男性のヘルスマネジメント 性感染症編⑨ 治療をやめると身体の中で薬剤耐性菌を作り出すことも 2024.6.2(185)

「中途半端な治療」は、さらに別の問題も引き起こします。近年、増加している薬剤耐性菌を、自分の身体の中で作り出し、世の中に放出してしまう危険があるのです。

薬剤耐性菌とは、それまでは効いていた特定の薬が効かなくなった菌のことをいいます。中途半端な服薬治療、つまり容量や飲む期間が不充分だと、体内の菌は弱ったまま残存する事になります。すると、菌のほうも生き延びようと必死に抗生物質への抵抗力をつけ、その結果、耐性を獲得してしまうことがあるのです。

こうなると、以前の抗生物質は効きません。また、耐性菌をあなたが他の人々にばらまき、世の中に広げてしまうことになるかもしれません。というのも耐性を持った菌は、その薬に殺されない方法を、耐性を持っていない他の細菌に情報を伝達する能力を持っている事がわかっているのです。しかも、この伝達は次々と連鎖していくので一度耐性菌を生み出してしまうと、あっという間に世の中に蔓延してしまうのです。

同様の事は、抗ウイルス薬でも起こり得ます。現在では、「あの薬も効かない」「この薬も効かない」ような、多剤薬剤耐性菌、多剤薬剤耐性ウイルスが出現していて、治療を困難にしています。

「抗生物質は身体によくないから、少な目に飲もう」「症状が消えたら、飲むのをやめてしまおう」と考える人が多くいます。実は、そのような行動が、身体の中で菌やウイルスを鍛えてしまうのです。菌やウイルスが勢力を盛り返すことができないよう充分叩く、これが重要です。まずは自身の身体のため、そして、他の人々のためにも、薬は指定された容量を指定された期間、きちんと飲みきる事が重要です。

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