質問と回答

 確認テストに寄せられた質問のいくつかを、ここから回答させてもらいます。

1.  沈殿するのはなぜ?

質問:混ぜたものをそのまま置いておくと、沈殿するのはなぜですか。

回答:すごくいい質問です!実は、溶液は絶対に沈殿しないのです。むしろ手を加えない限り沈殿しない液体のことを溶液と言います。でも、お味噌汁とか片栗粉とかは、そのまま置いておくと下の方に沈みますよね。あれは、化学的には「溶けてない」のです。化学の「溶ける」は、水和して分散する状態をさします。しばらくして沈殿するようなものは、粒子の大きさが大きくて水和しきれなかったもので、分類としては「固体」になります。めちゃくちゃめの細かいろ紙で分離できると思うので。沈殿は固体。テストに出るくらい大事ですよ。しかし、粒子の大きさが大きいのに、溶液みたいに分散する不思議な溶液もあって(コロイドと言います)それはもう少ししたら出てきます。

2. 有機溶媒がいまいちわかりません

回答:確かにそうですよね。溶媒というのは「何かを溶かす液体」のことですが、身の回りにある、純粋な物質で液体のものって何があるでしょうか。おうちにあるものでは、水の他には、石油とかガソリンとか、あとはサラダ油とかの油、くらいでしょうか。ホームセンターに行くと、ペンキを溶かす溶媒として説明の中ででてきたヘキサンや、ベンゼンという物質があります。学校の薬品庫には、普通の人は手にできないエーテルというものもあります(MPは回復しません)。

 この、太字になっている物質は、すべて無極性分子を溶かすことのできるタイプの液体です。無極性溶媒、と呼んでもいいのですが、これらはすべて「有機物」というカテゴリーの物質なので、まとめて「有機溶媒(または有機溶剤)」と呼んでいます。有機物とは何か、2学期に学習する予定なので、詳しくはしばしお待ちください。

3. プールの塩素はよく溶ける?

質問:塩素は水に少ししか溶けないと説明がありましたが、プールの塩素はよく溶ける印象です。固体だから溶けるんですか?

回答:いいところに気がつきました!身近なことと関連づけて学習してくれて嬉しい限りです。しかも塩素が固体ということを知っているということは、水泳部でしょうか。(水泳部、プールの管理いつもありがとう)

 実は、「塩素で消毒」といってプールに投げ入れている錠剤は、単体の塩素Cl2ではありません。次亜塩素酸ナトリウムという物質で、化学式がNaClOです。Na+とClO-というイオンでできたイオン結合の化合物なので、固体です(イオン結合の物質はすべて固体でしたね)。この、ClO-というのは、塩素の単体Cl2を水に溶かした時にできる(Cl2 + H2O → HCl + HClO)、次亜塩素酸HClOが水に電離した時に生じるイオンと同じです。みなさん、今までCl−はみたことあるけどClO-ってないですよね。これ、普通じゃないんです。だから普通になろうとする気持ちが強くて、そのためにものすごく酸化力があるのです。(化学的にいうと、ClO-はClの酸化数が+1なんだけど、本来Clは酸化数-1が一番安定なので、自分は電子を誰かから奪って酸化数を-1にしようとすることを、ここでは「普通になりたくて」と表現してます)

 調子に乗って説明しすぎました。とにかく、塩素の単体Cl2は、黄緑色の気体で水に少ししか溶けない「混ぜるな危険」の洗剤を混ぜると出てくる超危険な毒ガスなので、このガスは使わずに同じ効果がでるNaClOを使っているというわけでした。プールに溶けてるのは塩素ではなく、次亜塩素酸ナトリウムです。次亜塩素酸ナトリウムは、カビキラーとか塩素系漂白剤にも含まれています。

4. 単元テストはどうなりますか?

 こんな長くなったのに頑張って読んでくれたみなさんに、先行してこっそりおしらせします。単元テストをテスト形式で登校日に実施するのはやっぱり難しそうです...。でも、固体のことはもう清算したいので、レポート形式の課題にします。内容や提出方法は色々検討中ですのでお待ちください。ここで言えるのは、知識を暗記する必要はないと思いますので、セミナーの問題をやり終えたら、あとは溶液の内容の学習を進めててくださいね。


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