今更2019年の「非常にはっきりとわからない」展 感想(ネタバレあり)

2019年の年末、話題となっていたアート展、「非常にはっきりとわからない」に行ってきました。

Q. なんで今更感想を?
A. 時々無性にこの展示の事を思い出すんです。


で、自分と似たような感想を探したりしたんですが、微妙に違う…。

あの「あ!」となって、「ヒェ…」となった感覚を、体験してない方にも少し共有したい思いがあり、感想を書いてみました。


千葉駅……初めて来た。駅デカいな。
モノレールあるんだ。

千葉市美術館は改装中らしく全体的にシートに覆われていた。
普通だったら閉館してそうな見た目である。

話題になって即行ったため、平日でだいぶ空いた状態でした。(ここ重要ポイント)

入り口で、「AUDIENCE」シールを貼って入場。

1Fは、養生された地面に、養生された銅像?や椅子などが雑然と置かれている。
この時点で、謎解きゲームに来たような心づもりだったのでいろいろ見て回ったがよく分からなかった。
なんか床に小銭があったような気がする。

そうそうに諦めて、7Fへ。
7Fと8Fはどちらを先に見てもいいらしい。

……………………………。
…………………………………………。
なんか、……養生してるな。


ここに会場の雰囲気が載ってるので、見てみてほしい。
養生してるな、、としか言えないんである。

設営途中の何か、
荷ほどきしていない絵、
なんか卑猥な形のオブジェ、

よく分からないものが点在している。

よくわからないまま、8Fへと向かうと
そこには7Fとまったく一緒の展示があった。

しかし、私は非常に残念な人間なので
7Fと8Fがまったく一緒という、この情報はすでにつかんでいた。

どんな展示なのか気になって、事前に感想を漁ってしまったんである。(最低)

なので、驚きは特になく
なんでまったく同じ展示にしているのか、
制作者の意図はどこにあるのか、
それを探るため、7Fと8Fをエレベーターでなんども往復することになった。

まったく一緒というが
パフォーマーと呼ばれる人が美術品を移動させたりしているので
刻々と状況は変わっていっている。
(なんで移動させていっているのかはわからない)

エレベーターを待ち(階段は使用禁止だった)、何度も7Fと8Fを往復し、違いを探そうとするが
写真禁止のため、自分で記憶するしかない。
なんか熱心な人がメモを取っていたが、さすがにそこまでする気にはならない。

記憶する気もなく
そんなに広い会場でもないので歩きつくしてしまい

「なんかつまんないな……。みんな(SNS)の言っていた、ハッとするようななにかって何だろ?」

そう思いながらエレベータを出たとき、何か違和感が。


「ん……?」

館内はかなり空いている。
エレベーターホールには熱心にメモをとるお姉さんしかいない。



「ん……?」


このお姉さん……

エレベーター乗る前にもいなかったか……?




そういうことなんである。


いかにも美大生といった感じの、メモを取ってる、まったく同じ格好をしたお姉さんが
7Fと8Fに一人ずつ、いたのである。


そういうことか~~~~~。
みんなが言ってたのはこれか~~~~。


こんなに空いてるのに今まで気づかなかったのは
ひとえに「自分と同じ客だから」である。

「AUDIENCE」シールを貼っていたからである。

シールを貼っていたから、観察対象外になっていたんである。


お姉さんだけに注意してみると、なるほど
エレベーターホールだけをずっとうろうろしていて、すごく怪しい。
でも今まで気づかなかった。
お姉さんを認識していたにも関わらず。

この展示は後半にいけばいくほど混雑していったらしい。
混雑の中で、これに気づくのは至難の業ではないだろうか?
混雑しているんだから、移動先でお姉さんを見ても「自分と同じタイミングで移動したのかな?」としか思わないだろう。

ちなみに、気付いた状態からさらにエレベーターで移動していたら
私のほかに乗っていた二人組の片方が気づいて
もう片方に教えたら、ガタッとなり「ヒェエエエエエ!!!」と声を出していた。
わかる。


さらに、私は他のAUDIENCEをみて
「こいつ……まさか……」と思うようになった。疑心暗鬼である。

そして私もグルだと思われているんじゃないかとちょっと怖くなった。


一体どこまでが展示なのか

美術館は?
近くの工事現場は?
千葉駅は?
モノレールは?

疑う境界線が揺らいだときに、
美術館の外まで、現実にまで浸食してくる感覚があった。


2つの空間、
2人の人物、
そこを往復するvister……

う~~~~~~ん。

なんかここまで訳知り顔で、私が気づいたんだ!みたいなことを書きましたが
もしかしたら私の気づいてないことがさらにあったかもしれない。

この展示が何を言いたかったのはよくわからず
でも、ちょっとハッとする箇所があり
だからといって謎解きイベントほどのスッキリ感はなく
なんとなくアートと謎解きの中間みたいな展示だったなあ、と思います。

「ものすごく面白かった」とも言えないけど、3年経った今でもなんとなく心に残る展示だっただったし、不思議体験だったなあ、と感じています。

ちなみに、他の方の感想読んでたら
1Fにあった二つの銅像?は、”この状態”を表してたんでは?みたいな考察があって、あ~~~てなりました。


この展示がなければ、千葉駅に行くこともなかっただろうし
モノレールを見ることもなかったかもしれないので
そういう意味でもいい体験だったなと思います。


もしこのアートチームの展示をまた見つけたら
ふらっと行ってみたいですね。(空いてるときに)

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