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中学受験直前!教育・受験のプロ小川先生が贈る、がんばる親子に向けたメッセージ「受験×子ども」の自己肯定感

2021年も残すところあと7日。受験を控えるご家庭は、ここからさらにラストスパートをかけるぞ!と意識が高まったり、無事受験を乗り越えられるか不安になったりする頃ですよね。

そんな今回は、受験が刻々と近づく今の時期に、ぜひみなさんにお伝えしたい「受験×子どもの自己肯定感」がテーマです。受験を通して自己肯定感をあげる方法を教育のプロである小川大介先生に伺ってきました!


【プロフィール】小川大介  京大在学中より大手塾で看板講師として活躍後、中学受験プロ個別指導塾を創設。6000回を超える面談を通して子どもが伸びる秘訣を見出す。受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評があり、幼児教育から企業での人材育成まで幅広く活躍中。『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)、『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て』(同)など著書多数。


中学受験直前!親として冷静さを保ちたいけど…


中学受験本番まで「残すところあと何日」という言葉が真に迫る時期となりました。中学受験に30年関わってきた専門家の立場から、一つお伝えしたいことがあります。それは、お子さんの受験を応援してきた親御さんの中で、いまこの時期に冷静でい続られる方は一人もいませんよ、ということです。

子どもに負荷をかけすぎてはいけない、健康面のサポートをしなければいけない、睡眠時間を確保させたいけどこの成績でそんなことを言っていていいのか…などの不安から、思わず声を荒げてしまったり、投げやりな言葉を投げつけてしまったりといったことが起こっているご家庭も多いと思います。


思ってもいない言葉をかけてしまう心の乱れの原因とは?

なぜ感情が抑えられないかといえば、そもそも中学受験自体が、不自然で無理のあるものだからです。昔と比べて、今の中学受験では子どもたちに求められる学習量はあまりに膨大なものになっています。当然、勉強にかける時間数も大きくならざるを得ませんが、我が子を思う親心としては、「これでいいのだろうか?」という疑問、迷いは常につきまといます。

そうした迷いがあるからこそ、受験を控えた他の家庭の事情が気になってしまいませんか?

子育てや教育には正解がないので、これも仕方のないことなんです。人はどのように自分の子育て観や教育観を持つようになるかと言うと、これまでの経験や親からもらってきた言葉など自分自身の育ちによってです。

自分の経験で得た考え、親からもらってきた言葉、周囲から求められてきたことなどを通して、あなた自身の考え方を作ってきています。そのため、自分とは違う考え方にふれると、人は無意識的に自分自身が否定されたような気分になってしまいます。

教育観とはつまりは自分の人生そのもの。「うちと違う」学習方法や受験に対する関わりに触れたときに、自分自身や我が子を否定されたような不安感や焦りというものにつながりやすいわけです。

だからこそ、今ここで親御さんは冷静になることを、自分を少し客観的に見つめるということが大切になります。誰も自分やお子さんを否定していないと思うようにしてみてください。

誰もあなたを否定していません。誰もお子さんを否定していません。みんな自分のことで手一杯になっているだけです。

この受験直前期というものは、他の人と比べることなく我が子をいかに見つめるか、そして我が子の今を基準に置いて何が出来るか、何を優先したらいいのかを考えていくことが1番の正解です。


子どもの自己肯定感を高めて、親も気持ちを整理するコツ2つとは?

中学受験で最も大切なことは、受験結果以上に、これまで取り組んできた中学受験の日々がお子さんの成長、内面の充実につながる有意義な時間となることです。これから、お子さんの自己肯定感を高めていく中学受験最後の仕上げ方、親の気持ちを整えるコツを2つお話しします。ぜひ参考にしていただき、ラストスパートを有意義なものにしていっていただけると嬉しいです。

<コツ1:「やらない・やれない・気づいていない」を見分ける>

「なんでちゃんとやらないの!」と怒りが爆発しそうになる時に、唱えて欲しい合言葉があります。

「『やらない』『やれない』『気づいていない』のうち、どれなんだろう?

親の目に「やらない」と映る時、子ども側の事情としては実は3つに分かれています。

①「やらない」=「やりたくない」と、本人が意思を持って拒絶している状態。
②「やれない」=「やらなきゃ」という意識はあるけれど、実際にどうやればいいか分からず困っている状態。
③「気づいていない」=やる意識もやれる気持ちも持っているけれど、「今」がやる時だと分かっていない状態。

子どもが行動していない時、親は①の「やらない」だと受け取り、頭ごなしに叱ってしまいがちですが、実は多くの場合、子どもは②の「やれない」か③の「気づいていない」が理由で動けていません。

特に勘違いしやすいのは、「分かってる」とか「(勉強を)やるよー」と言いながらもぐずぐずと始めない時。親の目には①「やらない」と映るのですが、子どもの事情としては、やり始めても上手く行く気がしない、しんどい思いをする予感があってできれば先送りしたい、という心理が働いています。つまり、実態としては②「やれない」なのです。

では、親はどう手伝う?

① 「やらない」

本人の考えや理由を聞いてください。他に優先したいことがある、受験に対しての考えが親とずれてきている…など、本人の言い分を聞いてみて話し合うことが必要です。

②「やれない」

具体的にどのように取り組めば上手くいくのか、方法を教えてあげる必要があります。何を使うのか、どのように進めるのか、どこまでやればいいのか、分からない問題があれば何を調べればいいのか、誰に聞けばいいのか、といった一つ一つを手伝うのです。親自身が分からない場合はすぐに塾の先生などに相談して、具体的な手立てをもらうようにしてみてください。

③「気づいていない」

これは簡単で、「今がやるタイミングだよ」と教えてあげるだけ。所要時間や次にやること、生活リズムなどを考えると、いま始める必要があるんだよということを伝えてみてください。

お子さんの事情に応じた適切な関わり方をつかむことで、不用意に子どもを責めてしまうことが大幅に減ります。また、子どもの気持ちを汲み取った接し方ですから、自分が尊重されているという思いを我が子に渡すことができ、自己肯定感向上にもつながります。

<コツ2:「今の持ち点」を基準に学習内容の優先順位を決める>

直前期の学習内容は塾任せにせず、お子さんに合わせて家庭ごとに最適化していく必要があります。では、学習内容の優先順位をどのように決めればいいのかというと、まずは今できているところの確認をすることです。

科目ごとで「まぁまぁ大丈夫」と思える単元はどこか、得点できる問題パターンはどのようなものか、過去問研究が進んでいる学校はどこか、といった「できていること」に目を向けるようにします。

「できていないこと」が目についてしまい、あれもこれも手をつけさせたくなりがちですが、間違い直しばかりさせられた子どもは不安が先に立ちます。結果として、本番での得点力が落ちる傾向にあります。

直前期の支え方のポイントは、取れるはずの得点を安心して取れるようにしてあげることです。それには受験予定校それぞれについて「今の持ち点」を確認する視点が有効です。

たとえば、A校の合格に向けた算数の目標点数が65点の場合

×65点絶対取らなきゃいけないよ!
◎今の実力なら55点は取れるから、あと10点頑張れば大丈夫だね

今の知識と実力を踏まえた、「持ち点」がどの子にもあります。それをもとに、がんばるのはあと10点でいいねという確認をするのです。65点頑張らなきゃと思うのと、あと10点を作っていけばいいと思うのとでは、お子さんのメンタルに与える影響は全く異なりますし、親の落ち着きも変わってきます。なにより、「あれもこれもやる必要はない」と冷静な判断ができるようになることが大きいです。

正直、やらないと決めることは大変勇気がいることです。ただ、その勇気を親が発揮できれば、お子さんの本番におけるメンタルの安定度をぐっと向上させることができるとぜひ知っておいてください。

毎日の始まりには、昨日は何を頑張れたか、今週は何を頑張ってきているかを振り返ります。そして今日は何を頑張ればいいのかを具体的かつ実行可能な範囲で決めます。そして1日の終わり(本当の終わりではなくて寝る1時間位前がおすすめ)に、今日がんばれたことを確認し、「できたね」「大丈夫だね」という言葉を口にします。この繰り返しがお子さんの気持ちを安定させ、自信を育ててくれます。

「あなたができることを、やればいいんだよ」というメッセージを日々渡せるように、親御さんにはぜひがんばってほしいと思います。

以上、お子さんの自己肯定感を高めていく中学受験最後の仕上げ方、親の気持ちを整えるコツを2つお話ししました。お子さんとご家族とで、これまで精一杯取り組んできた中学受験の日々が、お子さんの成長、お子さんの内面の充実につながる有意義な時間となっていくことを願っています。


教育家・見守る子育て研究所所長
小川大介

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小川先生、ありがとうございました。「まもレール」は受験に向けた頑張りが実を結ぶことを願っています。

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