市川衛(医療の「翻訳家」)

医療の「翻訳家」。東京大学医学部卒業後にNHK入局。医療・健康分野を中心に世界各地で取…

市川衛(医療の「翻訳家」)

医療の「翻訳家」。東京大学医学部卒業後にNHK入局。医療・健康分野を中心に世界各地で取材を行う。16年スタンフォード大学客員研究員を期にメディカルジャーナリズム勉強会を立ち上げ代表に就任。20年より広島大学医学部客員准教授。21年よりREADYFOR(株)基金開発・公共政策責任者

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    日経COMEMOは、様々な分野から厳選した新しい時代のリーダーたちが、社会に思うこと、専門領域の知見などを投稿するサービスです。 【noteで投稿されている方へ】 #COMEMOがついた投稿を日々COMEMOスタッフが巡回し、COMEMOマガジンや日経電子版でご紹介させていただきます。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 https://bit.ly/2EbuxaF

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47歳になりました

誕生日は、たくさんの方にご来場いただいた日本血液学会での座長&発表を終え燃え尽きて迎えましたが、せっかくの好天の京都ということで、嵯峨野トロッコ列車と保津川下りを堪能しました。川下りながらの地ビールは最高でありました 【この1年の報告】 この1年、まとめて言えば、以前より取り組んでいる2つの活動の質・量をちょっとでも高めるべく藻掻いた一年でした。 ①社会事業(プログラム)の企画・運営・評価 ・READYFOR株式会社基金開発・公共政策責任者 ・インパクトスタートアップ

    • 自民総裁選の論点「若い世代の社会保険料負担」をどう考えるか

      いま行われている自民党総裁選に立候補している河野太郎デジタル相は、政策の一つとして「現役世代の社会保険料の負担を減らす」ことを掲げています。 社会保険とは、保険料を支払うことで、病気や高齢、介護、失業、労働災害などのリスクに備えるための公的保険制度です。 医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つがあり、会社に勤めている人は、毎月の給料からこれらの保険に必要な「社会保険料」が天引きされています。何となく、給与明細でその名前を見たことがある方も多いと思います。

      • Amazon処方薬は、日本で普及するか

        アマゾンジャパンが、オンライン処方薬サービス「Amazonファーマシー」を始めています。 病院などで発行された電子処方箋(紙ではなく、データ化された処方箋)を登録すると、アマゾンに所属する薬剤師などとのオンライン面談のもと、薬が宅配されてきます。 ドラッグストアなどで手に入る市販薬ではなく、医師の処方箋が必要ないわゆる処方薬を宅配するというのが、このサービスのポイントです。 いまほとんどの方は、医師に処方された処方箋を調剤薬局に持ち込み、薬を購入しています。アマゾンの参入に

        • 個人と集団

          NHKスペシャル「“一億特攻”への道 〜隊員4000人 生と死の記録〜」 素晴らしい番組でした。NHKプラスで8/24(土) 午後10:13 まで配信中です。良かったらご覧ください。 https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2024081711491 8月中旬。毎年のことではありますが、これは改めてしっかり学ばねばならんと思い、午後のお休みを利用して、茨城県土浦は阿見町にある阿見町予科練平和記念館と、陸上自衛隊土浦駐屯地にある雄翔館(予科練記念館

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          肥満症薬は「万能薬」なのか?高まる期待のその先は

          いま、「肥満症薬」に全世界的に注目が集まっています。 2023年にアメリカで肥満症薬「ゼプバウンド」を発売したイーライ・リリー社は、株価を大きく伸ばし、時価総額8000億ドル以上と、あのイーロン・マスク氏が率いるテスラを大幅に超える規模に達しています。 もう一社、同様のメカニズムの肥満症薬「ウゴービ」を発売しているデンマークの会社「ノボ ノルディスク」も、評価額としては4800億ドル以上と、テスラに匹敵する株価になっています。(共に会社四季報オンラインより・2024年6月

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          運用が難しい?アルツハイマー病の新薬が直面する「検査の倫理」問題

          6月8日の日経新聞の記事で、興味深いものがあったのでご紹介させてください。2023年9月に日本でも承認され、注目が集まるアルツハイマー病の新薬「レカネマブ」に関連する報道です。 記事で注目しているのは、APOE4という遺伝子です。この遺伝子を両親から受け継ぐ(ホモ接合体)と、アルツハイマー病の発症リスクがおよそ10倍、片親だけから受け継ぐ(ヘテロ接合体)でも3~4倍になるともいわれているとしています。 実はこのこと自体は、以前から知られていました。改めていま話題になってい

          運用が難しい?アルツハイマー病の新薬が直面する「検査の倫理」問題

          「ヒルドイドの自己負担増加」が注目されることで抜け落ちる、本当に考えるべき「論点」とは

          皮膚炎などの治療のために、保湿剤として使われる「ヒルドイド」が10月から自己負担引き上げが話題になっています。 ヒルドイドとは「ヘパリン類似物質」を有効成分とする、血行促進・皮膚保湿剤です。ヒルドイド関連製品は皮膚薬大手の「マルホ」が販売しており、アトピー性皮膚炎を抱える人の保湿剤として良く用いられています。 記事ではヒルドイドを利用している患者から「なぜこのタイミングで負担が増えるのか」といった問い合わせが患者団体などに相次いでいると報じ、さらに「今回の自己負担増は厚労

          「ヒルドイドの自己負担増加」が注目されることで抜け落ちる、本当に考えるべき「論点」とは

          なぜ注射薬を、飲み薬にする必要があるのか

          日本の製薬企業アステラス製薬が、アメリカのバイオスタートアップのビブテックスと共同研究契約を結んだことが報じられています。 人工知能(AI)などを使って、注射薬を飲み薬にする技術を開発することを目指しています。 薬に含まれる有効成分を、体の中にしっかり届けようとするならば、注射や点滴が確実です。注射によって血管内に薬を届ければ、血流にのって全身に届けてくれます。 いっぽうで飲み薬は、確実ではありません。口から飲んだ薬は、胃で強い酸や、タンパク質分解酵素による影響を受けて

          なぜ注射薬を、飲み薬にする必要があるのか

          「夜と霧」ヴィクトール・E・フランクル著 池田香代子訳

          どうしてかはわかりませんが、急に、『「夜と霧」を、いますぐに読まねばならない』と思い立ち、この1日、むさぼるように読んでおりました。 改めて、自分がもし今後、耐えられない悲劇や喪失、病や苦難に向きあうことがあったときに、道しるべとなるよう手元に置いておきたい作品の一つだと思いました。 急にすみません。報道や動画を通して知るガザの現状や、否応なしに目に入る、心が痛むようなSNS上のやりとりが背景にあるのかもしれません。 フランクル先生は、1947年に発表した作品を、197

          「夜と霧」ヴィクトール・E・フランクル著 池田香代子訳

          死別の悲しみを癒やすためにできることとは

          それまで当たり前のようにそばにいた家族が亡くなったとき。 多くの人は、時間と共にその悲嘆を乗り越えます。 しかし、どうしてもそこを乗り越えられない人もいます。 共に過ごした時間が大切だったからこそ乗り越えられない その人が、それでも前を向くために必要なことは何か。 自ら、家族の死をきっかけにした悲嘆を経験した看護師が、自らの体験をもとに丁寧に取材した記事が公開されています。 6カ月以上激しい悲しみが続き、日常生活に影響する「遷延性悲嘆症」と呼ばれる状態は、様々な身体性・

          死別の悲しみを癒やすためにできることとは

          はしかワクチン不足 知っておくべきことは

          はしかの国内での感染者が話題になるなかで、はしかワクチンの供給不足が指摘されています。3月30日、その背景を取材した記事が日経新聞サイトに掲載されました。 記事には下記のような背景が挙げられています。 ・新型コロナではしかワクチンの接種者が減る中で、2月にUAEから到着した人のはしか感染が報道され需要が高まったこと ・1月に武田製薬がワクチンの一部ロットの有効性不足を理由とした自主回収を行ったことから、供給が不安定になっていること(4月をめどに再開予定) はしか、および

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          「妊活」大国・日本 妊活を考える際に知っておきたいことは

          日本が世界的に見て、「妊活」大国だといわれていることはご存知でしょうか。その背景を論じる記事が日経新聞に出ていました。 近年、日本では不妊治療を受ける夫婦が増加傾向にあり、生殖補助医療の件数で中国に次ぐ世界2位とされます。体外受精の件数は、人口が3倍近いアメリカが41万件に対し日本は50万件ほどとおよそ10万件上回ります。 一方で、その成功率は10%台前半。20-25%ほどある米国や英国と比べてかなり低いのが現状です。 その理由としてまず言われるのが、不妊治療を開始する

          「妊活」大国・日本 妊活を考える際に知っておきたいことは

          続々登場!「肥満薬」ポイントまとめ

          ここ1か月余り、いわゆる「肥満薬」(肥満もしくは肥満症に対する治療薬)が次々と日本でも発売が報じられ、話題になっています。 「体重を減らせる薬」と聞くと興味を惹かれますが、薬を使える人の条件や、気を付けておきたいポイントもありますので、情報をまとめてみます。 2月~春に登場する肥満薬2種類2月22日に発売されたのは「ウゴービ」という薬です。肥満症の治療薬として使われるようになったものです。医師の診察のうえで処方箋をもらい、薬局などで購入する「処方薬」です。週に1回、注射に

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          4月から始まる医師の働き方改革・何が変わるのか

          医師の2024年問題をご存知でしょうか。 長時間労働が常態化している職業のひとつが医師です。 いわゆるクリニックなどで開業している医師や、非常勤で働いている医師の中にはワークライフバランスを重視しているケースもあります。 一方で特に大きな病院、なかでも地域の医療の根幹を担う大学病院などでは、一部の医師の労働時間が過労死レベルをはるかに超えている実態が厚労省の調査などでも指摘されています。 医師の長時間労働は、医師本人の健康や生活の質にも悪い影響を与えますが、睡眠不足によ

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          ドラッグ・ロスとは何か

          ドラッグ・ロスという言葉が話題になっています 日本語に直せば「医薬品の喪失」という言葉になるでしょうか 「喪失」というとそもそもあったものが奪われたような感じがしますが、実際には「海外で開発された薬が、日本で販売されない」という状況を指しています。 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD181M30Y4A110C2000000/ 少し前に話題になった言葉で、「ドラッグ・ラグ」という言葉がありました。日本語に直せば、「医薬品の(供給

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