「SteelSeries ARCTIS 9」 レビュー 全部入りのワイヤレスヘッドセット
ずっと購入を検討していたSteelSeriesのミックス機能付きワイヤレス、Arctis9がブラックフライデーセールで30%引き価格に。即決で購入。
私はAmazon(セールは2022/12/01 23:59まで)で購入したが、SteelSeriesの公式Webストアでもほぼ同様のセールが行われているようだ。
これまで2年ほど使用していた、有線ゲーミングヘッドセット「HyperX Cloud Revolver S」を比較対象としてレビューを行っていく。
1. スペック - ワイヤレスは重い?そんなことはない
基本的な情報はSteelSeries公式が正確なのでそちらを参照してほしい。
が、本体重量については記載が無いため実際の重量を量ったところ、
本体重量:377.5g という結果になった。
ちなみに比較対象の有線ヘッドセット「Cloud Revolver S」の方はより重い395.5g。ワイヤレスはバッテリーが内蔵される分重いのでは?と懸念していたがそんなことはなく、個体差の範疇と考えて良さそうだ。
2. ハードウェア - 直感的なデザインが好感触
内容物は、本体・充電ケーブル・ワイヤレストランスミッターの3点。
ⅰ. デザイン
まず目を引くのがデザイン。ゲーミングヘッドセットといえばゴツゴツ、デコボコとしたものが多い印象だが、こいつは写真の印象のまま、フラットでスタイリッシュ。無駄に虹色に光ったりもしない。
正直、見た目だけでも最高だなと思ってしまう。
ⅱ. コントロール部
コントロール部には以下の機能に対応したスイッチ類を集約。
音量調整
マイクミュート
Bluetoothペアリング
電源ON/OFF
チャットMIX音量調整
一見、スイッチが多すぎて操作に戸惑ってしまうと感じるかもしれない。が、それぞれの形や操作感が微妙に異なり、一度触れば迷うことのないように工夫されていることがわかる。この辺りの操作感はかなり好感触だった。
ⅲ. 端子
端子は以下の2つ。
3.5mm 4極ミニプラグ端子
充電/ファームウェアアップデート用 micro USB端子
4極ステレオケーブルを挿せば普通の有線ヘッドセットと同じような使用が可能。しかしこのケーブルは付属していないため注意が必要。
ケーブルを持ってさえいれば、わざわざペアリングするほどでもない端末で急に使いたくなった時便利かもしれない。
充電用端子はmicro USBという点がマイナス。ケーブルは付属しているものの、きょうび携帯端末の充電端子はType-Cがスタンダード。使い回しづらいのはよろしくない。
ⅳ. マイク
マイクは収納式。このマイクだが、前述の本体ミュートをオンにすると赤色LEDが点灯し、視覚的にミュートのON/OFF状態がわかるようになっている。地味だが最高の機能だと思う。
視界の端でほどよく光ってくれるため、「ミュート解除するのを忘れて喋り続けていた……」なんてことが起きにくい。マイクを収納してしまえば視界に入ることもないし、非常に画期的に感じた。
ⅴ. ワイヤレストランスミッター
ワイヤレストランスミッターはUSB端子で接続し、ヘッドフォンへの音声送受信に使用する。細かいところだが、コネクタ部分がL字型になっているのがマイナス。無意味(ではないのかもしれないが)場所を取るのはやめて頂きたい……
物理スイッチは、PCモード/Playstationモードの切り替えスイッチと、Connectスイッチの2つ。私はPCモードしか使用していないし、トランスミッターを接続し本体電源をONにした時点でワイヤレス接続が完了したため、どちらのスイッチも一度も使用していない。マニュアルを読まなくてもとりあえず電源を入れれば使える感は評価してもいいのかもしれない。
端子はGAME INとLINE OUTの2つで、どちらも3.5mm 3極ミニプラグに対応。GAME INは「Switchのゲームを遊びながら、PCまたはBluetooth接続でボイスチャットをする」といったシーンで、Switchの音声を取り込むのに使用する。
私は上の図のような接続でスプラトゥーン3を遊んでいるが、ノイズもなく快適に遊べている。
以前はよくある6股のスプリッターを使ってみたり、PCのLINE INでSwitchの音声を入れてみたりと工夫したが、いずれもノイズや設定の問題に悩まされる結果になった。もっと早く買えばよかった。
Switchのゲームを遊びながらボイスチャットをしたい人にとっては、最高の選択肢のひとつと言って相違ないと思う。ただし、この接続で必要となるオーディオケーブルも付属していない為、購入を忘れないようにしよう。
ⅵ. その他の付属品 充電ケーブル/マニュアル
付属の充電ケーブルは、何の変哲もないUSB - micro USBケーブル。いまや希少かもしれないので付属するのは嬉しいが、特筆する点も特にない。
マニュアルはSteelSeriesの公式ページでダウンロードできるのと同様のもの。クイックスタートガイドが無いのはややマイナスに感じるが、読まなくても使えるほどシンプルではある。
3. ソフトウェア - やや過剰にも感じる充実ぶり
現行のSteelSeriesのゲーミングデバイスは、「SteelSeries GG」という公式ソフトウェアで一括管理・設定できるようになっており、Arctis9 もこれに対応している。
なにを設定できるのかというと、とにかく色々設定できる。
ヘッドセットに対応する機能群は大きく「Engine」と「Sonar」の2つに分けられる。
ⅰ. Engine
「Engine」では、ヘッドセットのイコライザー設定や、自動電源オフの作動時間、自分のマイク音声のモニタリング(公式でサイドトーン機能というらしい)の音量設定など、ヘッドセット本体に関わる設定を行うことができる。
イコライザー設定については、Apex LegendsやCoDなど、著名なゲームの波形特性に合わせたプリセットが用意されており、足音が聞こえやすくなるなどゲームを有利にしてくれる、という触れ込みである。
こだわりたい人にとっては嬉しい様々な便利設定ができる点は魅力だが、一方でそうでない人達にとっても必須の設定が、このソフトを使わないと変更できない点がマイナスになっている。
特に前述のサイドトーン機能はデフォルトでオンになっており、このEngine上でオフにしない限り、チャット中自分の声を聞き続けなければならない。
こういった豪華な(≒容量のデカい)ソフトはプラスアルファを求める人達のためだけのものであり、デバイスを使う上での必須要件にはなって欲しくない、というのが個人的な心情だ。
ⅱ. Sonar
「Sonar」は、PC側で動いているゲーム・チャット・マイク音量などをひとつの画面で個別に変更できるというもの。きちんと設定すればいちいち音量ミキサやチャットアプリを開かずに微調整ができ、非常に便利。
一方、チャット・ゲームなどの音声出力を一度Sonarで受け、Mixして返すという仕組みのため、大量の音声出力をOS内に発生させてしまい、必要のない人にとってははた迷惑な機能になってしまっている。
4. 使用感 - 頭全体を包まれるような安定感
ⅰ. 装着感
装着感はまず、かなりしっかり固定されるという印象。「Cloud Revolver S」と比較すると、側圧は少し強め。しかし自分にとってはマイナスではなく、むしろヘッドセット全体でバランスよく頭に固定されているように感じた。「Cloud Revolver S」の場合、側圧が弱い分、ヘッドセットが頭の上に"乗っている"感が強く、頭頂部が痛くなることが多かった。一方Arctis9は側圧に加えて、頭頂部のスキーゴーグルヘッドバンド(公式名称)が頭全体を使ってヘッドセットを支えてくれ、どこかに集中的に負担がかかることがない。事実、試しに8時間ぶっ続けで使用してみたが、耳がちょっと痛いかな程度で済んだ。「Cloud Revolver S」を使用していたときは、頭頂部が痛くて4~5時間程度が限界だった。
私にとっては素晴らしい装着感だったが、側圧が少し強いというレビューはちらほら見るため、特に側圧を気にするユーザーは一度実物を試してみるとよいかもしれない。
ⅱ. 音質
まずサウンドの音質について。音の分離が抜群によく、定位感も上がったように感じた。私はよくOverwatchとスプラトゥーンを遊ぶが、どちらも多方から攻撃されて何が何だかわからない、となりがち。そういったとき、明らかに状況を聞き取りやすくなった。プレイングの上手さに繋がるかはまだわからないが、プレイしていてより楽しい、というのは断言できる。
次にマイクの音質。録音してみたが、声を鮮明に、きちんと拾ってくれる。
私は男性としてもかなり声の低いほうで、普通に喋っていても声が低すぎてマイクが拾ってくれない、ということが頻繁にあったが、Arctis9に変えてかなり減った。
比較対象の「Cloud Revolver S」は12,000円クラスで定番のひとつとされていた機種。Arctis9よりは安価なので比較としては少しズルいが、下位クラスの定番を圧倒するポテンシャルはきちんと持っていると評価したい。
ⅲ. 通信安定性
合計で20時間ほど使用したが、音声の途切れや、勝手にペアリングが切れたということは一度も無い。
5. 総評 - 人を選ぶ面もあるが、それでも最高のうちのひとつ
マイナスな点も含めて書いたが、それでもArctis9は自分にとって最高のゲーミングヘッドセットだと思っている。なぜかというと、
デザインが最高だから
装着感が自分に合っているから
音質が納得いくものだから
PCとSwitchの音声Mixが簡単で使いやすいから
マイクミュート時のLED点灯機能が地味に便利だから
以上の理由に集約される。一方で誰にでもおすすめ出来るかというとそうではなく、なぜかというと、
いくつかの設定に専用ソフトのインストールが必須
そのソフト自体も、扱いが多少面倒
人によっては側圧が強めに感じる
以上の理由のため。
とはいえ音声Mixに対応したヘッドセットは、この価格帯でもそう多くない。ここで挙げた癖のある部分が気にならないのであれば、手放しでおすすめしたい。