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スーパーの裏でヤニ吸うふたり・ヤニ考察等

このご時世、タイトルから「え?」となる人も多いだろうが、そのファーストインプレッションからは程遠い(いい意味で)感想を持つ人が多い、ビッグガンガンで連載している「スーパーの裏でヤニ吸うふたり」というラブコメの考察となります。
ラブコメは良いぞ。
なお、話数を「〜本目」と数えるのも本作の特徴。


普段あんまり「漫画からの切り抜き」はしない主義ですが、これだけは好きすぎてやります。
怒られたら消します。のでやります。先に謝ります。すまん!申し訳ない!

簡単なあらすじ

過労気味な40代サラリーマンの佐々木は、仕事の後に立ち寄るスーパーの店員「山田さん」の接客スマイルに日々元気を貰っていた。

かわいい


翌る日、理不尽上司に憤慨しつつも、山田さんに元気をもらおうとする佐々木だったが、その日は山田さんはレジにいなかった。
仕方なくスーパーを出た所で「ニコチンの力を借りるか」とタバコを取り出そうとするも、嫌煙のご時世、そこに灰皿はおろか喫煙所もない。周囲の白い目にタバコ持ってオロオロしている所に、スーパーの裏手から「ここならタバコ吸えまっせ〜」と誘う若い女の子が。

革ジャンにピアスバチバチ


お言葉に甘えて、と佐々木はタバコを吸い始める。喫煙所に誘ってくれた若い女の子の店員を「山田さん」とは似ても似つかない「強い見た目」の子だな、と思っていると、「山田さん目当てに来ているでしょ」とからかわれる佐々木。図星を突かれてキョドっていると「オッパイ大きいし可愛いからね」と重ねられる。しかし、佐々木は「違う!」「あの子のお仕事に勝手に元気を貰っているだけ」「俺が嬉しくなっていいのはそこだけ」と強く否定。
女の子は「安心した」と続ける。聞けば、山田さん目当ての厄介客が多いらしく、そういう類の客かと思ったと、カマをかけ試していたことを白状される。
「おじさんは違うんだ」
翌日。いつものようにレジに並びながら昨日のことを、見た目に反して同僚想いの良い子だったな、と振り返っていると、山田さんから声を掛けられる。
田山ちゃんから聞きました」
「凄く嬉しかったです
「佐々木さん、あたしのファンだって」
赤面する佐々木。大好きな山田さんに認知されて嬉し恥ずかしい佐々木は「ちくしょ〜田山〜名前覚えたからな〜」と思うも、実は…

ピアスを付けた耳が覗く


心優しきニブチンおじさん・佐々木と、スーパーの看板娘山田=田山の奇妙な関係が、ここから始まった。

登場人物

佐々木

人相は悪いが…

自己評価は低い。他人への気遣いはかなり出来るが、恋愛事にはニブチン。仕事は優秀(っぽい描写は所々ある)だが貧乏くじを引かされる場面が多い。独身。
愛煙しているのは「ボンスター」

1巻11本目で初出

ネタ元はおそらく「セブンスター」で、タール14mg、ニコチン1.2mgと結構重めのタバコながら、甘味が強く喫煙後の満足感の高さから、今でも根強い人気があるタバコ。
タバコを始めたキッカケは大学時代に交際していた愛煙家の先輩。
この先輩とは現在関係は無くなっている模様。だが、このエピソードは佐々木の優しさや他人を思い遣りすぎる一面が垣間見えるので、是非読み進めてほしい。

山田(田山)

山田であり田山

笑顔ハナ丸接客態度抜群、ただし本性はスレた女の子。容姿は良いため、人気はあるが、同時に目立つためか変な類の者に疎まれる。
学生時代からそうした経験を多くしてきたためか、スレた性格と同時に、接客としての笑顔を振りまく強さが形成されたようだ。
佐々木が喜んでいるのは接客としての山田、タバコを共にする機会も増え、親しげに話すようになる田山というのが佐々木から見た構図。山田やスーパーの人間からしてみれば、佐々木に対する「田山」の性格こそ本当の山田の性格と言えるのだが、いつか佐々木が気づく日は来るのだろうか。
愛煙しているのは「ビサイド・ミー」

1本目から既に出ている

ネタ元は、パッケージデザインから「マールボロ」と推測される。タール12mg、ニコチン0.9mgと、このタバコも結構重め。今でこそカウボーイを広告塔にした男性向けタバコのイメージが強いが、実は販売当初は女性向けに広告を打っていたという過去もある。味は甘さを抑えながらも、野生味を感じさせる程よい土臭さがある。
ちょっと漫画で気になっていたが、マールボロは周囲に振りまく「タバコ臭さ」が一段抜けて強いと思う。山田さんはしっかり目に対策しているが、それでもたまに「タバコ臭い」とクレームを受けているのは、ここいらに原因があるのでは?

地味に喫煙者の悩みとギャップが、うっすら表現されていたり、最低限やっとくと良い対策なんかもあったりで、喫煙者に限らず嫌煙の人も面白い内容があったりする。
何より、喫煙所で交わす何気ない会話が読者にもストレスなく入ってくるし、段々と田山と会うことが日課になりつつある佐々木の変化と、いつ気づくんだコイツ、というニブチンに対するヤキモキ。そして、からかって楽しんでいただけの山田が、田山という本性を佐々木に対するペルソナに選んでしまった事で思い悩んでいく過程が、実に程よくもどかしい。

スーパーの裏、という普通の人が入らないスペースでそんな長く話が続くのか?というところで現れる店長も良いキャラをしている。

その他キャラのタバコ

(ネタバレになるのでキャラ名は伏せます)

加熱式タバコ

カートリッジは、形状からアイコス(iQOS)と思われる(厳密にはボタンが違う)。
スティックの銘柄は不明。
僕の周りの喫煙者も、こちらへの乗り換えが非常に多い。喫煙者からしてみれば、相当臭いは抑えられているが、非喫煙者からしてみりゃ変わらない、という色んな意味で悲しみを抱えるタバコだと思う。しかしiQOSが出た当初は品薄で、結構人気があったという記憶がある。数字にしてみれば大した事ない人口数なんだけどもね。
今は加熱式も形状が色々あるし、電子タバコもあるしで、バリエーション豊かになったなぁ。

この封、この柄で、ソフト

「アドマイヤ・ライト」となっているこのタバコ、元ネタはおそらく「ハイライト」。ラム酒のような香気があり、かつ吸いごたえ抜群。ロックミュージシャンに愛飲している人が多い印象がある。僕がパッと浮かぶのは椎名林檎。
タール17mg、ニコチン1.4mgと、佐々木の「ボンスター」のネタ元をさらに超えて重い。この漫画で出ているタバコのネタ元では一番「健康に悪い」タバコだが、現実にはコレを悠に超えるものがあるのでご用心。
販売当初は労働者のタバコ、というイメージがあったとのこと。
かつてはこのタバコの知名度を表すかのようなエピソードとして、「大きさの比較のためのに、ハイライトの箱が映り込んでいる」という写真が多くあった。今でこそ嫌煙の世だが、昔はそこまでタバコは庶民に浸透していたのだ。

なんじゃろけ?

スリム系タバコなのだが、ちょっと元ネタがわからない。電子書籍の悲しさで、これ以上解像度が上がらないのだ。パッケージの雰囲気からすると「シガローネ」(黒すぎ…)か「バージニアSソフィア」あたりか?
スリム系タバコは、「女性」のイメージがつきまといがちだが、実際にはそんなこともなく、男性ヘビースモーカーでもスリムを愛飲する人は多い。ジョーカーというブランドは、Gacktがかつて吸っていると公言していたことでも知られている(今は知らない)。
軽いオヤツみたいなモン、とレントゲンで肺が真っ白で、吸うたび咳き込むのにタバコをやめられない先輩が良く吸っていた(今すぐ止めるべきだと思う)。だもんで、僕からすると「やめ時がわからないタバコ」とか「通のタバコ」のイメージである。
着火点から吸い口までが長いため煙が冷やされやすく、軽い割に味が甘めになりやすいという特徴もある(馬鹿みたいに吸い込んだら元も子もないが)。

探索

「ルック・フォー」の元ネタは、おそらく「KOOL」だろう。「このデザインからして、最近出てきた…」と書き綴ろうとして、ふと「ブースト」の出現時期を調べたら2007年と書いていてひっくり返ってしまった。
マジかよ、ブーストってもう20年弱なの!?
なお、ブーストとはフィルター(吸う側に設けられた有害物質を吸着する、文字通りのフィルター)内部にミントオイルのカプセルが仕込んであり、そこを揉むように潰すと、メンソールのスカッとした味わいが増すという仕組みのタバコだ。
このブーストを備えたKOOLがおそらくネタ元となっている。
なお、KOOLはすべてのラインナップがメンソールタバコである。例外があったかも知れないが、自分は知らない。
なお、メンソールのタバコは、ミントのイメージからか、パッケージに採用される色は「緑色」が多いが、一応例外もあり、青色でメンソールというのが存在する。このKOOLにおいてもそうだ。
タバコで青というと、日本だとかつては「マイセン」こと「マイルドセブン」(現「メビウス」)だが、必ずしも当てはまる法則ではない事に注意。なんせ、緑色なのにメンソールじゃない「ゴールデンバット」なんてのもあるからだ。

と、ざっくり作中に出てくるタバコと、そのネタ元を探ってみた。ひょっとしなくても違う、コレもあるぞ、みたいな例はあるかも知れないので、喫煙者は是非とも読んでみて欲しいし、漫画だから全く匂わないので、非喫煙者も読んで欲しい一作である。

現在(2024.7)単行本は5巻まで出ています。

(R6.8.4追記)
加熱式タバコの方の銘柄、5巻にポイのが写ってたので、判明?

Romanesqueと読める

ロマネスク、と言うと10世紀から12世紀にかけた西ヨーロッパにおける美術・建築・文学の様式のことだ。
語源はもちろん「Roma(ローマ)」なのだが、要は「全ての道はローマに通ず」というところに着想を得て、元ネタはes"sentia"l「SENTIA」かなーと。ただ、綴りからするとマツダのセンティアの方が先に出てくるしで、この辺りの予想は自信なし。
吸ってるキャラクターが隠れロマンチスト、というのはあるかもしれない。

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