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弁護士とFIRE・アーリーリタイア⑤株式投資(インデックス)後編~

最近相場の上昇傾向(*この記事を書き始めたのは4/16でした。そこから少し落ちてますが暴落ではありません)にびびって利益の一部を確定させるも、結局全部売却するほどの確信はないし決心もついていないまもるくんです。今回は節目として今までの投資を振り返りつつ現状を整理してみます。

1.9年間の相場の特徴?など

私は9年ほどの間、インデックスと言いながらもちょろちょろと動かしていましたが、特に動かずに延々と一定のベンチマークに従っていた場合はどうでしょうか。2012.4に投資を始めたと仮定して、最も代表的な指数のひとつであるS&P500について、2021.3までの推移を見てみましょう。

上記サイトによれば、S&P500は2012.4時点で1385.82でしたが、2021.3時点では3972.89と3倍近くにまで上昇しています。個別株や仮想通貨ではなんてことの無い上昇率ですが、代表的なベンチマークであることから考えると驚くべき数字ですね。ただ積立投資は継続的に買っていくという性質上、そこまでの増加率になりません。この9年間は総じて上昇相場でありまして、積立投資がその真価を発揮するためには下落相場を挟む必要があるからです。

私は上記同時期にS&P500よりも成績の悪かった先進国(除日本)株式や新興国株式、先進国債券などに投資しており、それらは総じてS&P500一般足打法よりも低い利回りでした。ただ良かったのは、暴落とは言えないもののあらゆるアセットの数字が冴えなかった2015の年末に¥5,000,000を、同じく冴えなかった2018の年末に¥12,000,000をそれぞれ追加投資したことです。これによりその後の上昇相場の恩恵を相当程度受けることができました。積立投資がその真価を発揮する「下落相場を挟む」の条件をわずかながら満たしたわけですね。その内容は以下をご参照ください。

ただ、ここ数年の経緯を見て、「要は生活防衛資金などの現金ストックとか中途半端なことをせずにS&P500に全振りしてればよかったんだ!それで長期的には勝利確定だ!」などと結論づけるのは早計すぎます。現預金は、精神の安定のためにも人生のリスクに備える緩衝材としても絶対にある程度は確保しておかなければなりません。

前記のとおりここ9年、更に言えばリーマンショック発生後である2009からずっと上昇相場であり、結果として勝って当たり前(だった)に過ぎません。ですから私も含め、ここ10年程度で儲かった人の話はほどほどに聞いておきましょう。古い格言にあるとおり、「上昇相場では誰もが天才」なのですから。

2.現在の積立状況と今後の投資計画

2021.3時点の株式関連投資の状況は以下のとおりです。

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積立てとしては、①全世界株式/②先進国株式/③新興国株式の3つのアセットを、それぞれ毎月¥200,000ずつ、合計¥600,000買うことにしています。年間¥7,200,000です。ちなみに買っている商品は以下のとおりです。

全世界株式・・・eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)/eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

先進国株式(除日本)・・・eMAXIS Slim 先進国株式インデックス/ニッセイ外国株式インデックスファンド

新興国株式・・・eMAXIS Slim 新興国株式インデックス/SBI・新興国株式インデックス・ファンド

以上のアセットを見て「これはアセットアロケーションとしては失敗である、極めてできが悪い」と思う方がいるかもしれません。

・・・・・・・・・はい、はっきり言ってそのとおりです。なぜなら①全世界株式はその性質上かなりの額を②先進国株式が占めるので両者の値動きは非常に近しいものになり、③新興国株式も株式市場の連動性が高まった最近では①②にかなり似た動きを示すからです。上記の積立内容は、全世界株式90:新興国株式10とした場合や先進国株式70:新興国株式30とした場合とほぼ変わりありません。

私が積立てに関して上記のようなアセットアロケーションをとったのは、先日の利益確定により現金をかなり増やしたことが影響しています。つまり積立対象は株式が中心ですが、点としての現在の投資用資産構成からすれば上記の投資用資産の割合は株式60:現金40で、リスク資産の割合が特に高いわけではないのです。なお、私は家族持ちかつ経営者なので、生活防衛資金+相応の事務所経費(どちらも上記の表には反映されていない)をストックしておく必要があり、実際の現金割合ははるかに高いです。つまり、私自身は、「これから相場が上昇するかもしれないし下落するかもしれないが相場が冴えなかった時期と比較すれば下落する可能性は高いだろう」と考えて利益を確定させ、その上で積立投資(何度も言いますが真価を発揮するのは下落相場を挟んだときです)で積極的にリスク資産を仕入れることにしたわけです。

ですが・・・・・・・・・うーん、相場はこれからどうなるんでしょうね?個人的には一度暴落してもらってそのタイミングで現金を大量投入してみたいです。しかしこれだけ実体経済がぼろぼろなのに何もかもが値下がりしない状況からするともう今までの常識が変わってしまったようにも感じます。多少の調整局面はあるでしょうが資金を大量につぎ込むほどの暴落の機会はなかなかこなそうですし、どこが底かを見極めるのも困難でしょう。まあそのための積立投資ですからね・・・。

なお、その他の一般的なアセットクラス、たとえばREITや債券に投資しなかったのには一応理由があります。以下はあくまでも私なりの考えです。

REIT・・・大手不動産会社のゴミ箱だから。つまりREITの運用を「事実上」支配する大手不動産会社が通常の売買では売れない好立地・古い・高額のビルを現金化するする手段として使われている疑いがある。*海外はよくわかりません。
債券・・・長期的に見ると総じて株式より利回りが低く、積極的に組み入れておくメリットが薄い。

ただ先進国債券については、現時点では現預金(円)の割合が高すぎることもあって、外貨の代替として持っておくのはありではないかと思い始めています。

3.FIREできるのか?

さて、問題のFIREですが、私は生活レベルを過度に向上させることなくそこそこ堅実に生活していることもあって、既にFIREの資産要件(予定すべき生活費の25倍の資産を形成する)を満たしています。これまでに書いてきた株式投資だけでは及びませんが、私には別途不動産業(投資)があるからです。

ただ、これまでの株式投資の経過を見ていただければご理解いただけるとおり、不動産からの収入がなくても、ここ数年間同様に毎年¥7,200,000を投資する生活をこのまま続けていけばあと6年ほど、投資を本格的に始めてから15年ほどで¥150,000,000~¥200,000,000くらいの資産になるので、充分FIRE可能と評価できるでしょう。FIREの4%ルール、すなわち生活費を純資産の4%に抑えるというルールを遵守しても年間¥6,000,000~¥8,000,000のお金が使えるからです。仮にこれから市場が下落し投資結果が思うような金額にならなかったとしても、その下落程度に応じて1~3年長く働けば充分にカバーできます。

これでは足りないよ、という方は、もっと稼いで投資額を増やすことになりますが、必要生活費が増加すれば増加するほどFIRE達成は困難になります。年間で使えるお金が上記の額では足りないという事実は現在の生活に関するコストが相当高いことを示唆しており、それ故に収入に比して貯蓄率が低いと想定されるからです。もしあなたが「俺は月¥2,000,000、だから年間では¥24,000,000の生活費が必要だが所得はもっとずっと高くて生活費で使う他に毎年¥20,000,000~¥30,000,000積み立てられる。15年で¥600,000,0000の資産を形成してFIREできる!」というのであればそれはそれで素晴らしいことですが、この達成のためには億かそれに近い所得を15年間続けなければなりません。少なくとも本邦においては弁護士で所得億レベルは上位1~2%に相当する層であり、それを15年続けるというのは計画としては非現実的であるように感じます。というかそこまでの人はずば抜けた知性や行動力を備えているはずなので、日本のためにも我々の老後のためにも後世に名を残すくらい頑張ってその卓越した能力を使い切って欲しいです。

話が逸れましたが、弁護士の所得については、詳しくは以下のブログをご参照ください。

4.これからの問題(資産)

さて、私には弁護士を本業としながら株式投資をしている友人も不動産業(投資)をしている友人もいますが、私同様に株式と不動産を両方やっていて資産規模も似ている友人(仮に「あるちゅうくん」としましょう)がひとりいて、彼と一致している意見がいくつかあります。それは以下のとおりです。

①株は上がりすぎてしまってこれからの買い増しはちょっと怖い。

②日本の不動産は過熱気味で物件を買うのが難しい。*海外はよくわからない

③仕方が無いから売却を進めて利益を確定させ現預金を貯めるが次に投資する先がない(見出せない)

つまり投資に関しては、現在「次の一手」が見出せないでいるのです。FIREの資産的要件を満たしているんだからあとは現預金と債権を確保しておけばいいという考えもあるかと思いますが、FIREは本来資産からある程度のリターンを期待するスキームなので現預金が割合が多過ぎるのもあまりよろしくないのです。ただしこれは市場の様子を見ながらもう少し働いて資産を更に積み上げれば解決する問題ではあります。

5.FIREのための最後の試練

ここで私やあるちゅうくんにとって最後の試練が立ちはだかります。二人とも経営者なので、弁護士や事務員を雇用しています。自分がFIREしてしまうとこの人たちの雇用はどうなるの???という問題です。

まあイソ弁に対しては「アディオス!!!あとはがんばって!!!」だけで済む・・・かもしれません(済まないかもしれません)が、事務員はそうはいきません。弁護士登録抹消してしまえばそれは廃業なので雇用の法的義務が継続するかという問題はありますが、私にとってより重要なのは法的義務ではなくむしろ自分が資産形成したら他の人のことは知らないよ、と言い張る図々しさがあるかどうかです。こういう図々しさは、率直に言って私にはありません。いつ死ぬかわかりませんが、死の間際に、「私は若くしてお金を稼いで早く引退できたけど、そのときにずいぶん不義理をしたなあ。」なんて思いたくありません。

それ以外に、現在週休3日の私が週休7日となり終日自宅に籠もるようになったときの主人(妻)の反応も気になりますし、あるちゅうくんに至っては仕事を辞めたらやることがなくなってたださえコントロールアウト気味な飲酒癖が更に進み早死に待ったなしという別な問題も抱えているようですが、冗談のようでこれらもまた深刻です。仕事を辞めた際に自分たちにどのような変化が起こるのか、完全には予測できないのですから。

個人の家庭や仕事を辞めてもやることがない問題はさておいても、雇用の問題を解決する場合には事務員の雇用を確保する何らかの手段を考える必要があります。これは後輩弁護士を育てて事務所を承継させるというのが王道ですがそれには時間がかかりFIREではなくなってしまいます。更にうまくいかなかったら目も当てられません。

これは今回はじめて認識したのですが、私の場合、インフレを考慮しなければ今ある現預金を食いつぶすだけで30年ほど食っていけます。あるちゅう君の現預金はもう少し多いので40年食っていけるでしょう。彼はそんなに生きられないだろうに・・・

経営者になったからこそある程度の資産を形成できたが経営者になったからこそ簡単には辞められない。経営者のFIREは勤め人のFIREとは別の問題を孕んでいるのです。




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