おいしい大豆

CGデザイナー。狭い世界の窓から語ります。

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最近の記事

私がブラジャーを好きになれた話

初めてブラジャーを身に付けたのは中学生の頃だった。自分の意思とは無関係に膨らんできた胸の為に、母に連れられ嫌々ブラジャーを買いに行った。メジャーで胸を測られている時の、不安や嫌悪、女性特有の体つきに象徴される母性像に自分が重なってゆく羞恥心は、テレビや雑誌などあらゆる媒体で性的客体化される女性のイメージに自分が近付いてしまったという嫌悪感から来ていたと思う。 自分の体が『とうとうこんなものを付ける人間になってしまった』という、自分が着実に女という化け物に変わっているという不

    • やさしさへの甘えや依存。

      身内だけに頼るのは限界があって、どうしても優しく接してくれる医療者に甘えが出たり依存的になりがちである。健康的な人より医療者に対して抱く理想や期待も大きい分、理想と現実の乖離に直面した時(診察で自分の欲求が満たされなかった時)の落ち込みも激しい。 頭痛外来の先生に関しては最初のうちから頭痛を含めて、そこに紐づいてくるASDだとか心の話も含めてフィードバックをくれる、思った以上に寄り添ってくれる先生という印象で固めてしまった為に、余計辛い。 最近は時間をかけてフィードバック

      • そういうふうに出来ている。

        免許返納した祖母の所に今日はシニアカーの試運転の為、業者の方やケアマネさんが来てくれたんだけど、 祖母本人はいつも 『一人暮らしが気ままでいいデイサービスなんて行きたくない』 と言っていて、でも今日みたいに来客がある度に 『自分は1人で庭の手入れをしてる』とか、 『これだけ苦労して生きてきた』とか、 人が話しているところに強引に割り込んでまで自分の話をし始める。 なんかそれを見ていたら、人は何歳になっても人と話すことに飢えていて、 『凄いねぇ』『若いねぇ』 と、

        • 30代の思春期

          最近は出来るだけ湯船に浸かるようにして、保湿にウェイトを置いてケアするようになった。入浴中、乾燥防止の為に化粧水をベタベタ塗りたくっていると自分が普通の女の子っぽくなってきたという実感がする。皮脂の詰まった毛穴のブツブツも消えて、顔も大分スベスベになった。体重の事以外で良い結果を残せた事が素直に嬉しい。長い間女らしくなる事に私は抵抗を感じていたので、肌の荒れが気になっても無頓着な振りをして自分を守らなければならなかった昔の自分に教えてあげたい。 『今の自分より綺麗になるとい

        私がブラジャーを好きになれた話

          生き延びるための哲学

          子供の時に感じた違和感とか、 女性である事とか、 世の中を『理論というよりなんとなく』でエモーショナルに適応している人が恐らく多数を占める中で(多分、だから私は定型にカテゴライズされないのだろう)、私は私がそうした世の中で折り合いを付けながら生きる為に、いつも物事に対して何かしら論理的理由付けをする事で既存の枠組みに自分を適合させて、結果社会との摩擦で消耗してきた。 会社を辞めた翌年(記録では2017)に『生き延びるためのラカン』という本を読んで、正直本の内容は覚えていな

          生き延びるための哲学

          女性失格

          女性として綺麗になる事が目的ならば、もう少し体重を増やすことに積極的になれたと思う。でも私は健康な人より不健康そうな人を美しいと思っている。その病的な所に、女性的なものとは違う美しさみたいなものをずっと感じてきた。 残念ながら私の脚が棒のようになる事はなかったけど、今でもまだ、小さな子供の、まだ男でも女でもない細い手足を羨ましく思っている。 大学病院の待合室には拒食症患者がゴロゴロ控えていたけれど、私は 「この人達と自分は種類の違う人間だ」 と感じていた。

          医療者との関わり

          『先生に迷惑かけないで』 とよく言われる。 辛くて診察中に泣いたり、自分が描いた絵をクリニックに飾ってもらったり、私の医師への関わり方は健康な人からは異質で幼稚に映るのかもしれない。実際には医療関係者に依存せざるを得ないだけなんだけど。 ところで、医療関係者から貰った一言メッセージを大事大事に保管してお守りにしてる人がいる。あれ、いいなーと思って、私も先生たち(総勢4名)にお願いしてノートに一筆書いてもらった。 で、昨日の通院で『先生たちのお言葉』無事コンプリート。何も

          医療者との関わり

          無知の知と私

          最近インスタでメイク動画を見ることが多い。 見ればみんなメイクを施す直前に顔に謎のミストをシュッシュっと吹きかけている。それが一体何なのか私は長い事分からなかったのだが、それが化粧水ミストである事を最近知った。 予め保湿しておくとファンデーションが乗りやすいというのは暗黙の了解であったのか? 一体みんなどのタイミングでその知識を身に付けたのか? 甚だ疑問であるが、そんな事誰も私に教えてくれなかったし、そもそも私は自分がそれを知らない事も知らなかった。 私は多分、人生にお

          その後の苦しさ。

          まだ生きている気がするんだけど、急に呼吸が止まった父の姿を思い出し、その瞬間が脳裏に焼き付いて離れない事がある。 病室に入った時には看護師が淡々と薬剤を注入するだけで、たまに病室に入ってくる医師の説明は 『それもう助かる見込みないってことだよね?』 としか解釈出来なかった。 そんな状態の父に医師がかかりっきりになることはなかった。それは他にも患者さんがいるし仕方がない事だけど、父のプライオリティが低いと判断されたのだろうかと思うと泣けて泣けて仕方なかった。見せかけでも

          その後の苦しさ。

          おとうさんありがとう。

          父が急死した。 夜間診療で当初虫垂炎を疑われていたが、その後のCTの結果から医師の見立ては大腸癌だろうとの事だった。しかしお腹の右側に大腸を塞ぐ形で出来た悪性腫瘍がかなり大きく、それが原因で腸がパンパンに腫れていた。どうもそれが痛みの原因になっていたようだ。 直ぐに入院して欲しいと言われたが、本人の強い希望で一時帰宅、翌日早朝に入院した。 入院後あちこちの科を周り消化器内科でステントを入れて容態は安定していたものの、6日昼に急変、吐いて意識を失った。病院から連絡を受けた

          おとうさんありがとう。

          椎茸との戦い

          私は自分の席でボッチ飯を通していたが、勤めていたIT企業には社食があった。ある日のお昼休憩の事。社食の脇の通路を通った時、ぷーんと嫌な香りが鼻を突いて、思わず顔をしかめた。 小学生の頃の話だ。当時給食は残してはいけないという謎ルールがあった。先生には『よく噛んで食べろ』と言われたが、そんな悠長な事を許してくれる程給食は易しいものではなかった。一人分の量が多かったのだ。私は時間内に食べきる事が出来ず、掃除で埃が舞う中毎日のように“居残り給食”をさせられていた。たまに時間内に食

          椎茸との戦い

          花は咲く。

          昨日、安倍さんが荼毘に付された。 霊柩車とか岸田さんたちが手を合わせている姿とか、それを観たからといってボロボロ涙が出てくるわけでもないが、ただ自分の心臓のとこに鉛がぶら下がってるかのように心が重くてかなりしんどい。 演説中に銃声が鳴り響く瞬間とか心マ受けてる様子とか、テレビで繰り返し流れるのを観ていたのもあんまりよくなかったかもしれない。 そんな中で、安倍さんの訃報をアーサー・C・クラークの『幼年期の終わり』に喩えたツイートが目に入った。 ———— 永田町にはもう、

          バロンが死んじゃった話

          2021.12.06 1日〜2日にかけて、この時の猫に対する気持ちを出来るだけ忠実に残そうと思って、その都度感じた事をメモしたものをより近しい表現に直しつつ繋げました。 2021/12/01の正午過ぎ、飼い猫が急死した。目が大きくて毛並みはふわふわで、初めて写真を見た時は『ライオンみたいだな』と思った。飼い主にはよく甘えてきたが、その風貌の反面、知らない人が来れば一目散に逃げ、病院に連れていくのも憚られる程臆病な子だった。それでも最近年齢のこともあり、調子も悪そうだったので

          バロンが死んじゃった話

          ウクライナ情勢における『気持ち悪さ』のはなし

          ※本件は『ロシアが侵攻した事は事実で糾弾すべき』という前提で書いております。 ロシアがウクライナに侵攻してからEテレしか観られない日が続いている。ウクライナを支持する世論がなんか気持ち悪い。遠い同盟国でもないウクライナを躍起になって持ち上げるこの異様な空気感。TVだけに留まらずSNSやiTunesにまで『ウクライナを支援しよう』という広告が出るようになった。Meta社に至ってはInstagramやFacebookでのロシア人に対するヘイトが一時的に許可され、Twitterで

          ウクライナ情勢における『気持ち悪さ』のはなし

          『女らしさ』の話

          女の子だけど、女ではない『女の“子”』と言われるのは平気。でも『大人の女性』として周囲から認識される事と、自分がそういう身体的な要素を持っている事に嫌悪感がある。これは私が性同一性障害とかではなく、「客体化される事への嫌悪」と、成熟拒否(特に肉親に 受胎可能な雌として認識されないための自己防衛)というものが根源にあるような気がする。 成熟拒否からの摂食障害特に父親との間でこの感情(女である事の不快感)が顕著に表れるのは、昔から父親の言葉の端々に、自分が娘である前に『“女(客

          『女らしさ』の話