日本美適進化論:自分らしさのデザイン
「自分らしさ」という、とてもシンプルなようで掴みにくいアイデンティティ。自分らしさはこれ!と、言える人はどれぐらいいるのでしょう。「らしさ」とは他の人と比較してよりあなたを象徴する特性です。例えば、特に「優しさ」が際立つ人。誰も手を差し伸べない相手に自ら寄り添って、ついでに損までしたあなたに「〇〇さんらしいね。」と言われるとか。手が必要な方を助けたいと「介護業界」で大活躍すると「やっぱり〇〇さんらしい選択で、本物だったね。」とか。「性格や人柄」と「職業」がリンクすることが人生で一番幸せだと考える方も多い。逆にそれがリンクしていなくても「夢」や「憧れ」にチャレンジすることで、努力が成長を促すことには違いありません。何ごとも経験を活かした新たなステップを積み上げることが人間的にも豊かさを生むのだと感じます。
しかし社会は、とっくに「自分らしさ」で人生を選択できるほど余裕がありません。雇用のバランスも崩れ、代行業に溢れ、職にありつくために「自分らしさ」は幻想となり、次第に「本当の自分」を放棄する若者や、実は年功序列の終身雇用に持ち家制度が一般的なシニア世代にも、がむしゃらな仕事人間であればあるほど、「本当の自分らしさ」は「名刺の肩書だ!」と考えている人も少なからずいるようです。
そもそも、「自分らしさ」は変化するもの。目の前に無我夢中で取り組めそうなチャンスが訪れたらそれを掴んでいる、それを機会に新たな才能や能力が開発されて自分の可能性がググっと広がります。最後に「自分らしさ」を掴む人は、自分らしいかどうかなど考えずに、出番だ!と感じたものに向かっていく。また違うシーンでこれだと感じたら、またそこに向かってたという、変化に対応できる「自分らしさ」の軸を無意識に作ってしまうのだと感じます。
■■■自分らしさのデザイン■■■■■■■■
1)自分らしさは集合体
2)人柄と役職と技術を切り分ける
3)デザインを言葉に変換する
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
1)自分らしさは集合体
自分らしさが分からなくなる原因として、対人関係があります。上司の前や部下や同僚の前で態度を変えたり、また、親の前や先生の前でも態度が変わったり。コロコロ変わる表面的な自分に、「本当の自分」はどこにあるのだろうかと迷うかも知れません。そもそも、相手との関係性には目的がありますので、変わって然るべきですし、変えることでより良い信頼関係と影響し合うことで相互の成長が促されます。上司との関係性は「評価」に左右されますし、部下とは「育成」、同僚とは「情報」、親とは「家族愛」、友人とは「経験」といったように、対応がバラバラでも丁寧に向き合うことで、集合体としての自分らしさの質が高まるでしょう。
誰に対しても一貫して「頑固」だとしたら、対人関係はどこかで歪がくるかも知れませんね。上司との関係性は結果に対して厳しい姿勢でメリハリを、部下に対してはキメの細かいサポートを、同僚とは本音で語り質の高い情報交換を、家族とは優しい労わりや思いやりを。対応変化させることで、自分には「誠実さ」という自分らしさが備わる気がいたします。
2)人柄と技術を切り分ける
世界的なビジネス書で誰もが知るベストセラー「7つの習慣」では、成功者の法則を200年に渡って調査した結果、先の150年は「道徳的・人格的」なことを重んじた人が成功し、その後の50年は技術(スキル)的なことを重んじた人が成功してきたそうです。そういえば、そんな大昔ではないけれど、特に目立った結果を出さずとも人柄でどんどん偉くなっていく上司もいたな~とか、人格者とは言えない某国のトップは、経済界ではプロだしな~とか、成功者を目指さずとも、これからの未来はどのような法則がカタチづくられて行くのでしょう。
著者である、スティーブン・R・コヴィー氏は、副題に「人格主義の回復」と記しています。きっと、新しい時代は「人格・人柄」と「技術(スキル)」を両立する時代なのでしょう。ここで注目したいのは、昨今の個人回帰の流れです。「人格と感情は真似ができない」」と言われていますが、昭和の時代は特にこの点の矯正を求める教育でした。「性格を直せ。」「明るく元気でなければダメだ。」、これが出来たのは、性格を直してでも元気で明るく努力することで、欲しいものが手に入るという約束があったからです。現在は、頑張って努力すればするほど相手や会社が儲かる社会。ますます個人が自立するべき環境に向かっていますね。
人格や人柄や性格を変えろと言う古めかしさも、時に大切だと感じる振舞いを目にしますが、それはその人の環境がそうさせているという関心を持つことで、言葉がけの工夫が立場を越えた相互の成長につながります。チューニングできないだけで潜んでいる、素晴らしい人格も人柄も、それを感じ取れる大人でいたいと思います。それよりもまず、自分の強い専門技術を持つことが必須です。強みに特化した専門技術を持つことで鍛えられ、社会に役立つ自信の裏付けになるでしょう。
3)デザインを言葉に変換する
自分らしさを、私は好きなことや得意なことの集合体だとも理解しています。音楽を奏でて一つの曲を仕上げることや、豊かな自然を絵画で表現することや、ファッションで人が魅力的になることが大好きでした。さらに、その普遍的な感性の大切さを伝えるために、試練と感じたこともありましたが、企業経験をすることで根拠となる理論や数値を集め構成を考え、伝える言葉に変換することができました。私が芸術の道を歩むことが出来ていたら一枚の絵や一つの曲を作って伝えたのでしょう。でもそれは、まだまだ「私らしさ」ではなく、感性を言語化して教育に変換することで、その特性が活かされていると感じています。自分がしてきた経験には必ず意味があり、それを昇華させるのが自分らしさのデザインだと理解しています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?