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美容室経営者も大雑把に知っておきたいインフレとデフレのお話


今回猛威を振るったコロナウイルスによって財務に大きな打撃を受けたサロンは少なくないと思います。


先月来告知されている政府系金融機関を中心とした支援融資、持続化給付金、また自治体によっては各種助成金等、まだ追加的なものが続くかもしれませんが、ひとまずのところは出揃いつつあるのかなと思います。


皆さんもそれぞれ申請にご尽力されたこととと思います。


さて、今さらではありますが、ご存知の通り今回私たちが調達する資金のほとんどは公金、いわゆる私たちの税金が原資になっている国からのお金です。


今一度、大きい視点マクロで見た時に今起きていること、これから起きる可能性が高いことを想像しておく必要があるかと思います。


◇お金が市場に行き渡らない時に起こること


例えば、、、


もし、、、ですけど。


今回のようなケースで一切資金面での支援がなかったとしたら、、、


、、、


冷や汗しか出ませんよね・・・笑


当然のことながら、多くのお店が廃業。


そのお店に材料を卸していたディーラーも連鎖的な倒産、ひいてはメーカーの業績にまで響く、なんてことになるかもしれません。


そうなればそこで働く人たちを中心に皆将来への不安から一様にお金を使うことを控えるようになりますから、結果、モノが売れなくなります。


売れなければ売る側は、値を下げてでもいいので買ってもらおうとします。


かなり大雑把ですが、これを積み重ねた時に価格が低下していく現象をデフレーション(デフレ)といいます。


◇お金が市場に行き渡っている時に起きること


では一方でもし、適正な水準を上回ってお金が市場に供給されるとどんなことが起きるのでしょうか。


今度は手元に現金が増えますから、例えば同じ¥100,000のスマホでも手元に150,000円しかない時に比べれば500,000円ある時の方が、スマホ「安いね。」になります。


もちろん安く感じられれば、モノはどんどん売れます。


うん?なんならこの値段じゃなくても売れる??

じゃあ¥100,000円から¥150,000にしてみる?

売る側は買ってもらえるギリギリまで値を上げようとします。


これまたかなり大雑把ですが、こうして物価が上がっていく現象をインフレーション(インフレ)といいます。


◇同じ商品なのに。


一度品薄になったマスク。

再流通した時には同じマスクなのにあれ?値段高くなってる!

と思ったらあれ?もう安くなってる!!!

まさに今経験されているかと思いますが、これは希少性(物資が市場に供給される量)から説明する、価格が上がるパターン。


もうひとつ、同じ商品なのに値段が上がるパターンが、先ほど紹介した資金が市場に供給される量が過剰になった時。


100兆円規模ともいわれていますが、いずれにしても今回相当額の財政出動がなされています。

残念ながら注入されても立ち上がれない(立ち上がらない)商店企業もあるでしょうし、逆に必要とする額以上の調達を叶えていわゆる運転資金がだぶつく商店企業もあるでしょう。(支援は今のところ事業規模不問で原則一律ですからね)


いずれにしてもお金を、活用されるより超えて供給した先に訪れる未来は、、、といえば。


「お金余り」

物の値段が上がりやすい世の中になっていくと考えても、早計とはいえないのではないでしょうか。


◇じゃあインフレで何か困ることあるの?


物の値段が上がるのに連動して給与が上がるのであればいいですけれども、給与は物価ではなく、業績に依存するもの。


業績がそのままで財務体系がそのままであれば、給与も横這い。

物の値段だけ上がるのであれば、それは実質的に給与が下がったことと同じになります。


今までとお小遣いは一緒。

でも600円で食べれていたランチが急に900円になる世の中。

、、、くらいだったら可愛いでしょうか。


今までとお給料は一緒。

でも8万円で賃借できていた家賃が12万円になる世の中。


今までと年収は一緒。

3000万円クラスだった新築戸建てが4500万円になる世の中。


いかがでしょうか、、、、。


◇今、考えるべき備え


景気動向に左右されるという観点でいうと理美容業は最末端、相対的に左右されにくい業種と言われています(不景気でも髪は伸びますので)。


ですから、インフレデフレと言ってもそれを機に急にお客様が来るようになったり来なくなったりするようなものではないかもしれません。

しかし今回のコロナウイルス騒動(あえて騒動と書きますが)を受けて冷え込んだ外出へのマインド。


「家で過ごす」ならぬ「家で済ます」消費が進んでいく中で、もし今後本当に日本経済にインフレ傾向が進むと、美容室の「値付け」は(他の消費へのバランスの中で)お客様からのより厳しい目にさらされることになります。


(安くても高くても)本当に適正価格か

→ 安いは嬉しいけれども、安かろう悪かろうなら家で済ませる方法はないか

→ 高いは安心だけれども、今まで以上に相応する外出してまで買いに行く(施術してもらう)価値があるのかどうか


特に低単価で来店数を望むモデル、現在高単価化に課題を感じているサロンにおける単価構築はこの1年が大切なのではないかと見ています(物価動向の後をついていくような価格改定はお客様のマインドに配慮するほど難しい)。


またインフレーション経済下では以下の課題への対応も想定しておく必要があります。


・従業員の給与実質減への対応

先ほど示したように、周囲の価格が高騰していく環境下では同じ給与を支給していても従業員満足度は低下します。

・賃料の高騰

一般にインフレ経済下では不動産(資産)価格もまた上昇傾向に入りますので、必然テナント賃料も上昇傾向に入ります。

財務における賃借料(固定費)の負担分はいっそう上がってくると考えておいていいでしょう。


以上を受けて私が今考えていることは

・持続可能な高単価モデルの構築(客単価は最低でも¥15000 OVER を目指す)

・ビジネスモデルの追求(オンラインも含めた24時間売上の構築)

・サロン財務の見直し(資産運用も含めて)


私たちの大切なハサミを、スタッフたちを、お客様を守るため。


今しばらく続いていく激動期の夜明け前。

サロン経営者も大いに学び、未来への指針を立てたいところです。

最後まで読んでいただき有り難うございました。


ではまた!


小規模美容室のためのマネジメント改善術/自分の✂︎を30%セーブさせながらお店に持続可能な利益を残していく経営スタイルをつくりあげていきたい経営者に向けた情報発信をしています。