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トモダチができない時は

豆と小鳥エピソード181も先週に引き続き東京での
対面録音2回目の巻。
今週のテーマは「美容院」です。

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ちょっと前に東京に1週間くらい滞在した時に、
カナダの大学から東京の大学に交換留学中の息子と
ゴハンを食べながら、歩きながら、買い物をしながら、
たくさん話しをしました。

あんなに楽しみにしていた東京暮らしやったのに、
残念ながら今のところ、満喫できてないと。
ゴハンは美味しいし安いし、買い物は楽しいけど、
ガッツリ仲の良い友達ができないらしい。
20代前半の彼にとって友達の存在はとても大きいのに、
仲良くなりたいと思う人との出会いがないらしい。
寮で暮らしてるし、バスケのサークルにも入ってるし、バイトもしてるから出会いはたくさんあるのにね。

彼の半年の東京暮らしで私はいろいろな事が心配だけど、
交友関係はこれっぽっちも心配してなかった。
私よりコミニュケーション能力に長けているとさえ思ってたし、
学校でもスポーツチームでもバイト先でも、
今まで自然に友達ができて楽しくやってきてたから。

この話しを彼がした時、カナダに移住する一年前、
私も彼と全く同じ境遇になったことを思い出した。
おっちゃんが転職し、
友達も知り合いもひとりもいない街に私たちは引っ越した。
彼の転職先のお給料が良かったので、
労働意欲が湧かず私は専業主婦になりました。

おっちゃんは会社の公用語が英語のアグレッシブな外資の会社で
日々、コテンパンにやられ、
私は永遠に続くような退屈と格闘する日々。
新しい出会いを求めてジムに入会し、英会話スクールに入会し、柄にもなくお料理スクールにも通ったのに、全く友達ができません。

それまで私も友達は苦労しなくても自然にできた。
友達は作為的に作るもんではなくて、
仲良くなる子とは気がつけば仲良くなっていた。
だから暮らし始めた新しい街でも、
きっとそうなるだろうと思ってたのに、
気が合いそうな人と全く出会わない。
ちなみにいい人=仲良くなりたい人ではない、
私の場合は。

一日中、誰とも話しをしない日もあった。
孤独だった。
でもピンと来ない人に、さみしいからとアプローチする気には全くならず、
私は毎日の大半をひとりで過ごし、
時々、友達と長電話をしてやり過ごしていた。

そんなことが昔にあったので
息子に「それはどうしようもなく仕方ない。
友達は無理して作るもんではないので、新しい友達ができなくてさみしいと言う体験が今のかんちゃんに必要やから起こっているんだと思う」と話した。

彼は自分が意外にもintrovert(内気)で、振り返ると
今までほとんど向こうから積極的に働きかけてもらって仲良くなってきてた事に気づいたらしい。

日本とカナダの人との距離の取り方の微妙な違いや
お酒の量やはっちゃけ具合の圧倒的な違いなどを感じながら、
多分、生まれて初めて自分と言う人間を俯瞰する機会に
今、恵まれているんだと思う。

ひとりぼっちで退屈していた昔の私はある日、気がついた。
「時間がもったいない!友達ができないなら、1人で完結することに、
この有り余るエネルギーを注ごうではないか」

当時、30歳だった私は中途半端だった英語を猛勉強することにした。
時間だけはなんぼでもあったので、起きている時間の大半を勉強した。
さみしい不毛な時間は充実した生産的な時間に変容した。
集中して勉強することが楽しいとさえ感じたのが、自分でも意外だった。
英語で苦戦していたおっちゃんの代わりに英文書類を読んだりもした。
そして、バンクーバーに移住した時にこの時に学んだ英語は非常に役立った。

息子の嘆きを聞いて、この時の事を思い出したけど、
私がどーやって孤独から脱却したかは話さなかった。

すると数日前、日本は真夜中の時間帯に
彼から電話がかかってきた。
「無理して友達作ろうとするんはやめて、
あと数ヶ月は自分のことに集中することにするわ。
これからどうやって生きていきたいかプランして、それに向かって頑張るベースを作るわ」とふっきれたように、そう言った。
バンクーバーだと友達がいるから中々、難しいけど、
今なら自分の事に思う存分かまけることができるからって。
ひとりの時間をたくさん過ごして、そんな結論になったらしい。

できるだけ大学ではいい成績を取り、韓国人のお姉ちゃんが好きなのでハングル語も勉強し、ジムに通いカラダを鍛え、
バイト先では敬語を学んで、将来に備えるらしい。

究極、人はひとりで生まれ、ひとりで死んでいく。
ずーっとひとりはさみしすぎるけど、
ひとりでも満ち足りた時間を過ごすことができたら
無敵やと思うよと彼に話した。
きっとこの半年で彼のココロの筋肉は
しなやかに逞しく育っていくと信じたい、願います。

ストールの巻き方を研究しながら
おでんをグツグツ炊きながら
通勤帰りの電車の中で
お聴きくださったら嬉しいです。

今週のピックはバク担です。
マイケルジャクソンの「Heal the World」を
世界の天才児ちゃんたちがカバーしてます。
この子たちがイキイキと生きていける世界を
私たちオトナはちゃんと残さないといけないです。



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