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息子とパパの、夢の途中。

 今、息子は中1。確か小5まで、向こうは本当に嫌そうにだが、辛うじて一緒に風呂に入っていたことを思い出す。今から思うと、あの頃は彼なりに、ちょっぴりだが、ストレスを抱えていたのかも知れない。そんな息子があの時から、数年の時を隔てて、風呂に一緒に入ってもいいと言った。私は仕方ないなぁ、と言いながらも、内心は嬉しかった。どんな風の吹き回しなのだろうか?自分が湯舟に入ったら呼ぶから、そうしたら入っていい、という注文付きである。

 湯舟に入れて?もらい、数年前一緒に入っていた頃は、足が触れるだけでも、君はカリカリ怒っていたよな~などと、そんな昔ではない、”当時”をお互い振り返る。家族で清里の清泉寮新館の暖炉のある部屋のエピソード、我々男2人で薪をくべて、パチパチ盛大に燃やして過ごした夜。次の日、あんた達がパチパチやるから、全然寝れなかったと妻。今度から、暖炉の部屋は禁止と決まったこと、新館は源泉かけ流しのすこぶる気持ちがいい温泉があることなど。息子は、清泉寮など知らぬ、覚えていないと言っていたが、きっと記憶は残っているに違いない。

 そんなかけがいの無い、ヒトトキを一緒に風呂で過ごし、息子は風呂を出た。次の日、昨晩の風呂での出来事を知人に話した。自分では他愛もない出来事であったわけだが、ひとたび自分の口から、その出来事を”他人”に話しながら、そんな、そんな他愛もない、一瞬であったが、大切な時間を2人で過ごせたことこそ、貴重な時間であったと、知人。大切な約束を交わしたわけではない、教訓じみたことを伝えたわけでもないが、食卓や、リビングでもなく、湯舟の中で、かけがえのない時間を過ごすことができたことに感謝。

 わたしは昨晩の出来事をきっと忘れない、いつまでも。

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