男性のヘルスマネジメント 性感染症編⑧ 女性にうつすと、不妊、流産・死産、母子感染させてしまう怖れも 2024.6.1(184)

パートナーが女性の場合、性感染症にかかると、男性とは異なった問題が生じます。女性特有の問題は、不妊症、妊娠中の感染による流産や死産、母子感染等です。

 女性がクラミジア感染症に感染した場合、無症状や軽症の場合も多いため、女性は感染に気づくことができません。そして治療がおこなわれなければ、不妊症になる可能性があるのです。また妊娠中に感染した場合、流産や死産を引き起こしてしまう事もあります。

 また、妊娠中の女性に梅毒をうつしてしまった場合、赤ちゃんの感染率は60~80%とされています。妊娠2か月で感染すると早産・流産する事になりますし、妊娠後期に感染し治療を受けなければ、赤ちゃんは高い確率で先天性梅毒を発症する事になります。出産後に抗生物質で治療する事で、半分は治癒するものの、4分の1の赤ちゃんには後遺症が残り、4分の1の赤ちゃんは死亡すると報告されています。

治療を受けて症状が消えると、「もう大丈夫」と安心して、通院をやめてしまうケースが多くあります。忙しい中で、通院する時間や労力が惜しいという思いもあると思いますが、これは得策ではありません。医師から「病気の治癒」あるいは「治療の終了」をはっきりと伝えられるまで、勝手に治療をやめるべきではありません。

 表面的な症状が消えても、ウイルスが残存しているケースはめずらしくありません。この状態では他の人に感染させる可能性があるし、再発して重症化したり、治りにくくなったりするケースも存在しています。

例えば、痛みやかゆみはすっかりよくなり、自分で患部を観察すると、発疹が消え、分泌物も出ていない、そう確認できても、実はひっそりと精巣で炎症が続き、後に男性不妊症になることも考えられます。

治療の終了は「治療後検査」で陰性を確認した医師によって判断されます。治療後検査は、病気によって行うべき時期は異なりますが、おおよそ治療から2〜4週間と、治療してから少し時間がたってからになります。それ以前の時期に検査をおこなうと、たとえ治療効果が良好でも、残存した死菌由来の物質(核酸)を検出してしまい、正しく評価できないことがあるためです。

医師に指定された時期に、しっかり治療後検査を受ける事、そして、もし医師から治療後検査を指示されなかった場合、患者さんのほうから検査を依頼してもよいと思います。

しっかり治す事が何より重要です。

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