日本の情報通信政策の遅れ③ 2024.9.12(287)

日本がデジタル後進国を脱するためにはどのようにしたらよいでしょうか。

当然ながら、日本がデジタル後進国を脱するためには、より一層のDXが求められます。官民を問わず組織のトップが問題意識を持ってDXを組織全体で進めていく必要があるでしょう。

悲観的にならず、企業・組織変革や産官学の連携・技術協力の推進、ビジネスのしやすい規制緩和の促進等、様々な要素をつなぎ合わせて、整合性のある取り組みを進めていく事が必要です。

 このように、日本がデジタル後進国である事を象徴する現象が起こっています。それが、政府が情報管理の効率化のために整備する「ガバメントクラウド」です。

省庁や自治体が個別に運用してきた管理システムを、クラウド上の共通サービスに移行し、2025年度までに運用経費を2020年度比で3割減らす目標ですが、なかなかうまくいってないのです。

 デジタル庁の目論見が完全に失敗に終わってしまった主な要因は以下の3つです。

1.              クラウドの移行期限に間に合わない予定の自治体が多く、その数はこれから増えていく見込みであること
2.              3割の経費削減どころか、経費が4倍程度に高額化してしまっていること

3.              業務がますます複雑化してしまっていること

自治体業務をクラウドに移行することの難しさは、2023年9月の閣議決定(地方公共団体情報システム標準化基本方針)でも、指摘されていた事なのです。

3月5日、河野太郎デジタル大臣は、2025年度末としている移行期限に間に合わない自治体が171団体あると発表しました。全1788都道府県・市区町村の約10%という説明ですが、移行困難と答えたのは、政令指定都市の100%、東京都特別区で43.5%、中核市で38.7%と、人口の多い地域で高いため、人口比で50%を超えているのです。さらに、移行への対応が未定の自治体、態度を明らかにしていない自治体の数も含まれていない事が明らかになっています。

「私の地域の役場ではガバメントクラウドへの移行を担当する専任を置くこともできずにいる。ベンダー(サービスを提供する会社)に任せきりになっていて、移行困難なのかどうかも正直よくわからないと言っていた。勝手に東京の中央省庁でつくったものを使えるようになるのだろうと考えていたようだが、実際には自治体でやることがたくさんあって頭を抱えている。どこの過疎地域の自治体もそうであろうが、技術的なことがわかる職員が誰もいない。私は文系の学部出身でパソコンを一般レベルで使えるぐらいなのに、若いからといって助けを求められて困っている」

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