見出し画像

2023年10月6日・7日伊東洋平「静岡と東北 きずなコンサート」@清水マリナート


10月6日(金)清水マリナート小ホール

■10月6日(金)
「静岡と東北 きずなコンサート」(1日目)
会場:マリナート(静岡市清水文化会館) 小ホール
時間:開場18:15 開演18:45
出演:Orange Leaf / 伊東洋平
料金:全席自由席 2,500円 ※小・中・高校生1,500円
   ※当日券は各500円アップ

仙台市在住で、宮城県を中心に活躍するシンガーソングライター・伊東洋平さん。
静岡県静岡市清水区から、洋平さんを熱烈に応援する望月先生との出会いをきっかけに、2017年よりほぼ毎年、静岡市の清水区でライブを開催されています(※2020年のみコロナ禍のためお休み)。

今年も、10月6日(金)清水マリナート小ホール、10月7日(土)マリナートリハーサル室にて、2daysのコンサートが行われました。

望月先生と洋平さんの出会い、ライブ開催の経緯については、昨年のライブレポをご参照ください。

望月先生のご挨拶

洋平さんのコンサートは、”音楽で街を元気にする”という志で活動を続ける「清水うたい隊」が主催であり、その主宰を務めるのが望月先生とその奥様です。
望月先生は長年、小学校の教師、教頭先生を務められ,数年前に退職されました。
今回、望月先生による開幕のご挨拶で、私がとても心に残ったお話がありました。以下、望月先生のご挨拶から抜粋します。

「…43年前、自分が教師になったころ、明日にでも東海地震がくると言われていた。もしその時がきたら、生徒の子供たちをどうやって守るか、ずっと考えながら生活してきた。
2011年の東日本大震災が起こった時、卒業式の総合練習をしていた。生徒たちを必死で避難させたことを昨日のことのように覚えている。
ニュースで被災地の惨状をみて、静岡で起こるかもしれなかった出来事が起きていると感じた。東北の苦しみを他人事だと思えなかった。」

望月先生は2013年から毎年、岩手県山田町や、仙台、気仙沼など東北の被災地を訪れ、「歌で元気を届ける」というボランティア活動を続けていらっしゃいます。
震災から10年以上たった今なお、活動を継続され、被災地に思いを寄せられているのは、こういう思いがあったからなのだと、胸にこみあげてくるものがありました。

被災地でのボランティア活動をきっかけとして、仙台で伊東洋平さんに出会い、洋平さんの歌と人間性に惚れ込み、清水でのホールコンサートを成功させるまでになった望月先生。
不思議な縁と、望月先生の熱意、歌の力を信じる心に、胸が熱くなりました。

第1部

まずはオープニングセレモニーとして、清水区のゆるキャラ「シズラ」が登場!
洋平さんや、「清水うたい隊」から2023年5月に誕生した静岡市出身の大学生4人組アイドルグループ「Orange Leaf(オレンジリーフ)」とのフォトセッションがありました。

左からOrange Leaf(レナ、マナ、モモミ、ミユウ)、シズラ、伊東洋平。撮影OKタイム
清水のキャラクター「シズラ」さんと洋平さん。洋平さんの衣装について、グリーンのセットアップは静岡のお茶を、インナーのオレンジはミカンを意識してコーディネートしたそう

*********************

フォトセッションのあとは、静岡を拠点に活動する3組が登場。

1人目は、「清水うたい隊」のボランティア活動に過去3回参加されたという鳥羽達也さん。ピアノの生伴奏で、「見上げてごらん空の星を」(坂本九)、「糸」(中島みゆき)の2曲をマイクなしで独唱しました。

2人目は、清水を拠点に活動するラッパーNOIZHOUND(ノイズハンド)さん。「スタンド・バイ・ミー」をサンプリングをしたトラックにのせてラップを披露するなど、幅広い層も楽しめる曲で会場を盛り上げました。

そして3組目、Orange Leafが登場。
今年5月に活動を始めたばかりの4人組ですが、「Ready Go!」のプロモーションビデオには、総勢704名の清水の皆さんが登場していたり、清水のイベントに数多く出演するなど、早くも話題を振りまいています。
この日は、「Ready Go!」と、清水エスパルス応援ソングとして制作された「Victory」の2曲を披露。
「Ready GO!」「Victory」はともに藤井理央さんが作曲・編曲。
ダンスパフォーマンスもかわいらしい、元気いっぱいの曲に、観客も笑顔になりました。

出演者プロフィール(パンフレットより)

第2部(伊東洋平さんライブ)

第2部、伊東洋平さんのステージ。
この日のサポートメンバーは、ピアノ藤井理央さん、Eギター芳賀義彦さん(ヨティさん)、パーカッション安部優莉奈(ゆりな)さん。

ステージに登場したメンバーと洋平さんは、円陣を組み「エイ!」と気合の咆哮をあげ、「Let set jump」からライブがスタート。
明るく疾走感のある洋平さんらしいナンバーで、オープニングを飾ります。
ヨティさんのエレキギターの音色が楽曲にアクセントを与え、いつもとは違った雰囲気でとても良かったです。
洋平さんは「声をきかせて!」と、観客に「♪ララララ」「♪ヘヘイヘイ」とコール&レスポンスを煽ったり、2曲目「ピース」ではサビのピースを一緒に歌ったりピースサインの振り付けとしたりと、冒頭からオーディエンスとの一体感を作り上げていました。

清水マリナート小ホールでのライブは、昨年に引き続き2回目。
MCでは、「昨年も来た人」「初めて来た人」を尋ねたところ、半々くらいの割合で、昨年のリピーターと新しいオーディエンスが入り混じる会場でしたが、洋平さんの清水でのライブが定着していることを感じました。

続いて、「皆さんの中にある”ありがとう”という気持ちを感じながら聴いてくれたら」と歌った「ありがとう」
洋平さんがドイツに旅をした際、海外の街並みや街の歴史からインスピレーションを受けて制作したという「星空のオーケストラ」は、理央さんのグランドピアノで奏でる旋律が美しく、ヨティさんのギターもやさしく、ゆりなさんのカホンやウィンドチャイム、シェイカーで作り上げるサウンドがとてもロマンティックで、素敵な雰囲気でした。
ドライブしているような流れるメロディが心地良い、秋の風景を描いた「Sunny」と3曲を歌い、会場は温かな雰囲気に包まれました。

サポートメンバーが退場し、洋平さん1人の弾き語りタイムに。
「望月先生と出会えた感謝の歌」として、「♪出会えた奇跡があるからこそ」と、「希望の扉」を望月先生に贈りました。
続く「ブラシカ」も弾き語りで、明るく力強く歌い上げます。

この日のライブで、白眉だったのが「花は咲く」でした。
2011年3月11日、当時はイケメン’ズというデュオで音楽活動を行っていた洋平さん。震災当日は、イケメン’ズのライブ出演のため大阪におり、地震のことをニュースを聞いてとても驚き、高速で仙台へ向かい、その日の夜になんとかたどり着けたのが、静岡だったそうです。
その晩は、「静岡のホテルで眠れない一夜を明かした。翌朝の空がよく晴れていたことを覚えている」とお話されました。
それから時が経ち、望月先生と出会い、静岡で「東日本大震災」について真剣に耳を傾け、向き合ってくれている人とたくさん出会ったという洋平さん。
「皆さんとこうして笑顔で生きていることに感謝」「心をこめて歌いたい」と、マイクから1mほど離れた場所に立ち、ギター弾き語りの生声で「花は咲く」をフルコーラス歌い上げ、ホールに歌声を響かせました。
マイクがない分、観客も歌声に集中して引き込まれるように聞き入り、歌い終わった後の拍手がとても大きく、鳴りやみませんでした。
「花は咲く」はイケメン’ズとしてボーカルに参加しており、挨拶代わりのカバー曲として、今までも何度か静岡で歌っていました。
しかし今年の歌声は、洋平さんの歌、洋平さんの「花は咲く」になっていると感じました。とても素晴らしかったです。

サポートメンバーが再登場し、明るさと希望に包まれた「リボン」を演奏。洋平さんは自由にのびのびと、ステージを大きく動き回りながらギターを奏でます。「♪君に出会えてよかった だから清水に来れた~」というご当地フレーズがうれしい。理央さんの心華やぐピアノソロ、ヨティさんのソリッドなギターが冴え、会場全体が明るさに満ちていきます。
続く「イモ天サンデー」では観客と一緒にダンス。一体感に包まれたまま「The game is still on」へ。洋平さんの熱唱、オーディエンスの頭上でのハンドクラップ、理央さんの超絶技巧ピアノソロ、ヨティさんのキレキレのギターが会場に熱気を運びます。「♪限界なんてまだまだ」というフレーズが刺さる。
洋平さんから「命燃やしてます!」というセリフが飛び出しました。

「生きていく中で、思った通りにならないことや伝えきれないことが、誰にもあると思う。そんな思いを歌にして、音にして、みんなの気持ちと重なっていけたら」と言って披露した新曲「あいのうた」。メロディアスで情熱的なラブソング。ヨティさんのギターソロがパッションあふれて最高でした。

ラストの曲、「繰り返していくから新しい出会いがある。新しい感じ方がある。そう思ってみんなと生きていきたい」と思いを述べ、「Refrain!」を歌い、ステージを終えました。

アンコールでは、メンバー全員がYoheiTシャツを着て登場。
洋平さんが観客全員とじゃんけんをして、最後まで勝ち残った人に源氏パイを配るというコーナーがありました(源氏パイは、後述する洋平コラボメニューを提供する「宮本商店」さんから頂いたもの)。

毎年、洋平さんがその年の集大成として挑む大きなライブが、来年1月28日に仙台PITで行われることを発表し、
「静岡からも来れたらぜひ。望月先生の大型バスに乗ってきてほしい」
とお話されました。(望月先生は一昨年の仙台サンプラザホール、昨年の電力ホールと、大型バスをチャーターし仙台までかけつけたのです)

変わっていくもの、変わらないものを歌ったという「TKDB」では、メンバーそれぞれのソロがあり、味わい深く、歌に深みを増しているようでした。オーラス、「また会えますように!」とあいさつをして、「TSUBASA」を力強く歌い上げ、で1日目の幕を閉じました。

■1日目セットリスト

伊東洋平さんセットリスト(’23年10月6日@清水マリナート)
01 Let set jump
02 ピース
03 ありがとう
04 星空のオーケストラ
05 Sunny
06 希望の扉
07 ブラシカ
08 花は咲く
09 リボン
10 イモ天サンデー
11 The game is still on
12 あいのうた(新曲・表記不明)
13 Refrain!
~アンコール~
14 TKDB
15 TSUBASA

10月7日(土)マリナート・リハーサル室

「静岡と東北 きずなコンサート」(2日目)
会場:マリナート(静岡市清水文化会館) リハーサル室
時間:開場12:30 開演13:00
出演:伊東洋平
料金:全席自由席 2,500円 ※小・中・高校生1,500円

マリナートリハーサル室

翌日10月7日(土)のライブ会場は、マリナートのリハーサル室。
リハーサル室という名前ですが、明るく広々とした気持ちの良い会場です。
ただし音響設備が備わっていないため、音響機材は望月先生の自前、オペレーターも望月先生のお知り合いの方にご依頼するなど、手作りで開催するライブとなります。
今年は2日目のチケットが100枚近く申し込みがあったとのことで、観客の椅子がギュッと密集した、熱気ある空間となりました。

望月先生の挨拶のあと、洋平さんおひとりで登場。
昨日の疲労がなかなか抜けなくて…と若干お疲れが見えた洋平さんでしたが、観客との距離も近いあたたかな空間で、リラックスしたムードで笑顔で歌っていました。

大学時代、自分が何をしたらいいかわからなかったとき、ギターを持って歌い始めた。そんな22歳ごろに、当時の友達のことを思って作ったという「風に吹かれて」を弾き語りで歌ったのち、サポートメンバーが登場。

本日のサポートメンバーは、ピアノ藤井理央さん、パーカッション安部優莉奈(ゆりな)さんのおふたり。リハーサル室とはいえ、さすが楽器の街・浜松を擁する静岡。ピアノはグランドピアノを置いています。
「リボン」「月が微笑ってた」「星の屋根」と、理央さんとゆりなさん、洋平さん3人での間奏のセッションも楽しそうでした。
ピアノ、カホン、アコギのアコースティック編成で奏でる「ミルクキャンディ」は、都会的で大人っぽい雰囲気。とても素敵なアレンジでした。個人的に「ミルクキャンディ」は大好きな曲で、胸がキュンとします。
秋の情景が今の季節にぴったりな「Sunny」と、心地よい曲が続きます。

サポートメンバーがいったん退場し、洋平さんおひとりのMCタイム。
飲食店とコラボした「よーへー丼」を洋平さんも食べに行ったというお話や、「音楽でみんなの心に触れる時間を過ぎしていきたい」「音楽をキャッチしてくれる気持ちがうれしい」と、ライブにかける思いをお話されました。

「あのとき、ああできていれば良かったという後悔があって作った曲」と紹介し、弾き語りで「あかり」を披露。
ギターはささやかにつま弾きながら、マイクから離れ、ほぼ生声で、歌詞のメッセージをしっかり伝えるように歌っていました。

サポートメンバーが入場し、3人で演奏したインスト曲「暁(あかつき)」。今回の演奏は、洋平さんのギターのほか、理央さんのピアノ、ゆりなさんのジャンベなどの打楽器も加わり、穏やかな雰囲気から徐々に激しさを帯び、胸の奥に深く熱く入り込むような演奏に感じました。洋平さんにとって挑戦だという「暁」の演奏は、セッションメンバーによって毎回印象が変わり、新鮮な余韻を残します。

後半は、「Door」「君に逢いに行く」と、疾走感ある前向きなエネルギーに満ちた曲が続きます。
「ブラシカ」は、前日はギター1本弾き語りでしたが、この日は理央さんの奏でるピアノの旋律や、ゆりなさんのカホンのリズムとコーラスが加わり、より明るく背中を押してくれる印象でした。
「大空Refresh!」では、サビで手を振りながら指を突き上げ1直線ポーズ。
「みんなの笑顔キラキラだったよ!」と洋平さんのセリフの通り、一体感のある楽しい時間でした。

地球で暮らす動植物の命の尊さ、つながりをメッセージに込めた「成分」は、オーディエンスが楽曲に聞き入り、不思議な雰囲気に包まれました。
最後の曲として、またみんなと一緒に会えるようにと「Refrain!」を歌って、いったん退場。

アンコールでは、「望月先生と出会えたことなど、人生を積み重ねることで、響きあっていくことがある。そういうことに感謝を込めて歌いながら、命を燃やし続けていきたい」というメッセージを込めて、マイクなしで「HERO」歌い上げました。
オーラスの「TSUBASA」では、オーディエンスみんなでサビを歌いながら、大きな拍手に包まれて終演しました。

洋平さんがライブ中に仰っていた
「仙台のインディーズシーンで活動しているミュージシャンで、静岡・清水でこんな大勢の前で歌えるアーティストなんてどこにもいない」というコメントが印象的でした。
洋平さんと清水の、特別で不思議なつながりが強く感じられる、幸せなライブ空間。
2日間とも、忘れられない時間となりました。


■2日目セットリスト

セットリスト(’23年10月7日@マリナートリハーサル室)
01 風に吹かれて
02 リボン
03 月が微笑ってた
04 星の屋根
05 ミルクキャンディ
06 Sunny
07 あかり
08 暁(インスト)
09 Door
10 君へ逢いに行く
11 ブラシカ
12 大空Refresh!
13 成分
14 Refrain!
~アンコール~
15 HERO
16 TSUBASA

清水の飲食店とのコラボ企画

今年は、清水区の2店舗の飲食店とコラボレートするなど、望月先生の手腕が光る企画が登場しました。ファンの方もたくさん訪れたようです。


6日マリナートの会場に飾られていた写真

小ホールには、望月先生と洋平さんが清水で開催してきたライブの記録や、「清水うたい隊」の活動記録の写真が展示されていました。

藤井理央さんのブログ

清水での公演のことを綴った理央さんのブログ。会場の写真もたくさん掲載され、会場の雰囲気が伝わります。

Orange Leaf「Ready Go!」プロモーションビデオ

清水の皆さん総勢704名が一緒に踊っています。


会場のお花
清水マリナート。来年はぜひこのライブで坂本サトルさんの「10年後の僕ら」を聞きたい


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?