バスケの天才

小学3年か4年くらいの時、どういう経緯か全然覚えていませんが、ミニバスを習い始めました。
毎日放課後に残って、2時間くらい練習しました。
体を動かすことは好きだったのですが、先輩たちが苦手でした。ざっくりいうと陰キャを軽蔑するタイプの陽キャで、私は明らかに煙たがられていました。
でも、やり始めたからには中途半端に終わらせたく無いと思い、しばらく続けていました。上手くなっていけば、そのうち受け入れてもらえるかも知れないし、一生懸命練習していました。
そこそこ厳しい練習をしばらく続けて体力はつきましたが、あまりバスケが上達した実感はありませんでした。ひょっとしたら私は球技が苦手なのでは無いかと思いました。先輩との関係も相変わらずのまま、1年ほどが過ぎました。
ミニバスには大会があります。練習を続けていくうちに、私もようやく大会に出させてもらえることになりました。
結果から言うと、惨敗でした。私のポジショニングが悪かったのか、先輩たちの個人的な感情がそうさせたのか分かりませんが、私にパスが回ってきた覚えがありません。
キャプテンはワンマンプレーが先行し、ぴったりと相手にマークされていました。そこを強引にドリブルで突破しようとして体制を崩し、そこから無理にパスをして相手が受け取れなかったり、敵にカットされたりという展開が続きました。
私はパスをもらおうとして、敵を振り切ってキャプテンから少し離れた前方に出ても、キャプテンは敵を強引に押して進んできて、私に「邪魔だよ!」と言って素通りしていきました。私はそれで完全に気持ちが萎えました。惨敗して悔しかったですが、その反面清々しい気持ちにもなりました。

その日はコーチの奢りで、みんなでラーメンを食べました。先輩たちはテーブル席で盛り上がり、私とコーチはカウンターで黙々と食べていました。なんとも居心地の悪い空間でした。
私は大会の緊張が抜けきっていなかったのだと思います。飲み物をラーメンの右側に置いて、それを左手で取って飲み、また右側に置くという非常にちぐはぐな行動をとっていました。(何でこんなに飲みづらいんだろう?)と思っていると、見かねたコーチが無言でスッとコップを左側に置いてくれました。

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