大田区を盛り上げよう⑤ 蒲蒲線④ 2024.5.13(165)

新空港線(矢口渡~京急蒲田)整備事業の建設費は、現時点で1360億円と見込まれています。途方もない金額だと感じますが、大田区(=区民の税金)の負担は、どれくらいになるのでしょうか。

2022年6月の東京都との合意によれば、東京都と大田区の費用負担割合がそれぞれ3:7となっています。

 1360億円に対して、都市鉄道利便増進法のスキームで、国が1/3、事業者が1/3、地方自治体が1/3を分担し、地方自治体部分について、東京都と大田区の費用負担割合が3:7ですから、現時点で、大田区の費用負担は317億円と試算されます。

 大田区の令和5年度予算が3147億円ですから、その10%程度という事になります。

 実はこれに加えて事業者分の1/3についても大田区が責任を負う事になる点は注意が必要でしょう。

 蒲蒲線の所有を予定している第三セクター羽田エアポートライン株式会社を2022年10月に設立しました。大田区が61%を出資し、残りの39%を東急電鉄が出資しており、実質的に蒲蒲線は区営交通の様相を呈しています。

 羽田エアポートライン株式会社としては、銀行からの融資や株主からの出資等を通じて建設費にかかる資金調達を行うつもりだと思いますが、開業後、事業がうまくいかなかった場合の支払い責任の多くが大田区にある事になります。

1360億円のうち事業者が1/3、その61%ですので、建築費だけで277億円です。もちろん返済できれば問題ありませんが、先ほどの317億円と合わせて594億円もの金額になります。そもそも、国や東京都からの補助金はもともと我々の税金です。収益性が見込まれるのであれば、民間事業者(今回は東急)がやるべき事業ではないでしょうか。

事業計画を見ていないので何とも言えませんが、それだけの利用者が見込めるのか、周辺地域の経済効果があるのか、感覚的には、それだけの価値があるとは思えません。不採算が見込まれるため、東急が主導してやりたくない案件なのではないかと勘繰ってしまいます。

2023年区長選に出馬した元大田区議会議員の岡高志氏のブログによれば、大田区が平成28年に新空港線の整備調査を行った際に「大田区便益比率」が非公開であったため、岡氏が公文書開示請求を行ったところ、年間25億円(22%)と限定的であったとされています。東京都全体が81億円(71%)ですから、その約3割であり、東京都と大田区の費用負担割合は3:7ではなく7:3にするのが適切ではないでしょうか。

 大田区民に便益のない税金の使い方をするくらいなら、減税すべきではないでしょうか。

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