見出し画像

中学受験を終えて⑤ 小学校の卒業式

卒業式当日。
着たくもないフォーマルな服を無理やり着せられて不機嫌なまま登校した次男。彼にとって卒業式とは、「スーツを着て、長時間立っていないといけない面倒くさい行事」くらいの感覚でした。本人の思い入れが薄いとこちらの熱量も上がらないものです。家を出た瞬間、側溝にはまって軽く膝をすりむいてたし。

式典が始まっても、何となく気持ちが盛り上がらない私。
でも、6年生の合唱の最中、隣に座っていた息子の友だちのお母さんが「あれ、うちの子泣いてる」
見ると、仲良しのT君が涙を拭いながら歌っていました。
その後、T君のお母さんと話をして、彼がどれだけうちの息子のことを大切に思っていたかを教えてもらいました。
受験前、塾のない日の放課後は必ず一緒に遊んでいて、受験後はほぼ毎日一緒にいたT君。仲いいなあとは思っていましたが、公立中学だったら一緒の学校のはずだったのです。息子が中学受験をして違う中学にいくことをどう思っているのか、ちょっと心配していました。
そしてお母さんの話を聞いて分かったこと。
T君は、息子の受験を心から応援してくれていました。受かったら、別々の中学なのに。

息子の受験日が近づいてくると、そわそわして神社にお参りに行きたがっていたそうです。
「俺の友だち、すっごく頭いいんだよ!」
「勉強わからないところ聞くと、すぐ教えてくれるんだ」
と、おばあちゃんにうちの息子の自慢をしていたそうです。
息子の合格を知った時は、本気で喜んでくれていたそうです。合格したってことは、もう同じ中学に通えないってことなのに。

T君は背が高くスポーツができる、どちらかというと次男と反対の雰囲気。次男は背が低くて、足も速くないし。でもお調子者なところが良く似ていて、不思議と気が合うようでした。

この、『不思議と気が合う』という存在に出会えるのは、ものすごく貴重なことだと思っています。なんだかわからないけど、一緒にいると楽な人。
大昔の、自身の小学校の卒業式にちょっと苦い思い出があって、ふと思い出してしまいました。
正解に言うと卒業式当日の思い出ではなく、6年生後半の苦い思い出です。ちょっと長くなります、ごめんなさい。

小学5年生から6年生まで、いつも一緒にいた友だちがいました。かおりちゃん(実名。ずっと前だからいいかな)。
学校も放課後もずっと一緒にいたのに、退屈した記憶が全くありません。楽しくて楽しくて。
かおりちゃんは足が速くて、マラソン大会ではいつも一番でした。私はかおりちゃんが一番になると自分のことのように喜んでいました。心から。

小学6年生の秋、ちょっとしたことでかおりちゃんとケンカをしました。理由さえ覚えていないので、些細なことだったのでしょう。いつもならなんとなく仲直りしていたのに、そのケンカだけはなぜかいつまで経っても仲直りしませんでした。お互い引っ込みがつかず、時間だけが経っていきました。
とうとう担任の先生が心配して、かおりちゃんと私を職員室に呼び出しました。
先生は「本当にいい友だちというのは、人生でなかなか出会えるものじゃない。先生には、お前たちがそんな関係に見えたんだけどな」とちょっと寂しそうに言いました。
その先生は、小学生にも本気で向き合ってくれる大好きな先生でした。
本当は私も仲直りしたかったのです。そして、いつか仲直りできるだろうとなんとなく考えていました。だってあんなに楽しく過ごしていたんだから。
でも、とうとうかおりちゃんと仲直りできないまま小学校の卒業式を迎えました。
正直、卒業式の記憶はほとんどありません。
ただ、かおりちゃんとケンカしたまま卒業を迎えてしまったことが心残りでした。

なんだかよくわからない思い出話になってしまいましたが、息子もそんな貴重な友だちに出会えたのかな、大切にして欲しいなと思いました。

私はうまくいかなかったんですけどね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?