2.いくら貯金するのか(500万/1000万)


 貯蓄が50万円、100万円くらいのうちからその大部分を利用して投資を始める人は少なくありません。そのうちのごくわずかな一部は大成功し、一部(多数派ではないが成功者よりはずっと多い)は失敗して債務整理せざるを得なくなり皆様のお世話になるわけですが、大多数の人はちょっと増えたかちょっと減った程度になることが多いです。そもそも貯蓄の全部を投資に回せるわけでもありませんので、蓄えが少ないと種銭はもっと少なくなります。仮に種銭が50万円だとすると、年1回の複利計算で20年経過後の金額は以下のとおりとなります。


年利5%→ 132万6649円  年利10%→ 336万3750円


 それなりの数字ですが引退にインパクトを与える数字にはなりません。そのため種銭が少ない段階で投資により充分なリターンを得ようとすると極端なハイリターンを指向せざるを得ず、FX、信用取引での個別株投資、マイナーな仮想通貨、先物、種銭が少なくても可能な形態の一部の不動産投資などのハイリスク投資に手を出すことになります。私は自分と同じ職業の仲間である弁護士に経済的自由のきっかけを見出して欲しいと思っていますがギャンブルをして欲しいわけではない(もっと言えばFIREの試みが失敗してもそこそこ働いてそこそこ豊か暮らせるような人生を送って欲しい)ので、ハイリスクハイリターンはお勧めしません。貯蓄額が少ないうちからの投資自体は否定しませんが、それはあくまで練習だと思ってください。
 前置きが長くなりましたが、まずは投資を始めるための貯蓄額です。私はこの額を、少なくとも500万円、できれば1000万円と考えています。そして、このうち半額程度を現預金として残し、その余を投資に回します。つまりスタートの金額は250万円とか500万円になります。ある程度の現預金を残すのは、そもそも生活の安定のためにある程度の現預金の支えが必要であるのと、人格の破綻したボス弁とケンカして即座に退職等したくなったときなどの生活防衛のためです。個人的には最低でも生活費の1年分、できれば生活費の2年分を現預金として確保した上でその余を投資に回して欲しいのですが、そこまで我慢できる人はごくわずかなので上記のような数字にしています。


3.収入を増やす


 貯蓄する方法は、投資を除けば収入を増やすか支出を減らすかしかありません。これは入った事務所や企業で事情が違いすぎますし、私は弁護士として収入を増やすことにかけては甘く見てもせいぜい二流の上の方くらいであって多くのことを語れませんので、最低限のことだけ書きます。
 まず、それなりに個人受任ができるいわゆる街弁としてキャリアをスタートさせた場合、個人受任ありの事務所では、一般的には自分でとった事件の売上げは2~3割を事務所に上納し、あとは自分の取り分になります。そのため個人受任を増やすことは収入増に直結します。

https://twitter.com/kumanomi_hatago/status/1352447166887813121

 上記は以前ツイートした私のイソ弁時代の収入です。個人受任の売上げがイソ弁1年目から1000万近くあって最終的には2000万円を超えていました。これはかなり良い方だと思いますが、個人受任が500万円くらいあればそれなりの貯蓄は可能でしょう。この場合、事務所からの給与だけで生活費を工面し、残りを全部貯蓄する方法が考えられます。私は当初これに近い方法をとっていました。
 一方で、個人受任禁止の事務所ではこの方法は使えませんし、いわゆる四大・五大等の大手事務所やインハウスですと特に登録して数年は個人事件の機会などはあまりないでしょうから、収入を増やす手段は限定されています。もっとも、大手事務所であれば事務所からいただける収入そのものが良いはずなのでさほど問題ではありません。一方で給与が高くなく個人受任もできない場合、収入増加の手段としては一般的には副業が考えられますが、特に弁護士登録直後に弁護士業と全く関係ない副業に手を出してもいいことはありません。若手時代の貴重な時間・・・勉強とOJTのための時間を別なことに使うことは将来を考えれば悪手でしょう。もちろん事務所移転や転職もあり得ます。今(令和3年4月時点)は売り手市場なので、遠慮せずどんどん試みてください。あなたの若さは有限なのです。しかしながら、事務所からの給与が少ない上に個人受任にあまり期待ができない、さらには転籍なども難しい場合(かなり限定されたケースのはずですが)には、短期的には支出をコントロールことのみに頼ることになります。

長くなってしまったので今回はここまでにして、次回は私が収入を増やすことより重視する「支出を減らす」ことを中心に書いてみます。


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