大田区を盛り上げよう⑥ 蒲蒲線⑤ 2024.5.14(166)

蒲蒲線の所有を予定している第三セクター羽田エアポートライン株式会社が2022年10月に設立されました。大田区が61%、東急が30%の出資となっています。

 第三セクターは、第一セクター(国及び地方公共団体が経営する公企業)や第二セクター(私企業)とは異なる第三的方式による法人の事です。日本国政府又は地方公共団体(第一セクター)が民間企業(第二セクター)と共同出資する事により、独立した事業主体として公共性・公益性が高い事業を行う法人の事を指します。

 青森県青森市で「アウガ」を運営する「青森駅前再開発ビル」、山梨県南アルプス市の「南アルプスプロデュース」、秋田県北秋田市の「マタギの里観光開発」等、第三セクターが、全国で相次いで経営破綻しています。青森市の場合は、市長の引責辞任にまで発展しました。

 このように、第三セクターというと、破綻する事が多いイメージがありますが、なぜ失敗する事が多いのでしょうか。

 過去の失敗事例を見ていると、私は3つの共通点があると考えています。これらの3点が相互に影響を及ぼしあいながら、失敗すると誰もがわかっていながら、そのプロジェクトが進んでいくのです。

 1点目は、ずさんな事業計画です。

自治体の計画というのは、メリットばかりが誇張されて、デメリットやリスクが書かれていなかったり、バラ色の高い目標設定がなされていたりする事が多いのが特徴です。特に、マーケットを無視して、地元の希望と制度の制約を優先してしまう事例が多くあります。

 2点目は、責任の所在が不明確である点です。

 事業というのは、様々な事業環境の変化の中で、修正を余儀なくされる事も多いのですが、自治体に勤務している公務員は、事業の経験がない人間がほとんどであり、いきなり事業を任せられてもできないというのが現状でしょう。しかも、赤字が出ても、打ち出の小槌ではないですが、市の予算から補填すればいいと考えている人も多いでしょう。しかしながら、この補填の財源は税金です。

 3点目は、背景に政治的な利権が絡んでいる点です。

 公共事業の背景には、それに群がる様々な利権があります。これが、政治家と連携して、過剰投資・不採算事業と分かっていながら、自治体予算をばらまいてしまうのです。

 そもそも論になりますが、民間でも難しい事業を事業経験のない自治体がやろうとする事自体が失敗の要因であるともいえます。「官民連携」は素晴らしいという論調がいまだにありますが、税金を納めている住民にとっては、税金を無駄使いするような余計な事をするくらいなら、減税しろというのがまっとうな主張ではないでしょうか。

 大田区が進めようとしている蒲蒲線についても同様の事にならないよう、引き続き、行政監視を進めていくべきでしょう。

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