医療維新⑲ 2024.4.5(127)

AI・ICTによる様々な効率化も重要な視点でしょう。

 今後、AIによる診断やICT・ロボットの活用等によって、医療・介護の質の向上や業務の効率化による人的な生産性向上が期待されています。また、診療情報の患者や他の医療機関との共有といった情報の利活用は、臨床研究・開発にも資すると考えられます。

 現在、請求情報(DPC等)、クリニカルレジストリー(症例登録)といった様々な医療データベースが整備されています。電子カルテの情報は共有が進んでいませんでしたが、ここにきて、マイナンバーカードと健康保険証を統合し、様々な医療情報を一元化する取組みが始まっていますが、この動きはまさに、世界的な医療・介護情報の利活用の推進の流れを後追いしたものといえるでしょう。

また、リアルタイムの生体情報や遺伝子情報の利活用は、医師の診療内容や個人の健康意識に変容を促すことになるでしょう。患者が個人情報を保有して、主体的に医療機関や治療・サービス等を選択・評価していく姿勢(患者エンゲージメント)が重要です。また、予防医療を推進する上で、セルフマネジメントの考え方も重要になるでしょう。

 「医療維新」では、医師情報を紐づける事が提案されていますが、医師のデータが突合できるようになれば、医師の評価ができるようになります。これは、医療の質を評価する上で必要不可欠な仕掛けと言えます。

 また、オンライン診療はコロナ禍で日本でも解禁されましたが、海外では、日本以上に利用が増加している国が多くあります。保険者は、医療費を抑制したいという思惑もあるようですが、何より患者にとって、場所を選ばずに医療を受けられる点で、とても便利なサービスだといえるでしょう。医療のアクセスが悪いエリアの住民にとっては、わざわざ移動する必要がないという点で、とても画期的なサービスとなっています。

情報技術を活用して、人的な生産性向上を図る取組みも重要です。労働人口が減少する事は不可避であり、様々なイノベーションを活用しながら生産性向上を図っていかないと、今後急増する高齢者の医療・介護需要に対応することは難しい点に注意が必要です。

AIの普及が診療の自動化をもたらす事で、生産性の飛躍的な向上が期待されます。

 このように、AI・ICTは、医療・介護サービスのあり方を変えていくことになるでしょう。


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