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叔母さんが死んだ

正月、兄の家にお年始の挨拶に行ったときに
父方の叔母が亡くなったことを知らされた。

叔母は私が産まれる前から
祖父母と共に私たち家族と同居していて
共働きの両親に代わり私の面倒を見てくれていた。

体が弱かった赤ん坊の私の通院は叔母が連れて行ってくれたり
とても可愛がってくれたそうだ。

叔母は美人だった。
私が物心付いたころには東京に出て芸能活動をしていて
いわゆる"ドサ回り”で地方を忙しく回っていたので
ほとんど家に来ることもなくなっていた。

一回、婚約もしたそうだが
その当時の師匠と恋仲になり破談になったとか。
今思うと、不倫だったのだろう。
結納や婚礼道具の用意をした私の父が物凄く怒っていた。

とにかく比較的優等生な父方一家
(公務員、教師、有名企業のサラリーマン)
の中では異端だった人だ。

叔母が法事で帰ってきた時
コンタクトレンズをしていて、
それがどういうものか知らない幼い私に
コンタクトを外すところを見せて怖がらせたりして笑っていた。


その後も、鳴かず飛ばずだが芸能活動は続けていた。

私が受験に失敗して少し家で燻っていた10代後半のころ
叔母に会いに東京へ行った。
10年ぶりに会った叔母は喜んで
ラフォーレ原宿に連れて行って、おしゃれな服を買ってくれた。
(おしゃれすぎて地元に帰って一度も袖を通すことはなかった)
江戸前寿司をご馳走してくれながら
叔母は私の顔をまじまじと見て
「あんたは芸能界に興味ないんか?」と聞いてきた。
私は首を横にブンブン振った。
無くはなかったけど
叔母さん、
あなたを見ていてその世界がどんなものか想像は出来る。
・・・口には出さなかったけどね。

それが、叔母との最後の会話となった。

そんなに仲の良かった私たちなのに
祖母が亡くなり、祖父が亡くなったころには
少しづつ何かが狂って行き、
父と叔母は絶縁してしまい
それに伴い私と叔母の縁も遠のいてしまった。

私が結婚したことを知らせることも出来ず
叔母がどこで何をしているのか知ることも出来ず
長い年月が経ってしまった。

結局、生涯独身でいた叔母は
関東に住んでいる叔父とは連絡を取っていたようで
そこから届いた訃報。

美人でファンキーな叔母さん
最期に会いたかったなぁ・・・。


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