あなたの子育てのボーダーライン、何点ですか?
私は普段、仕事で沢山のお父さん、お母さんや子どもに会います。そこで感じるのは、様々な場面において親が子どもに対して無意識にボーダーラインを設定しているということです。
今回はその【親が子どもに求めるボーダーライン】の話をします。
■ボーダーラインとは
ボーダーラインとは、「境界線」のことですが、ここでは合否の境目のような意味で使っています。
つまり、【親が子どもに求めるボーダーライン】とは、親が子どもの行動に対して「このくらいできればOK」を判断する境目のことです。
まだピンとこないと思いますので、具体的な場面で考えてみましょう。
■実際にボーダーラインを設けている場面とは
例)お着替え
【点数表 〜お着替え編〜】
100点ー子どもが自主的に着替える
80点ー「着替えなさい」と一回言われて着替える
60点ー「着替えなさい」と何度か言われながら着替える
40点ー親が手伝ってスムーズに着替える
20点ー親が着替えさせる(抵抗はしない)
実際に点数を付けてる方はまずいないと思いますが、わかりやすくするために点数化しました。
みなさん、自分の子どもに何点を求めていますか?
子ども自分で着替えることが可能な場合、『80点ー 「着替えなさい」と一回言われて着替える』をボーダーラインにしていませんか?
もちろん、この点数表の内容は子どもの年齢や個人差で変わります。しかし、どの年齢でも、どの子でも、どんな場面でも、大体常にその子の中の80点位を目指している親が多いと感じます。
なぜかというと、100点を達成した経験があると、無意識にボーダーラインを上げてしまうからです。
「この前は全部自分で着替えてたでしょ?どうして今日はできないの。」なんて思った経験、ありませんか?
■80点のパフォーマンスをどう見るか
考えてみてください。どのくらいの出来だったら、自分に80点を付けますか?
週の真ん中で今週のタスクの7割が終わったら?
掃除、洗濯がスムーズに終わって、少し手の込んだ料理を作れたら?
…常に80点以上のパフォーマンスを求められたら、結構キツくないですか?
しかも、年齢が上がり、出来ることが増えていくと、当然ながら80点もらえる内容がどんどん難しくなっていきます。また、評価される場面も増えていきます。
でも、人間、40点の日があったり、90点の日があったりしますよね。それが普通じゃないですか?
なので、「80点求めてたわ…」と心あたりがあった方は、まずは単純にボーダーラインを下げてあげてください。
「いつも80点出せなくて当前」「これくらいで大丈夫」という意識が持てれば、求められる側の子どもだけでなく、親の気持ちも楽になると思います。
■結果だけでなく過程も評価する
中学生の子どもが、期末テストで大体いつも平均80点取れていたとします。でも、70点になることもありますよね。
では、平均70点だった時、その子は手を抜いていたのでしょうか?
もしかしたら、すごく頑張って、自分の中での最大限の努力をして70点かもしれない。
もしかしたら、テスト週間に風邪をひいていたかもしれない。
もしそれを知っていたら、叱ることはできないですよね(知らなくても叱ることはしないでほしいけど)。
そう、つまり、そこに至るまでの過程を見ることも必要なのです。
■必要なのは「スモールステップ」の考え方
「スモールステップ」とは、小さな一歩。つまり、過程の一歩一歩を評価していくやり方です。
例)ズボンを脱ぐ
【ステップ表】
step5ー ズボンを自分で脱げる
step4ー 声をかけられれば自分で脱げる
step3ー 膝までは自分で脱げる
step2ー 親が手伝えば脱げる
step1ー 自分で脱ごうとする
このように、小さなワンステップで考えます。着替えであれば、「全身の着替え」→Tシャツ、ズボン、インナー、靴下のように分け、更に着脱で分け、その過程をワンステップずつに分けます。(当然、その子によってワンステップの内容やボーダーラインは変わってきます。)
そうすると、「Tシャツは手伝ってもらわずに着れた」「靴下は自分から履こうとしていた」と細かくできたポイントを探すことができるので、着替え全体で評価するよりも、できていることが多いことに気付きます。
そのため、日頃からスモールなステップで意識していると、子どもの頑張りや長所が見えやすくなります😊
■スモールステップで大切なこと
ポイントは2つあります。
①一度できたからといってすぐにボーダーラインを上げない。
大人にコンディションや事情があるように、子どもにも頑張れる時とそうでない時があるのです。そのため、一度クリアしたstepもクリアできない日があります。
<考え方>
✖️「昨日はstep4まで行けたから今日はそれ以上行ける」
○「昨日はstep4だったけど、今日は2か3の可能性がある」
その子のその時の状態によって、stepを一段や二段下げる。そして、段が下がってもそこまでできたことを評価してあげることがとても大切です。
②ボーダーラインを下げすぎない。
例えば、お子さんが小学生の場合、ズボンを履いただけで褒められたら「なんで?」と思いますよね。
子どもの年齢が上がってくると、大人の発言の意図を疑うようになるので、わざとらしく褒めたりしないよう注意が必要です。場合によっては、プライドを傷つけてしまう可能性もあります。
そのため、ボーダーラインはあくまでその子の成長に合わせ、かつ大人が素直に褒められるラインにする必要があります。
■疑問「ボーダーラインを下げたら成長しないのでは?」
よく聞かれる質問です。「子どもを甘やかすことになりませんか?」とか。子どもの課題は、大人にとっては簡単な事が多いので、ついそのように感じてしまいますよね。
ですが、実際には、着替え一つとっても子どもには難しい課題なのです。
その上で、自分の身に置き換えて考えてみてください。
A:目標の営業成績には届かなかったけど、上司は積極的な姿勢を褒めてくれた。
B:自分なりに一生懸命頑張ったが、目標の営業成績には届かなかった。上司にはなぜもっと頑張らないのかと責められた。
「次も頑張りたい!」と思えるのはA Bのどちらでしたか?
■スモールステップは大人にも使える
大人に与えられる課題は、難問がいっぱいですよね。私も「家事、育児、仕事が上手く両立できない。」と何度落ち込んだことか…
でも、それも全体を評価するのではなく、
「料理は手抜きしたけど、子どもと沢山遊ぶことができた。」
「目標のタスクは終わらなかった。でも、昨日より睡眠がとれた。」
というように、もっと小さな項目、小さなステップで考えられたら、気持ちが楽になります。
親は子どものために自分を犠牲にしがちです。ですが、親のコンディションが下がると、子どものコンディションも下がってしまいます。
そのため、親も自分のワンステップを評価してあげましょう。親が元気だと、それが子どもの活力になります。
■まとめ
親も子も、高いボーダーラインは苦しくなってしまいます。ぜひ、スモールステップの考え方を取り入れて、小さな頑張りや達成をたくさん見つけてください。そうすると、焦りや不安、イライラする気持ちが小さくなっていくはずです。
※色々な方々と交流したいと思っております。ご意見やご感想など、お気軽にコメントお願いします😊
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?