男性のヘルスマネジメント 性感染症編⑬ 病気の特徴を詳しく知って受診・治療の参考に!① 2024.6.6(189)

【クラミジア感染症】
 クラミジア・トラコマチス菌の感染症。性感染症の中でもっとも多くみられる疾患。比較的おだやかな症状で、無症状の患者も多い。感染部位により「性器クラミジア感染症」「咽頭クラミジア感染症」がある。
〔おもな症状〕性器に感染した場合は、尿道のかゆみ、ムズムズ、違和感。排尿時の痛み、熱感、しみる感覚、透明な膿。睾丸の痛み、腫れ。のどに感染した場合は、口腔内や口のまわりの痛み、腫れ、違和感、咳など。
〔感染経路〕感染者とのコンドームを使わないセックス、オーラルセックス、アナルセックスが主な感染ルート。のどに感染している相手とのオーラルセックスやディープキスでも感染する。
〔潜伏期間〕1週間~3週間。比較的ゆるやかに発症する。
〔検査可能な時期〕疑いがある接触から3日以上経っていれば検査可能。
〔検査と治療〕検査方法は、性器に症状がある場合は尿検査。結果は迅速検査では30分程度、精密検査では3日程度で判明する。のどの場合は、うがい液のPCR検査。治療は抗生物質の内服。また感染者はHIVの感染率が通常の3〜4倍になるという報告もあるのでHIVの検査も受けるとよい。
〔放置した場合〕自然治癒はしない。放置した場合は慢性的な尿道炎、前立腺炎につながるケースが多くみられる。また男性不妊の原因になるという指摘もされている。感染すると淋病をはじめ、梅毒、HIVなど完治不能な病気への感染リスクも飛躍的に高まるので注意が必要。

【淋菌感染症】
 淋菌への感染症。排尿時に強い痛みが生じる場合は淋菌感染症の可能性が高い。性器に症状が出る「性器淋菌感染症」と「咽頭淋菌感染症」がある。感染力が強いため、性的な接触がなくてもうつる可能性がある。
〔おもな症状〕性器に感染した場合は、尿道の強い痛みが特徴的。ほかにかゆみ、ムズムズ、違和感。排尿時の痛み、熱感、しみる感覚、透明な膿の分泌。睾丸の痛み、腫れ。口に感染した場合は、口腔内や口のまわりの痛み、腫れ、違和感、咳など、風邪との判別が難しい。菌が直腸や全身に広がった場合は、下痢や血便、身体の節々の痛みなど。男性は痛みが強く、女性は無症状の傾向がある。
〔感染経路〕感染者とのコンドームを使わないセックス、オーラルセックス、アナルセックスをはじめ、のどの場合は感染者とのディープキスでも感染する。また感染力が強いため、手指を介して感染するケースもある。
〔潜伏期間〕3日~1週間前後。比較的、急激に発症する。
〔検査可能な時期〕疑いがある接触から24時間以上経過していれば検査可能。
〔検査と治療〕検査方法は性器に症状が出ている場合は尿検査。結果は30分程度で判明する。のどに症状が出ている場合は、うがい液のPCR検査をおこない3日程度で結果がわかる。治療は抗生物質の内服。性器への感染者のうち男性の30%、女性の70%はのどにも感染しているので検査が必要。また淋菌感染者の3割はクラミジアにも感染していると報告されているため、重複感染の検査が勧められる。
〔放置した場合〕自然治癒はしない。痛みが強いため通常は放置できないが、もし治療しないと前立腺炎や精巣上体炎を発症し、無精子症になる場合もある。またクラミジアや梅毒、HIVなど、ほかの性感染症への感染リスクが飛躍的に高まるので注意が必要。

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