男性のヘルスマネジメント 性感染症編⑰ 病気の特徴を詳しく知って受診・治療の参考に!⑤ 2024.6.10(193)

【B型肝炎・C型肝炎】
肝臓に炎症を起こすウイルスの感染症。ウイルスにはA型、B型、C型、E型があり、このうちB型とC型は性行為で感染する可能性がある。性器などに局所的な症状は現れず全身症状のみなので、自分では性行為感染症と気づきにくい。
〔おもな症状〕継続する全身のだるさ、疲労感、食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢など。
〔感染経路〕コンドームを使用しないセックス、オーラルセックス、アナルセックスなど性行為全般による体液、血液を介した感染。また注射器の共有や入れ墨・タトゥーを入れる際に針を共有したことによる感染、あるいは母子感染もみられる。
〔潜伏期間〕B型肝炎は2か月~3か月、C型肝炎は2週間~3か月。
〔検査可能な時期〕疑われる接触から4週間以上経過していれば検査可能。
〔検査と治療〕検査では血液を採取しウイルスの抗体や遺伝物質、肝機能を調べる。またB型、C型、D型の肝炎およびHIVは併存している場合が多いので、それらの検査も受けたほうがよい。治療はかならずしも必要ではないが、肝傷害の程度によっては抗ウイルス薬を服用し、ウイルスの活動抑制と肝臓のさらなる炎症や瘢痕化を予防する。
〔放置した場合〕自然治癒はしない。B型肝炎患者の約20%が肝硬変(肝臓の重度の瘢痕化)、もしくは肝臓がんを発症し、C型肝炎では約20~30%の患者が肝硬変になり、やはり肝臓がん発症のリスクを増大させる。また成人の慢性肝炎は劇症化し、死に至る可能性もあるため早期発見、早期治療が重要になる。

【HIV/エイズ】
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染症。治療をおこなわず重症化して後天性免疫不全症候群を発症した病態がエイズと呼ばれる。
〔おもな症状〕感染初期に発熱、発疹、のどの痛み、リンパ節の腫れ、筋肉痛など風邪かインフルエンザのような症状が出る。この急性期が通常3~14日続いた後、軽症期もしくは無症状期が2~15年続く。この期間には疲労感、下痢、発熱、リンパ節の腫れ、カンジダ症による口腔内の白い斑点、帯状疱疹、体重減少、貧血など。エイズを発症するとさらに重篤な症状を現す。
〔感染経路〕コンドームを使用しないセックス、オーラルセックス、アナルセックスなど性行為全般をはじめ、体液(おもに血液、精液、腟分泌液、母乳)に触れることで感染する。涙、尿、唾液から感染することは極めて稀。また注射器の共有や入れ墨・タトゥーを入れる際に針を共有したことによる感染、あるいは母子感染もみられる。
〔潜伏期間〕感染初期は3~14日、無症状期は2~15年。
〔検査可能な時期〕疑いのある接触から60日以上経過していれば検査可能。
〔検査と治療〕検査では血液を採取しHIVの抗体・抗原検査をおこなう。HIVに対する治療は、複数の抗レトロウイルス薬を組み合わせて服用する。またHIV患者が感染しやすい病気に対する複数のワクチンを接種する必要もある。
〔放置した場合〕自然治癒はしない。ほとんどのケースでエイズを発症する。進行のスピードは人によるが、感染後最初の数年間では毎年1~2%、その後は毎年5~6%、10~11年以内で50%、それ以降は95%以上がエイズになる。HIV感染そのものは致死性疾患ではないものの、エイズに進行するとさまざまな感染症、がん、そのほか脳、心臓、腎臓などの病気によって死に至るため、継続的な治療が欠かせない。

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