エモとはまた違うエモ

史上最強にくそつまらんデートだった。

高校生の頃に付き合っていた因縁の元彼と4年ぶりにちゃんと会った。
彼とは中学生の頃からの知り合いで、ずっと惹かれあったり離れたりの関係だった。
ちゃんと付き合ったのは高校の頃で、一年半くらい続いたっけな?
最後のデートが散々で、雨の中号泣したことをめちゃくちゃ覚えている。

ずっと、なぜか彼に執着していたし、わたしも執着されていたんだと思う。それはさっき会うまでもそうで、もう好きではないけど今までの好きだった人とはひとあじ違う、そういう風にカテゴライズしていたんだろうきっと。

そして再会したわけだけど、好きだった気持ちを一つも思い出せなくて、びっくりしている。朝あんなにドキドキしながら化粧したのに。会ったらさっぱりときめかなくて、むしろ普通の男友達と会った方が楽しいわ!てくらい。
彼がすごく変わったわけでなく(まあ服装とかがウェイウェイしててしんどいとはとはおもったけど中身はそのままだし)、わたしもすごく変わったわけでもない(ただ話し言葉のイントネーションが変わったのと化粧うまくなった?くらいらしい)。

人と並んで歩くのが好きで、彼のことを良い意味で思い出す時には二人でかんかん照りの難波をお気に入りのワンピース着て一緒に歩いたことを思い出すのだけど、さっき並んで歩きながら、あれ、なんでこの人好きになったんだろう、とずっと考えてた。それくらい彼はなんてことない普通の人で、もう全然わたしにとって特別な人でないことがわかった。なんなら話してる間に苦手だなあと思うこともしばしばあって、あれ?あれれ?好きの気持ちは??とはてながいっぱいだった。

そういえば彼のことを思い出すたびに、最初はきっとそうではなかったのだろうけど、いつしか彼自身より彼といた空気感を思い出すようになっていたことを自覚した。その時点で彼自身のことは正直もう見えていなかったのだろう。つなぎたかったけどつながなかった手とか、それに対する気持ちとか、揺れる服と店先ののれんとか、そんな事ばかり思い出す。彼のその時の声や顔は全然覚えていなかったらしい。そのことがなんだかショックだった。

もう互いにとって互いは本当に小さな存在になっていて、もうただの過去の人で、幻想の中の彼だけが勝手にどんどん、膨らんでいってたらしい。ちゃんとここで割ってしまえてよかった。

もう本当に吹っ切れました、ありがとう。わたしはわたしの今好きな人と幸せになるよ。

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