この一年。

「来年はどんな一年になるかな」
　去年の今ごろ、彼とのんびりとそんなことを話していた。
　年が明けてしばらく経つと、諸々の準備をバタバタと進めて入籍をした。指輪も式もこれからでいいよね～という、なんとものんびりとした、行き当たりばったり気味な二人ではあったけれど幸いにも周りからは祝福された。いえい。春が過ぎ頃に式でも挙げられたらと思っていた。
　しかし春までもうすぐというところで、世界はその姿をガラリと変えた。
　え、なにそれ？私たちはどうしたらいいの？
　混乱の中で「今まで」の当たり前をたくさん手放した。納得なんてする暇もなく、とにかく手放さざるを得ない流れに放り込まれた。
「ふざけんな！！」流れの中で私は何度も叫んだ(もちろん、心の中で)叫びながら、考えた。守るべきものはなにか。こんな状況でも、絶対に手放してはならないものはどれとどれなのか。私たちはいったい、どこに流れ着くのだろうか。

　今、再放送のドラマを見ながらお茶を飲んでしばしくつろぎながら、今日までの日々を思い返す。
　いやぁ……よく頑張ったなぁ。
　誰もが頑張って頑張って、もうへとへとになった一年だったんじゃなかろうか。それも「は～、お酒がおいしいね！」という、清々しい達成感とは違う頑張り。まったく、ふざけんな。
「ともかく、みんな生きててよかった」そんな感じである。私の周りの大切な人たちが、今も元気で笑っていてくれることにただただ安心している。
　来年もまだ引き続き頑張らなきゃいけなさそうなのが大変に癪ではあるけれど、しゃーないやってやるさ。私は、好きなことも好きな人たちといることもあきらめるつもりはないのだ。

「また、ここに来ようね」

　こんなどえらい流れの中でも、大切な人たちとそう言える場所にたどり着けた。みんなで体も心もくたくたになったけど、なんだかキラキラ笑っていたから、あぁ良かったなぁと思う。

　2020年。忘れられないこの一年を、あなたと過ごせた私は幸せ者です。来年もまた一緒にたくさん笑って楽しんでいこーね☆

水沢透子