ダイエット中だけど、その重さは全部飲み込みたい。
母の手を握って、最期の時を待っていた。
その瞬間を見逃さないようにって息を詰めていたのに、いつのまにかなにもない真っ白い夢の中にいた。
その眠りは、自分の家じゃ落ちえない深さで、実家の畳の上でうっかり眠ってしまった時にしか行けない、よく知ってる、不思議な深さだった。
一緒に行ってあげたいなーって、そこで思っていた。一緒に行きたいとか置いて行かないでとか、そんなのじゃなくて、一緒についていってあげたいと願っていた。買い物についてくみたいな感じで、いいよ一緒に行く行く!って言って上着をひっかけるくらい軽く立ち上がったけど、ちゃんと冷静に、自分の残りの人生なんて、全然いいやって思ってた。
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気がついたら、母はもう空っぽになっていた。
空っぽ。抜け殻。もうそこにはいなかった。
夢の中でもなにも見えなかったけど、母が行く新しい場所の、入り口くらいまで見送れたのかもしれないなって、思った。
ひとりきりで、見送れたのはラッキーだった。母の21グラムは、わたしがひとりじめしてやる。
お別れが、悲しくなくなるくらい、またすぐ会えるくらい、長生きしてくれてありがとう。
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