あかね噺 第88席 感想

遊全さん、同期というか同キャリアくらいの同門のこぐまを今回初見、っていうのはちょっとばかり呑気だな、って思いました。

ということで、古典演目の掘り起こしについては自分の先週の感想と割と被っちゃうので、今週は遊全さん見て思った落語のマーケティングとかプロモーションについて。

落語は基本的に東京・大阪という限られた地域での興行を基本とした芸能です。例外的に地方での落語会がメインの人もいますが、基本的にこの大都市圏での興行・落語会での集客とその評価が落語家自身の評価や地方での落語会開催の基準になってたりします。

今は落語家の数も多くなった影響で落語会の数も多く、常に全国からの集客が望めるわけではないので通常はある程度固定された数のファンを奪い合うことになります。

あかね噺での阿良川流は落語会の企画やプロモーションを一剣さんが受け持ってて、かなりの遣り手感もありますが現実には一門の外部の企画会社や個人興行主がそういう作業を担います。

この「限定された一定数のファンの奪い合い」という視点から自分とキャリアが近くて今後なにかと比較されるであろう落語家の人数・傾向・キャラクター等々は絶対自身で把握してないといけない要素だと思うのです。ぐりこもあかね入門で視野が広がって上方修行に出たわけですし。

こういった自己分析と自分の強味を生かしたプロモーション戦略というのが視点が志ん太に一番欠けてた部分だと思うので(以前にも書いた気がする)単純な「落語すごい」って作品でないあかね噺でそういうところを掘り下げて行って欲しいと思います。

あと「朱に交われば赤くなる」の「朱」が「あかね」に掛かってて、これはいつか何処かで使おうと狙ってたフレーズだろうな、って思いました。事実兄弟子たちが奮起してるいいシーンで使われてて最高でした。

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