【活動レポート】新渡戸文化高校スタディツアー
みなさん、こんにちは。まめなプロジェクトです。
2024年11月中旬、東京の新渡戸文化高校より高校生6名をお迎えし、4泊5日のスタディツアーを受け入れました。当記事では、スタディツアー当日の様子とその場での高校生たちの反応をあわせてお伝えしています。ぜひ、最後までお読みください!
今回の旅のテーマ
まめなが活動する大崎下島久比地区には、豊かな自然環境と互いを支え合う地域コミュニティがあります。また、まめなには、それぞれの興味関心や現状に抱いている違和感、本当はこうなったらいいのにという願いにもとづいて、よりよい未来をつくろうと日々試行錯誤している人たちがいます。
そこで、今回のスタディツアーでは、久比の地域の方々やまめなのメンバーたちと共に時間を過ごし、自分にとっての豊かさや理想の未来の暮らしを考えることと設定しました。
久比でしかできないことを味わいながら、普段の都市での生活と久比での生活を比較しながら、自分自身がなにを大切にしたいのか、これからどんな方向へ進んでいきたいか、考えていきました。
Day1 ~着いてすぐにみかん収穫🍊~
スタディツアー初日の朝、新幹線で東京を出発し、久比に着いたのは16時過ぎでした。到着するやいなや、荷物を置いて、地域の方の柑橘畑へ。急な山の斜面につくられた段々畑で、日が暮れるまでの30分ほど、みかんの収穫を体験しました。
畑を案内してくださった片山さんが「好きなだけとってええよ」と言ってくださり、両手いっぱいにみかんを抱えて帰る人もいました。たった30分ほどの体験でしたが、帰り道に片山さんが管理している畑の広さを知り、その作業の大変さが少し想像できたような気がします。
収穫後、まめなへ戻り、まめなで暮らすメンバーとともに総勢15名超えで晩ごはんをいただきました。さらには地域のおばあちゃんから刺身のおつくりもいただいてしまい、お腹も心も満たされる晩ごはんでした。
Day2 ~久比の暮らしに飛び込む~
2日目の午前中は、3グループに分かれ、久比の日常の一部を地域の方と一緒に体験させていただきました。
久比ではほぼすべての家に「農床(のうとこ)」と呼ばれる家庭菜園があります。農床仕事へ向かった2人は、農具の使い方や肥料の按配を教えてもらいながら、玉ねぎの植え付け、パセリの定植、ピーマンやカブの収穫のお手伝いをしました。収穫した野菜は、「自分らで食べんさい」といただくことになりました。
2つ目のグループは農床おかず会へ。農床おかず会は、地域のおばあちゃんたちが農床で収穫した野菜を持ち寄りおかずを作って一緒に食べるコミュニティランチのことで、毎回15~25名ほどのにぎやかな集まりです。
普段は目にすることのないかまどを使った調理を手伝ったり、ちょっとひと休みと縁側に腰掛けたりしながら、おばあちゃんたちとたくさん会話ができました。
3つ目のグループは、地域の方の家へお邪魔させていただきました。「前回会ったことを覚えていてくれたことが嬉しかった」と言っていたのは、久比を訪れるのが3度目になる高校生。同じ場所へ来ても、来るたびに少しずつ土地や人と自分自身の関係性が変化していくことで、毎回違った味わい方ができるのかもしれません。
このお家では、お茶と手作りシフォンケーキをいただきながら、将来どんなことをしたいのか聞かれたり、反対に若い頃どんな経験をしてきたのか聞いてみたりしました。
この日の午後は、二手に分かれて、焼き芋づくりとみかんジャムづくりをしました。
Day2の晩ごはんは事前に作りたいメニューを考えて、チキンライス、ポトフ、野菜とゆで卵のサラダを高校生たちが手分けして準備しました。
午前中にいただいたカブをポトフに加え、収穫をした生徒は、「自分で作ったごはんがうまい」と感想を残し、おかわりもしていました。
Day3 ~理想の未来を描くワークショップ~
久比の人たちとたくさん話した2日目を終え、Day3は理想の10年後の暮らしを描くワークショップをしました。
このワークでは、つい漠然と想像するだけで終わってしまいがちな未来のことを、できる限り具体的に、どんな日々を送っていたいか描いていきます。
例えば、家ひとつをとっても、たくさんの問いがあります。
このように、細かいところまで具体的に考えてみることで、自分が大切にしたいこと、本当に欲していることが見えてきたり、逆にまだわからない部分に気づきやすくなります。
午後はできあがったものを発表会の形式でお互いに聴き合いました。
人の発表を聞いて自分も考えてみたい観点が増えたり、聞き手の感想や質問から、自分にとって大事なポイントが浮き彫りになってきたりする時間になりました。
高校生たちの感想の一部もご紹介します。
ワークショップ成果物 「10年後の理想の暮らし」
Day4 ~やりたいことをやる1日~
久比にいるのも残り1日ちょっととなったDay4は、自分たちでやりたいことを見つけ出してやる、というテーマの1日でした。
自分たちが描いた10年後の理想の1日の一部を実践してみたり、まめなに暮らす人たちからのいくつかの提案に乗っかってみたりして、一峰寺山の展望台登りと湧き水くみ・コーヒー焙煎・七輪で焼き鳥・カクテル教室・釣りと、盛りだくさんな1日を過ごしました。
前日の昼から何をしたいか考えはじめ、釣りがしたかった2人は手元に釣り竿がなかったので、3日目の夕方集落を歩き回って見かけた人に貸していただける釣り竿があるか聞いていきました。
4日目夕方海へ向かいましたが、ここでは釣り糸が絡まるというハプニングが発生。すると、偶然釣り竿の持ち主が通りかかり、手伝ってくれ、最後には家にあったイカのおすそわけまでいただきました。
まめなでは、「やりたいことをやる」ということを大切にしていますが、いざやりたいことをやろうとすると、様々な問いや葛藤や困難が生まれてくることが少なくありません。また、ひとくちに「やりたい」と言っても、シンプルな快/不快から、人生のミッションのようなことまで幅広いレイヤーが存在しています。決して楽しいことばかりでなくても、それでもやりたい、と思うことがあるかもしれません。
3日目の夜、明日したいことの作戦会議を行いましたが、その時には「久比に来てからなにができただろう?」とモヤモヤする気持ちや、「次の日なにをしようか考えられる幸せと、何をしたらいいかわからない時に困惑する」という話も出てきました。今回は短い時間でしたが、まめなにいる人たちが日常的に体験している「やりたいことをやる」を通じた冒険を味わうことができたのかもしれません。
Day5 ~久比の生活から東京の日常へ~
そして迎えた最終日は、朝から使ったお部屋の掃除とシーツ類の洗濯を協力して行いました。
朝食では自作のジャムと、焙煎したコーヒーもいただきました。
出発の時間が近づくにつれて、なんとなくソワソワした感じもありつつ、最後の振り返りの対話が始まりました。
この対話では、以下の2つの問いを中心に、それぞれが感じていることを聴き合いました。
最後に、スタディツアー中の食事を作りながら見守ってくれていた、まめなファウンダーの更科さんのからも言葉をいただきました。
「みなさんの描く10年後は思ったより現実的な方向だったのでちょっとつまらないなあと思ってしまいました(笑)。社会のあり方や今ある当たり前はきっとどんどん変わっていくと思います。その中でも、未来は自分たちでちょっとずつ望むほうへ変えていける、という希望をもっていてほしい。」
文章・黒澤 季理
写真・福島 大悟