出身地の湖西市長が今期で退任の意向⑦ 2024.7.2(215)
④資産売却については、湖西市が保有する土地・建物・有価証券・出資金等の現金化を積極的に行っていくべきです。湖西市のバランスシート(令和4年度)によれば一般会計等でみると、事業用資産が479億円となっており、4年間でその10%の約48億円、年間12億円を内容精査の上で売却してはいかがでしょうか。加えて、投資その他の資産54億円の5%の約3億円も合わせて捻出します。
https://www.city.kosai.shizuoka.jp/material/files/group/4/01_zaimusyorui_r4.pdf
財務局出身の影山氏はプロだったと思いますが、私が話をする範囲では、一般論として、首長や議員の中にもバランスシートを読めない方も比較的いらっしゃる印象があります。バランスシートに載らない無形の資産を含め、自治体を運営するには自治体が持つ資産をどう利活用するかが極めて重要だと思います。
残りは、⑤湖西市の税収の増加によって賄うものとします。減税によって住民や企業の増加、特に住民税を気にする層の移住が促進されれば、結果として、税収増が期待できるでしょう。可処分所得が増える事で、それが少子化対策や消費の増大という点で経済への影響も期待できます。
以上を実施する事で、総額15億円の財源が賄えるものと考えています。
規制改革についても、民間の活力を高めていくうえで、重要なポイントでしょう。日本には規制が多くあり、それが日本の産業構造の転換の遅れの要因の一つとなっています。法律事項については、国家戦略特区の枠組み等を使わないとなかなか緩和ができませんが、4月からかなり限定的な形で規制が緩和されたライドシェアもそうですが、他の首長とも連携して、規制緩和を進めていくべきでしょう。
条例でできる事も多くあると思います。例えば、市街化調整区域内については、住宅が建てられず、人口が増えない要因の一つになっています。そこで条例を改正し、土地利用規制を一部緩和する事が可能です。2016年に国土交通省が市街化調整区域の開発許可指針を一部改正した事で、各自治体は、地域の実情に応じて弾力的な許可ができるようになっているのです。
影山氏は、今期いっぱいで退任意向を表明した記者会見で、今後も湖西市のために、「官民連携」を進めたいと発言したようですが、「官民連携」の有効性に私は懐疑的です。官民連携は基本的に民業圧迫であり、収益性は低く、公金の無駄となるケースが多いです。そもそも、公務員にいきなり事業をやれと言ってもなかなか難しいですし、餅は餅屋ではないですが、民間に任せるべきでしょう。政治家はどうしても役所の予算や権限を大きくする方向に舵を取りがちですが、それ自体が現在の資本主義社会に向いていないのです。
統治機構改革についても、少しコメントしておきます。
現在、東京で行われている、都知事選挙では、一部の候補者が東京一極集中を批判していますが、完全に誤っています。世界はメガシティによる国際競争となっており、東京の没落は日本の没落を意味しています。静岡県には、静岡市と浜松市という二つの政令指定都市がありますが、人口規模や経済規模の増大を含め、国際競争力を強化していく必要があるでしょう。そういう意味では、環浜名湖・豊橋・豊川を合わせた150万人都市圏を改めて構想するタイミングかもしれません。
他方、財政的にも豊かな湖西市が浜松市と合併する事については、慎重に検討するべきだと思います。マクロ的に見れば、自治体の統合再編の方向性には抗えないと思いますが、徴税権とセットにするといった全国レベルでの統治機構改革が行われないと、本当の意味での地方主権は進んでいかないと思います。
したがって、湖西市の戦略としては、現状の強みを生かしつつ、環浜名湖・豊橋市との120万人都市圏の中で、人口規模的に成立が難しいインフラや病院等の公共サービスについては、できるだけ共同利用としつつ、減税や規制緩和等、新しい取り組みを機動的に行う地域として、都市圏の成長のエンジンとなっていく方向性が考えられると思います。
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