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「持続可能性」についてあれこれ

「持続可能性」についてあれこれ
 
「持続可能性」は、耳ざわりのよい、はやりの言葉です。
そして「持続可能な農業」といえば、一般的には、化学肥料や農薬を使わない、いわゆる有機農業が、想起されるのではないでしょうか。
一方、化学肥料と農薬を使用した農業は、土を疲弊させ、環境に大きな負荷をかける収奪型農業と非難される場合もあるようです。
 
ところが、地球の持続可能性に貢献しているのは、有機農業ではなく、化学肥料を使った一般的な農業であると、ホリエモンがYouTubeで論じていました。
 
なぜなら、化学肥料の誕生と普及によって世界の農業生産量は急激の増大し、そのおかげで世界人口の増加が可能になったからです。実際、グラフでも世界の化学肥料の使用量と世界人口の増加はぴったり重なります。
 
もし、今後世界中の農業が有機農業に切り替わり、化学肥料を全く使用しなくなったら、おそらく世界の農業生産量は激減し、約79億人の世界人口は維持できなくります。
人類が命をつなげることが、最も重要な持続可能性であることは誰も否定できません。
つまり化学肥料こそが、人類の持続可能性を支えているということになるのです。
 
有機農業は、環境に優しい、だから地球の持続可能性にも良いのだろうと連想しがちですが、現実は真逆の面があるのです。
 
マイ箸推進も似ているところがあります。マイ箸にすると、確かに毎食一膳ずつ割りばしのゴミは減りますが、これも、もし日本人全員がマイ箸になったら、割り箸の需要がなくなり、森の間伐材の行き場が一つ失われるという新たな「環境」問題につながるそうです。
 
環境や持続可能性というテーマを考えるときには、目の前で見えていることと、地球規模のつながりを一緒くたにせず、領域を厳密に限定して上で考察する必要があるのだと思います。
 
わたしたち夫婦は、現在、埼玉県深谷市でままもやファームの再生に取り組んでいます。
先祖伝来の地を負の遺産にせず、次代に継承できる価値を構築するのが、わたしたち夫婦の使命です。
持続可能性という言葉を使えば、遠いご先祖さまから連なる長谷部家というつながりをこの地で持続可能にしていく営みとなります。
 
ここでの経済基盤は農業になります。農業では、荒れた裏の林や竹林を整備し、その過程で出てくる落ち葉や間伐材という炭素成分を畑や田んぼも戻してゆく炭素循環農法に取り組みます。
ここちよい里山の環境を取り戻しつつ、近隣の草木の炭素成分を畑に戻し、循環する。化学肥料など外部から資材を入れることなく、永続的に実りをもたらしてくれる農業実現したいと考えています。
 
炭素循環農法は、光、土、水、植物(生命)の循環という点では、理にかなったものだと思いますが、枝木を落とし、草を刈り、森を整備するという手間を考慮すると、やってみないとわかりませんが、経済合理性の面では効率は不鮮明です。
 
冒頭で述べた大きな話に比べると、わたしたちの持続可能性への挑戦は、長谷部家という家族単位の継承であり、農業を通じて周辺を里山に変えくというこれもまた狭い領域での実験になります。
 
しかし、自分たちの営みは、自分たちだけの特殊な環境の限定された狭い範囲での実験に過ぎない。
このことを常に忘れないことが、実は重要で、その認識で農地と暮らしの環境の再生に取り組むことから、将来広範に広がり得る、普遍的な取り組みが生まれでる。
そう、ぼんやり思うのです。
 

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