「非常勤講師」でいいじゃん?
教員になりたいけど死にたくなかったので、私立高校で非常勤講師になりました。
教育実習中、夜中に泣き叫ぶ新米先輩教員を見てしまった私はすっかりビビってしまったのです。
(実際の学校現場はそこまでひどくないです。稀なケースだと思いたい。)
そんな時思いついたのが非常勤講師という選択肢。
教員になりたいけど毎日の残業と100連勤に耐えられない私にぴったり!
結論から言うと、この選択は本当に私にはぴったりだったのです。良かったね。
しかし、「ちょっとなぁ…」と思うことも多々あります。
非常勤講師になろうか迷っている人のためにほんの少しでもお役に立てればと思い、少しばかり情報を載せておきます。
【非常勤講師の実態】
その1、休日が多い(しかも大抵有給)
これは絶対に言い切れます。
休日がものすごく多い。
体育祭も、文化祭も、入学式も、卒業式も、修学旅行も、宿泊学習も、春休みも、夏休みも、冬休みも、生徒が居ない時はぜーんぶお休み。
学校の方針にもよりますが、基本は。
行事のお手伝いや引率、講習をお願いされることがありますが、断ることも出来ます。私は面白いし別途お金がもらえるので全部引き受けてます。
そうです。「別途」お金が出ます。
お休みの期間中でも、なんにもしていなくても、出勤さえしていないのに、大抵の学校ではいつも通りの月給が発生するのです。
すごいですよね。申し訳なくなってきました。
例えば、毎月20万円もらっている先生は、夏休みはなんにもしなくても口座に20万円が振り込まれます。夏期講習を持っていればこれに+3万円やら5万円やらが上乗せされるので、8月のお給料は23万になるということです。
その2、給料は意外と貰えることもある
曖昧な言い方でごめんなさい。事情があります。
学生の時、大学の先生方に言われたことナンバーワン↓
「非常勤講師じゃ食っていけないよ」
たぶんこのイメージはものすごく強いです。
先生方も脅すつもりじゃなく、本当に私のことを考えて言ってくださったのだと思います。とてもお優しい方ばかりだったので。
私もこれは覚悟していましたし、実際に1年目に勤めていた学校の給料はすさまじいものでした。意を決して晒しますが、もちろん学校名は伏せますね。
週4勤務 週16コマ担当 で
月給 13万円(額面)
「え、週16時間しか働かないんでしょ?よくない?」
と思うかもしれません。
新卒1年目で何の経験も無かった私が悪いのですが、1コマ授業をするために平均1時間授業準備をしていました。この時点で週32時間。
さらに、課題の採点担当を任され、200人分の作文が毎週ドサッと私の机にやってきます。これを読んで添削してコメントを付けていく作業を金曜日までに終わらせなくてはなりません。何時間かかっていたか覚えていません。残念ながら手当はありませんでした。
テスト作成や成績処理はもちろんやりますし、受験生の面接練習や過去問の質問も受け付けていました。
それでも、13万。
13万円というのは、都内で普通の女が普通の家に住み、普通に一人で生活していくのには絶妙に足りない金額です。
私は週2~3日で添削のアルバイト(赤ぺ○先生的な)をしながらなんとか生きていました。しかし繁忙期になるとそちらに出勤することも難しくなり、働けば働くほどお金が無くなっていきます。
身の回りのもの、例えばバッグやコート、腕時計なんかを売って、やっと手に入れた4000円で給料日まで食いつないだこともありました。
SEIKOの腕時計は2000円でした。かわいそうに。
ぼーっとしていたら無意識に「パパ活 何円」と検索していた時、両親や恋人、何より生徒たちに顔向け出来ないと思い、そこでやっと転職を決めました。たしか秋の終わり頃だったと思います。
転職にかけた期間は2か月ほど。
こんな目に遭っておきながらも非常勤講師を続けたかった私は、非常勤講師の募集にばかり応募しました。
結果はすべて合格でした。
万年人手不足の学校業界。使い勝手の良い非常勤講師。常に売り手市場です。若いことも強みになったのかもしれません。
いくつかの学校から選ぶことになったのですが、そこで気にしたのはとにかくお金。お金お金お金。生きていくのに必要なお金です。
なので、給料を教えてくれない学校はお断りしました。
これ、未だに信じられないことなのですが、
非常勤講師のお給料って募集要項に載っていないことが多いんです。
びっくりですよね。びっくりしませんか?
お給料が分からないまま入社する職業って他にあるんでしょうか…
だいたいで良いから教えてほしいですよね。
なので、「本校給与規定に準ずる」(これがお決まりの文言)の学校は面接の際にお給料を聞いて、それでも答えてくれなかったら辞退ということにしていました。
お給料を聞いたら面接に落ちる、というのはたぶん迷信です。
もしそれで落とされたら「言えない程度のお給料です」ということなので、他にした方が良いかもしれません。
結局最後に決めた学校は募集要項の時点でお給料を明示しているところ。
なんと、月給が2倍以上に跳ね上がりました。
週5勤務 週20コマ担当
月給29万円(額面)
ボーナスや退職金はありませんが、私には十分な額に思えました。
長くなりましたが、結局何が言いたいのかと言うと、
ちゃんと見定めれば非常勤講師で食っていける!
選択を間違えるとひどい目に遭う!
ということです。現在も副業をしていますが、なくても大丈夫かなというお給料をキープしています。
その3、やっぱり不安定
私立の非常勤講師の場合、多くの学校では3年で契約が打ち切られます。
これはどんなに優れた先生でも同じです。
(もちろん、勤務態度がひどければ1年で切られます)
3年ごとに学校を変えないといけないというのは1番のネックかなと思います。大変ですし、不安です。
しかし、
3年A高で働く→1年B高で働く→またA高に戻ってくる
ということは出来ると聞きました。謎制度です。
周りの先生方は3年契約の最後の1年は他校と掛け持ちしてそのまま翌年は掛け持ち校に移る、というのを繰り返しているそうです。タフすぎます。
その4、行事の時ちょっと寂しい
行事の時はお手伝いをさせてもらっていますが、やはりちょっと蚊帳の外感があります。
専任の先生方が何か話し合っていて私には何のことか分かりませんし、生徒たちも難しいことは私には聞いてきません。
ちょっとだけ寂しいなあと思います。
その5、生徒との距離はある意味近い
専任の先生方はとにかく忙しいです。
担任業務、委員会、部活動、広報や教務関係…
その合間に授業準備をしていらっしゃいます。
本当に頭が上がりません。
生徒たちもそのことは分かっています。
でも、どうしてもここの問題が分からない…
でもでも、先生は席に居ない…
職員室でウロウロします。
そこで目に留まるのが、唯一席についている私のようです。
私はこの「なんか便利なやつ」的な立場を気に入っているので、わざと放課後の職員室で暇そうにしたりしています。
もちろん残業代はつきませんが、お忙しい先生方や困っている生徒たちの助けになれれば本望だと思っています。
これが嫌だなあと思う人は、さっさと帰ってしまえば生徒たちも追いかけてはきません。人それぞれだと思います。
他にもいろいろありますが、目が疲れてきてしまいました。
長くなってごめんなさい。
いまだに「専任になれば?」とのお声をいただいたり、
「なんで非常勤なの?」と言われたりなどします。
両親にも心配されますし。
しかしながら、のんきな私は「これでいいじゃん」と思っているのです。
もしあなたが将来を決めかねている学生さんなら、非常勤講師という選択肢を視野に入れてもらえるとなんとなく嬉しいです。
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