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浅田真央は恐ろしい


浅田真央の試合をテレビで見たことがある人の4人に3人くらいは「あ~生で一度は見てみたいなあ」と思ったであろう。そしてそのうち2人は「機会があれば」と付け足す。私もその「機会があれば」の側だった。

浅田真央の試合をテレビでよく見ていたのは私が高校生のとき。それからもう15年くらい経っている。そんなに月日が流れていても「ねぇ、浅田真央のツアーチケット取れたんだけど、一緒に行かない?」と誘われたら、二つ返事で行くと言ってしまった。

恐るべし、浅田真央。いや、浅田真央の恐ろしさはこんなもんではなかった。

コロナで延期し、やっとの開催。会場はコール禁止・アルコール消毒・検温・本人確認と、万全の対策。

私は初めてアイスショーを見に行ったのだけどスケートリンク内は想像以上に寒くて、終始袖の中に手を突っ込んで震えていた。私よりはるかにミートテックが少ない出演者たちがこの寒さを感じないはずがない。しかも薄着だし。それであの笑顔だ。入場した時点でわかる、プロの凄さ。

1時間半ほぼぶっ通しでプログラムが次々と披露される。すべてのプログラムに全員が出るわけではないが、ひとつのプログラムを全力で滑っていると考えると、その体力たるや恐ろしい。

その合間に練習風景の映像が流れる。私がまず驚いたのは、浅田真央はショーの演者であるだけでなくプロデュースや監督も担っているということ。自分でオーディションを開催しメンバーを募ったり、自分が中心になって練習を指揮したりしていた。

メンバーは浅田真央とあまり年齢が変わらなそうな、同世代の方たち。彼ら彼女らも映像の中でこのショーにかける思いを語っているのだが、本当に心底驚いたのが

出演者全員がオーディエンスのほうを向いている

ということ。

いやいや、そんなの観客ありきのエンターテインメントなら当たり前でしょう、と思うけど、浅田真央には全く「私のおかげ感」が無いのよ。出演者は「こんな機会をくださった真央さんに感謝です」みたいなことを全く言わない。出演者がみんなオーディエンスのほうを向いている。このツアーは浅田真央が今まで応援してくれた人たちに感謝を伝えるというコンセプトである、ということをみんなが理解している。それをまっすぐに感じた。

これは誉め言葉なんだけど、真央ちゃんが主役主役していなかった。私!っていうより、構成も衣装も音楽も含めて全体の雰囲気を楽しんでほしいという意気込みがひしひしと伝わってくる、本当に手のゆき届いたあったかい公演だった。

そして言うまでもないが、真央ちゃんの技術の凄さはやはり生で見る価値がある。ジャンプの安定感。ひやひやしない。なんであんなに踏み切りもなくすこーんと飛べるのか、ずっとふしぎに思っている。テーマに合わせて表情も非常に作りこまれていて、シリアスな表情を作る浅田真央がなんとも可愛くてほほえんでしまう。

これからは演出も手掛けたりするのかなぁと思うと、この先もますます目が離せない。浅田真央、恐ろしや。



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