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手のひらサイズの634メートル。

職場の窓からスカイツリーが見える。

晴れてる日には、はっきりくっきり細部まで見える。

スマホを出して写真を撮りたい衝動に駆られるけど、いくら不真面目に働いててもさすがにそれはできずに、じっと見る。


✳︎


嫌なことはだいたい、小さな画面の中からやってくる。悲しいことも、容赦なく、こんな小さな画面のくせに、わたしをやっつけにくる。

前に、なんかいいことがあるのがわかるって書いた。予感じゃなくて、「なんか」の段階で気づいて、待ってるとあとから知るって。

だからきっと、そこまで悲しむことないだろうっていうことしか起きてない今が、こんなに悲しいのはたぶん「なんか」悲しいことがあるんだろうな。これも予感じゃなくて。


だから、もう、小さな画面を見るのをやめよう。こんな小さな四角から、すべてを受け取ってしまう前に、裏返そう。


そう思って、遠くを見てみた。

曇り空のスカイツリーは、ほとんど見えなくて、いつもよりもずっと遠い。だけど、すごくすっとした。

せっかくのこの曇り空、小さな四角におさめないで、今見ておく。

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