Netflixの字幕ってどういう扱いなんだろう

要旨と結論:この記事ではNetflixの字幕データを出力できる拡張機能を使う際に関係ありそうな法律について色々語っています。いろいろ調べてみた結果、私は使わないことにしました。

こんにちは。
最近、Netflixの字幕データをエクセルなどに出力できるGoogle Chrome用の拡張機能を見つけたんです。
最初は、言語学習に使えそうだなあと思ったのですが、「これって著作権的にどうなの」という考えが頭をよぎりました。
そこで、いろいろ調べてみました。

言語学習のリーディング教材として字幕データをダウンロードする際に関連しそうな著作権法の条文を探してみました。以下に引用します。

(私的使用のための複製)
第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048#Mp-Ch_2-Se_3-Ss_5-At_30

言語学習に使う場合は、誰に見せるわけでもないので、私的利用ですよね。なので、この条文を拠り所にして拡張機能を使えるのか…?

ただ、気になることが一点。第三十条の「私的使用のための複製」の際に「次に掲げる場合」に挙げられているケース。つまり、私的使用でデータを複製する場合でも、これだけはやめてねというケースがある。いろいろ挙げられていますが、その中で関連がありそうなのは、「技術的保護手段の回避」(著作権法第三十条第二号)を行うことかなと思いました。電子データですからね。

技術的保護手段の回避(第二条第一項第二十号に規定する信号の除去若しくは改変その他の当該信号の効果を妨げる行為(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約によるものを除く。)を行うこと又は同号に規定する特定の変換を必要とするよう変換された著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像の復元を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすること(著作権等を有する者の意思に基づいて行われるものを除く。)をいう。第百十三条第七項並びに第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合

https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048#Mp-Ch_2-Se_3-Ss_5-At_30

ただ、ここで挙げられている保護されるものに字幕データが該当するのかどうかがイマイチわからない上に、そもそもNetflixの字幕データがコピーガードのような技術で保護されているのかどうかもわからない。

仮に字幕データがなんらかの技術によって保護されていなくて、学習に使うのが私的使用にあたる場合、「問題なく使えるのでは?」と思ったのですが、ここでNetflix側の利用規約を確認しておきましょう。

4.6. お客様は、適用法、規則および規制や、サービスもしくはそのコンテンツの使用に関するその他の制限の一切にしたがってNetflixサービス (関連する一切の機能を含みます) を利用することに同意します。当社に明示的に認められていない限り、お客様は以下のことを行わないことに同意します。
(i) Netflixサービスに含まれる、または同サービスから、もしくは同サービスを通じて取得されるコンテンツおよび情報について、アーカイブ、複製、頒布、改ざん、展示、上演、出版、使用許諾、二次的著作物の創出、販売申し出、または使用を行うこと。

https://help.netflix.com/legal/termsofuse

これによると、ユーザーの字幕データの複製は、Netflix側からすると「やめてね」ということなのかな。ただ、別の項目にはこんなことが書かれてあります。

6.1. 準拠法: 本利用規約は日本法に準拠し、同法にしたがって解釈されます。

https://help.netflix.com/legal/termsofuse

ん〜なんだか振り出しに戻された感がしますね。

ということで、苦手な法律の話をいろいろ出しながらあれやこれや語ってきました。私より法律にもっと詳しいそこのあなた、もし間違っていたり見当違いなことを言っていたりした場合は訂正のほど、よろしくお願い申し上げます。また、この件に関してアドバイスなどをいただければ幸いです。
結論としては、なんとな〜くグレーゾーンに近づきそうなので個人的には字幕データの出力はやめておこうと思います。

ここでいう字幕は、映像作品の登場人物が実際に発言しているセリフなどを一言一句違わず表示しているものです。ということは、それは脚本の一部であって、そこにはもちろん著作権が発生するのでは? 本来有償であるはずの著作物をネット上でお金を払わずにダウンロードするのは違法ではなかったっけ…海賊版だけ?

締まりがない終わり方になりますが、ご覧の通りこの辺の事情に関して私は全くの無知です。無知な者が「こんなもんでええやろ」みたいな感覚で気軽にダウンロードなどをして迂闊にも法律に反する行為をしてしまう…ようなことは避けたいので、私は触らないことにします。
ではさようなら。

参考文献
徐 敏徹. (2022). 「<研究ノート>OTTサービスを利用したパラレルコーパスの構築方法」, 『京都大学言語学研究』第41巻, pp.69-91.
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/281542/1/kulr41_69.pdf

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