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移職住=ワーケーション

始まりはハワイ?

ヤシの木陰のベンチに座って、心地良い風を感じながら、ハワイの飛行場に降り立ってから一度もくしゃみをしていないことに気づき、頰が緩んだ。時は某年3月。花粉症に苦しんでいた昨日までがまるで嘘のようだ。すうっと鼻から息をするだけで、なんて幸せなんだろうと身体中が喜びで満たされる。このままずっとここにいられたらなぁ。

ハワイに限らず、色々なところでそう思ったものだ。しかし休暇には終わりがやってきて、元の生活に戻って行く。儚い恋は終わりを迎える。

在宅勤務

コロナで通訳業界は大きな影響を受けた。そもそも外国人が来日できないのであるから当然だ。それでも徐々にオンラインでの通訳が広まり、自宅で通訳をするようになった。翻訳の需要も高まり、昨年の夏頃から急に忙しくなってきた。

自宅で仕事をしながら、これならどこでもできるのではないか、という思いが強くなり、「そうだ、京都へ行こう。」のノリでワーケーションを試してみることにした。いつもの年なら繁忙期で紅葉を楽しむ旅など夢のまた夢だったから、そうだ、この機会に秋を堪能しよう! まずは1ヶ月やってみよう! そう思って実行したのが2020年10月のことだ。

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素晴らしい眺め

そしてこの写真の家に滞在し、また思ってしまったのだ。ずっとここにいられたなぁと。馬が近い。朝、放牧された馬が仕事部屋の脇を走って行く。息遣いも蹄の音も聞こえる。昼になれば、キラキラと輝く海を背に馬が草を食んでいる。夕方になると、夕日が海に静かに、ドラマチックなのに本当に音もなく沈んで行く。仕事の合間に顔を上げてみるたびに、幸せを感じた。この景色を見ながら仕事がしたい、季節の移り変わりを1年でいい、見ていたい、そう強く思って東京に戻った。

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どこでもドア

帰宅がまた不思議な感覚だった。まるでドラえもんのどこでもドアで帰還したかのように、タイムマシンで戻ってきたように同じ仕事の続きをしていた。彼の地で過ごしたことがあったような無いような。休暇が終わった、さぁ明日から仕事だ、という切れ目がないし、失恋の痛手はなく、むしろまた行かれる、また会える(誰に会うんだ? →馬たち!)としか思わなかった。これはいいぞと思った。どこで仕事をしても支障がないということは、どこで仕事をしても良いし、すぐに戻って来る必要もない。コロナ禍の思わぬ展開、発想だった。なんかワクワクしてきた。

あとは何がしたいか

ワーケーションは、職を変えずに生活の場とともに移すだけでいい。今の仕事が好きな場合、移住となると重い決断になるけれど、仕事を変えなくて良いなら、ずっと気持ちが楽になる。あとは何をしたいか。ワーケーション(work+vacation)のvacation、休暇というか、お楽しみの部分。わたしの場合はそれが馬であり乗馬だった。

それと眺めかな。毎日在宅勤務をしていると、昼夜眺めが変わらない。浦河のこの家で、仕事の手を休めてふと目にする窓越しの景色に癒された。海は天気や時間帯によって表情が変わるし、そこに馬が通ったり、いなくなっていたり、その変化、意外性が良いんだと思う。決めた! もっと長く行こう。

ということで、長期ワーケーションを始めました。




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