事業所得と雑所得の区分

事業所得と業務に係る雑所得については、その所得を得るための活動の規模によって判定さ れ、当該活動が事業的規模である場合には事業所得に、事業的規模でない場合には業務に係る 雑所得に区分されます。

事業所得と業務に係る雑所得の区分については、社会通念で判定する ことが原則ですが、その所得に係る取引を帳簿書類に記録し、かつ、記録した帳簿書類を保存 している場合には、その所得を得る活動について、一般的に、営利性、継続性、企画遂行性を 有し、社会通念での判定において、事業所得に区分される場合が多いと考えられます。

(注)その所得に係る取引を記録した帳簿書類を保存している場合であっても、次のような場 合には、事業と認められるかどうかを個別に判断することとなります。
① その所得の収入金額が僅少と認められる場合
例えば、その所得の収入金額が、例年、300 万円以下で主たる収入に対する割合が 10% 未満の場合は、「僅少と認められる場合」に該当すると考えられます。
※「例年」とは、概ね3年程度の期間をいいます。
② その所得を得る活動に営利性が認められない場合
その所得が例年赤字で、かつ、赤字を解消するための取組を実施していない場合は、 「営利性が認められない場合」に該当すると考えられます。
※「赤字を解消するための取組を実施していない」とは、収入を増加させる、あるいは 所得を黒字にするための営業活動等を実施していない場合をいいます。

他方で、その所得に係る取引を帳簿に記録していない場合や記録していても保存していない 場合には、一般的に、営利性、継続性、企画遂行性を有しているとは認め難く、また、事業所得 者に義務付けられた記帳や帳簿書類の保存が行われていない点を考慮すると、社会通念での判 定において、原則として、事業所得に区分されないものと考えられます。
ただし、その所得を得るための活動が、収入金額 300 万円を超えるような規模で行っている 場合には、帳簿書類の保存がない事実のみで、所得区分を判定せず、事業所得と認められる事 実がある場合には、事業所得と取り扱うこととしています。

(注)記事は令和5年12月31日時点の法令、通達に基づいています

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