POG2024~2025の予想に入る前に~補足資料~(第0.5回)

本記事は完全無料です。
POG2024~2025について書く前に、初心者にも分かりやすい副読本的なドキュメントを書くことにしました。
シリーズの扉ページである第0回はこちら


血統って、なに?

A.競馬の全てです(過激派)

とは言わずとも、我々は競馬を見ていてなんとなく肌感覚として知っている傾向があるのではないでしょうか?
ディープ産駒はダートの成績が悪い」だったり、「カナロア産駒は短距離が得意」だったり、「オルフェーヴル産駒の適性は芝なのかダートなのか分からない(これはマジでそう)」だったり、人には人の、馬には馬の向き不向きがあるものです。

そもそも競走馬を意味するサラブレッドとは、完璧あるいは徹底的な品種の意味を持ち、歴史的に血統表に記録してその血統の価値を認め、高めてきたものであるため、競馬において血統は切っても切れない要素になります。
走る馬を作るのが目的なのか、走る馬を作るために必要な馬を作るのが目的なのか手段と目的が逆転している」ということが界隈を賑わす程度には、サラブレッド生産とそのあり方が問題視されることがあるくらいには、血統はレゾンデートル化していると言えます。

生産者は「こういった馬を作りたい」と思って意図的に配合を試すし、優秀な競争成績を持つ競走馬を参考にまた強い馬を再生産するといった演繹的または帰納法的な生産手法が生み出されてきましたし、これからも生まれていくと思います。

ジェンティルドンナを理想とした生産者が、すごくよく似た血統のロジャーバローズを執念で生み出した話があるくらいには意識せざるを得ないファクターです。

今回はそんな血統の話をできる限り分かりやすく解説していきたいと思います。

まぁ、ほら、人間の寿命は80年、馬は20年くらいだとして、生産サイクルは4倍。つまりその間に様々な組み合わせを試せるし、その分流行り廃りとか速くて、血統淘汰は起こるということで簡単に言ってみれば超高速回転の親ガ(編集済み)

クロスって、なに?

エルコンドルパサー血統図(出典:netkeiba)

エルコンドルパサーの血統を参考資料にクロスについて解説していきます。

血統表内で同じ祖先を持つ場合を”インブリード”と言います。言ってしまえば、近親相姦のことです。インモラルです
このインブリードの別名を”クロス”と言い、大方その馬から5代まで遡った血統表(5代血統表)で評価されることが多いです。

クロスがその馬の血統表内に発生している場合、その馬から何代離れているかを数字で表し、その重複している馬が何代前と何代前なのかを”×”を使って繋げて表記します。
エルコンドルパサーで言うと、Northern Dancer…4×3(このとき、本馬の18.75%が同血で構成されているとされます), Native Dancer…4×5(9.38%)等のような血統表の下に書かれた内容がそれにあたります。

Northern Dancerの4×3の時点で、エルコンドルパサーはNorthern Dancerから見て曾孫かつ玄孫になるわけで、その他にもクロスがあることに鑑みると、相当な近親相姦をしていることになりますね。

近親相姦は人間でも危ない行為であるため、法律でも禁止されている行為ですが、その祖先が持つ優秀な資質を発現させやすいというメリットがあります。
サラブレッドは速い競走馬を作り出すために生産される側面があるので、特に優秀な祖先のクロスを積極的に狙う生産者もいるようです。
(逆にデメリットとしては、その祖先が持つ良くない資質を発現させる可能性を高めるので、諸刃の剣と言えます。)

4×3または3×4のクロス(奇跡の血量)について

同じ祖先を4代前と3代前に持っているとき、その馬は特定の馬の血量を(18.75%)持っていることになります。
このような4×3または3×4のクロスを所持しているとき、そのクロスは”奇跡の血量”と呼ばれます。

この配合は、インブリードのデメリットを適度に打ち消しながら、メリットを伸ばしやすいという経験知的な配合手法の一つで、多くの活躍馬が存在しています(デアリングタクトエフフォーリアたづnトキノミノル、上述のエルコンドルパサー等)。

18.75%という割合が重視されることもあり、場合によっては3×5×5や、4×4×5×5の組み合わせでも奇跡の血量とみなす人もいるそうです。

全きょうだい(同血クロス)について

血統表内で同じ名前ではないが、その馬の父と母が同じ場合(その馬の兄弟、姉妹である場合)、同じ血統を持つ馬としてクロスを形成しているとみなす場合があります。
エルコンドルパサーでいう、Special、Lisadell…4x4x3がそれにあたります(両方とも父:Forliと母:Thongです)。

このような兄弟/姉妹同士で形成されるクロスを全きょうだいクロスと言います。最近だと、ディープインパクトブラックタイドのクロスが話題になったり、将来的に話題になる日が来たりしますね(なお、実現例

このような同じ血を重ね掛けする営みがクロスと言われています。
「血統表の下にある数字の意味がわけ分かんないよ」って方の一助になれたら幸いです。

番外編:ニアリークロスについて

厳密な定義はないのですが、少し触れておこうと思います。

ここまで読んできた方の中には、「競走馬の血統が父と母によって構成されるなら、例えばダイワメジャーダイワスカーレットみたいな、母は同じで父がほとんど同じ(サンデーサイレンスはアグネスタキオンの父である)みたいな完全一致はしないけどほとんど同じ場合、クロスはどうなるんですか?」みたいな聡明な素人質問怖いをしてくるお方もいることと思います。

実際こういう50%以上同じ血統を評価してクロス扱いする人もいます。このようなクロスのことをニアリークロスと呼びます。

最近だと、ダンスインザダークスペシャルウィークがクロスしたステレンボッシュが活躍していたり、将来的にはリオンディーズサートゥルナーリアシーザリオ系種牡馬のクロスが期待されたりすることが予想されます。

見つけるのは難しいですが、母系に同じ馬がいたときには、ぜひそれに掛け合わされている種牡馬を辿ってどこまで濃いクロスを形成しているかを確認するとニチャれ新たな発見ができると思います。
(そういえば、某ジャスタウェイの馬主が持つとある馬がハーツクライに狂っていることで有名なのだが、果たして……)

ニックスって、なに?

馬主のことです。
たぶん元ネタですが、ニックスとは優秀な競走馬が生まれやすいとされる特定の血統の組み合わせのことを言います。
クロスとは全く別物です!!

少し前だとステマ配合(父:ステイゴールド×母父:メジロマックイーン)が流行っていて、オルフェーヴルゴールドシップが活躍馬として出ていたり、「ハーツクライ産駒はDanzig系と組み合わせると早熟性が担保される」などと言われてジャスタウェイサリオスが出ていたり、「ディープインパクト×Storm Catは最強!(余談ですが、地味にコントレイルもStorm Cat持ちです)」だったりと、配合したら結果的に走った組み合わせがあったり、走ってしまったから何度も再現された組み合わせがあります。

このような組み合わせをニックスとして、生産者や予想家は評価して、走る競走馬を見定めています。
第0回でも書いていたことなのですが、キズナスワ―ヴリチャードのようなサンデーサイレンスを祖父に持つ馬がデインヒル(もしくはDanzig系)を持つと大舞台で活躍するというのは直近のニックスになるかもしれません。

クロスとは違って砂漠の中から宝石を見つけるような行為に近いですが、当然見つけたら有利になるので、「見つかったらいいな」くらいの気持ちで血統表を眺めているとよいかもしれません。

まとめって、なに?

ここまでのタイトルのつけ方に共通点と具体的な元ネタを当てられる人は円谷ファンかTRIGGERファンだと思う。

どうも、SSSS.MAMIJIROU(マミジロウ)です。
そういえば自己紹介をしていなかったような気がしたのでここで事故紹介と洒落こむことにしました。

ちなみにSSSSの意味はSuper Sophisticated Surprising Substantiation(すごく洗練された驚くべき証明)です。嘘です。
たぶん「んな崇高(うこう)な思考(こう)があるわけないっ」の略です。

ちなみに23-24シーズンの最終結果はトータルポイント賞8,333位、シェアポイント賞15,756位でした。来年はG1馬のほかに、重賞馬を1頭以上指名してトータルポイント5000位に入れればと思います。

え? シェアポイントランキングはどうするんだって?
えー、まとめに入る前にお知らせがございます。

JRA VAN POGには去年まで、シェアポイントランキングというものがございまして、指名者が少ないほどランキングが上がりやすいというランキングがございました。
去年まで参加していた方なら、ご自分のマイページからランキングを確認できると思います。

そのシェアポイントランキングが、本年からなくなりました——。

私はねぇ!そのランキングで一喜一憂するのがねぇ、大好きだったんだよ!!!!!!
なのにどうして消してしまったんだ!!!!!!??????
注:これまでのPOG参加歴は去年の1回だけです

いや、本当にびっくりしました。
たしかに、過去のランキングを見ていると、明らかにシェアポイントを狙いすぎて指名者数が少ない馬だけを選びに行くという目的が明らかに趣旨と異なっている指名方法をしている人がランキング上位を独占していたりしていて、ランキングに載るためにはそれ専用の指名リストを構築しなければならない事態になっていましたが、まさかなくなってしまうとは……。
これじゃJRA VAN POGの特徴は、芝レースだけしか対象にならないことくらいしか——(削除しきれてない)

というわけで、若干指名方針に変更があるかもしれないのですが、一旦は第0回での反省を踏まえて、地道に指名者数の少ない馬の中から走る馬を見つけていこうと思います。

一応再掲です(個人的なまとめも兼ねています)。

  1. 指名者数が少ない馬の中から良血馬を探してポイントを稼ぐ

  2. 出走前日時点で、指名者数が5000人を超えるような馬は指名馬から外す

  3. HaloとLyphardのクロスは重点的に

  4. サンデーサイレンス直系で母方にデインヒル(Danzig系)があるのは注目

  5. シーザリオ系種牡馬に注目

  6. ダービー重視で牡:牝=7:3くらいの割合にする

この他にも無意識に好んでしまう要素や意識的に嫌っている点があったりするのですが、最低限こちらは遵守していこうと思います。

というわけで、第0.5回、副読本的な回はいかがだったでしょうか?

少しでも血統を理解する上で一助になればと思います。
逆に不純物が多かったら大変申し訳ございません。
慙愧に堪えられず、辯疏の余地もなく、五体投地して陳謝いたします。

それでは次こそは第1回、サートゥルナーリア編でお会いしましょう。

次回


バックナンバー


引用


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?