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アブラハムが犠牲を献げた場所はどこなのか?

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マソラ写本とサマリア五書で根本的に違う部分。 調べたら面白かったのでまとめてみた。
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#聖書

マソラ写本とサマリア五書

マソラ写本とサマリア五書

ヘブライ語聖書(旧約聖書)の写本については、ユダヤ教のマソラ学者の作った『マソラ写本』が信頼され、『ビブリアヘブライカ』として多くの聖書の底本に利用されてきました。

マソラ学者たちは優れた写本製作技術を持っていました。ヘブライ語によって記され、かつ、欠けなくそろっている最古の写本は、彼らの製作した『レニングラード写本』(11世紀)として知られています※1。

また、『マソラ写本』の最古の断片は、

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ゲリジム山とエバル山

ゲリジム山とエバル山

この二つの山を巡って、マソラ学者とサマリア教団の見解がまっぷたつに割れています。

サマリア人がシェケムにあるゲリジム山を崇拝の場所としているのは、ヨハネ福音書の中にも出てくるとおりなのですが、この部分が論争点なのです。
実際に問題となる聖句を引っ張ってきて見てみましょう。

(すみません。私は元エホバの証人なので、引用は新世界訳からです。)

モーセに与えられた指示には「ゲリジム山には祝福を,エ

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ゲリジム山とモリヤ山

ゲリジム山とモリヤ山

ゲリジム山とエバル山以外にも、サマリア人はモリヤ山とも対立しています。つまり、崇拝の中心としてエルサレムの神殿を認めているか、いないかという問題です。

現在でもサマリア人は、ゲリジム山に集まって崇拝を行っていますが、それはネヘミヤの時代(前5世紀頃)、モリヤ山に再建された第二神殿の向こうを張って、サマリア人がゲリジム山に神殿を建てたことに由来するとされています。しかし、もう少し掘り下げて調べると

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アブラハムが登った山は…?

アブラハムが登った山は…?

アブラハムがモリヤ山に行っていないならば、エバル山とゲリジム山のどちらに行ったのだろう?

私は「ゲリジム山とモリヤ山」の中で挙げた理由+αでゲリジム山ではないかなと想像しています。

■シェケムまでの道のり
アブラハムがシェケム(モレ)に向かう行程を考えてみましょう。

シェケムへ行くには地中海側を行く道と、ベテルを経由する山間の道があるのですが、アブラハムもヤコブも、いつもベテルを経由して移動

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