大切な人が死んだからって、人は変わらない―映画『凪待ち』
その男は高校を卒業してすぐ、大企業に入社した。
周囲が大学卒の優秀なやつらばかりで、負けるもんかと、人の一倍仕事をした。稼いだお金の多くは田舎に残った母に仕送りした。
しばらくして男は結婚した。二人の子供を授かり、家族を養うために今まで以上に仕事をした。手のかかる小さな息子二人を妻に任せ、休みもなくひたすらに働いた。自分自身が小さい頃にお金で苦労したから、息子たちにはお金で苦労をさせたくなかった。
家のことは全て妻に任せ、朝から晩まで働いた。完全にワーカホリックだった。