都知事選で健闘した石丸候補とは④ 2024.7.14(227)

 一個人の視点から見れば、フェイクニュースや炎上した事象をもてはやす事が、SNSの運営企業の術中にはまっているわけで、いかに無視するか、SNSを見ないかという事が、本来は重要なわけですが、SNS運営企業からすれば、あの手この手を使って視聴者を引き付けようとするため、SNS中毒から抜け出す事は容易ではありません。今後さらに新しいプラットフォーマーが出てきて、人の時間を奪いに来るのでしょう。

YoutubeやFacebookが典型ですが、最近の高齢者は以前に比べて、かなりSNSに時間を割くようになっています。時間があって、スマホがあれば、当然の帰結かもしれません。石丸氏の動画は、Youtubeで最も伸びていました。石丸現象は、SNS中毒の若者から高齢者の無党派層に支えられていたという見方もできるかもしれません。

 石丸氏の躍進はSNSの活用という文脈で語られる事も多いですが、ドトール創業者の鳥羽博道氏やKDDI共同創業者の千本倖生氏ら財界人の支援を受けており、個人寄付でも2億円も集めるなど、資金的にも恵まれていました。選挙参謀として、そこそこ著名な選挙プランナーである藤川晋之助氏が就任しており、選対本部長にはTOKYO自民党政経塾の元塾長代行の小田全宏氏が就任する等、新人としては盤石の布陣であり、選対本部長が不在だったという報道がされている蓮舫氏に比べても、選挙体制の面からも優れていた部分がありそうです。

 街頭演説にどの候補よりも動員した事も大きく報道されていましたが、SNSで発信し、それを拡散させて街頭演説の動員に使い、更にその演説風景をSNSで拡散させるという手法で知名度を上げていきました。メディアもその現象を後追いで報道したため、更に拡散されたという事もあるでしょう。

 SNSによる拡散がもたらす投票行動の変化はポピュリズムを助長する側面がある点に注意が必要でしょう。民意は変化しやすいという点で、直接民主主義は危険な部分があり、間接民主主義というのは、民意を反映しすぎない仕組みを作ってきたという見方もできるでしょう。ネット選挙といった時に、いろいろメリットがありますが、他方で、政治を不安定化させない仕組みをどのように取り入れていくのかという点も重要だと思います。

 石丸現象が一時的なものか、それとも来年の参院選等に続く動きになるのか、引き続き、注目していきたいと思います。


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