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ベビイさんと1歳半健診の話

ベビイさんの1歳半健診が終わった。

当日、やんちゃが加速している今のベビイさんは待ち時間をちゃんと待てるのか、部屋から走って出て行きやしないかと不安に思い、絵本を何冊かとジュースをカバンに入れ、ハーネスリュックも用意して参戦したのだが、拍子抜けするくらいベビイさんは動かなかった。というより、病院ではないので泣き叫ぶことはしないものの、異様な空気を察知したのか固まってしまったのだ。膝の上から頑なに降りたがらず、私にしがみつき、気休めにと勧めた絵本も拒否し、緊張からかいつもあまり飲まないお茶をがぶ飲みしていた。

そんな調子で検査ができるのかというともちろんできず、保健師さんに通された検査ブースでも椅子に座るどころか私の膝から降りず、「お前誰やねん名前言うてみいなんで僕の名前を知っとるんや」と言わんばかりの目で苦笑いする保健師さんを睨みつけているばかりで、積み木も指差し課題もできる雰囲気ではなかったため早々に切り上げられた。その割に問診票には私が落ち着きがないと書いていたため、

「家では動いてますか…??」

と疑われてしまい、動きます話します積み木も指差しも家ではするんですというかもううるさいんですやんちゃが過ぎるんです…と訴えたがあまり信じてもらえなかった。ひどい。

その後も待ち合いブースでちょっと落ち着いたと思ったら違う部屋でやれ歯を見せろ、戻って待ったら今度はおむつ1枚にひん剥かれてかかりつけの先生(これはたまたま。変なところで引きが強いのがベビイさんらしいというか私もその気があるというか…)に身体を触られて、ベビイさんはこの世の終わりが来たかのごとく泣き叫び続けた。待ち合いでは保育園で一緒のお友達もたまたま健診を受けに来ており、お友達と一緒の時は多少落ち着いていたのだがあとは散々でもうダメかなぁと思っていたら、心理の先生に個室に通された。


個室にはベビイさんの好きなものが並んでいた。

色とりどりのコップのおもちゃ、新幹線、赤いミニカー、動物が出てくる絵本。どれもベビイさんが好きなものだ。さっきとはうって変わってさっと椅子に座ってコップで遊び始めると、先生から前回の発達検査以降の様子と今日の状況を聞かれた。言葉がお盆以降今までよりハイスピードで数が増えてきたこと、やんちゃはひどいこと、発達への不安感は変わらずあること、今日は固まってしまって検査はできなかった、家ではするけどあの様子ではダメだと思う…と話していたら、ベビイさんは絵本の猫を指差して「にゃーにゃー!」としゃべってくれた。そう、それをさっきやって欲しかったのよママは。

心理の先生はそうね、そうよね…と私の話を聞いてくれて、短時間のあれだけどね、と以下のアドバイスをくれた。

・多動の傾向が強い場合、今この時間でも部屋から飛び出したり、机にあるもの以外のおもちゃを探して部屋を荒らすことが多いが、椅子に座って黙々と遊べているので多動はそこまで考えられないように思う。

・指差し課題や積み木課題はその場でできない子はそれなりにいる。家や保育園などでできていればOK。今も絵本を指差して話しているしできてますよ、大丈夫。

・1歳半健診が行われる1歳6ヶ月〜8ヶ月くらいの発語のめやすは5〜6語。今25〜30語くらい話しているし、たまにでも2語文が出ているのなら問題ない。男の子の場合は話せない子も多いけど問題ないケースが多いのでそこまで神経質にならなくても良い。

・ただ、何を言われても心配なのは心配だと思うので、希望すれば今後も継続して発達相談は可能。発達検査はある程度間をおかないと子どもが覚えてしまうので、もし次やるなら2歳の誕生日を過ぎたあたりを目安に、半年に1回くらいのペースが良い。


心理の先生と話した後はベビイさんも少し吹っ切れたのか、とことこ会場を歩き回り、保育園のお友達とタッチし、ブースのあちこちにいるアンパンマンを見つけて回っていた。そうこうしているうちに担当の保健師さんが声をかけてくれ、今日はどうでしたか、ベビイちゃんは積み木できた?と聞かれた。できなかったと言うとじゃあ今元気そうだしやりましょう!となんとその場で積み木を出してくれた。よく見るとブースや通路のあちこちで積み木やら指差しをやっている子がいる。あくまで私が住んでいるところの話ではあるが、当日中のリベンジ制度があるらしい。何でもありである。

ベビイさんは積み木を3つほど積み上げては壊し、お片付けは進んで全部してくれた。指差しはネットの記事などでワンワンとプープーくらいしか聞かれないかとタカを括っていたら、6つある絵全部を指差せと言われ、親の方が面食らってしまった。ベビイさんは魚は不思議そうにしてできず、靴は自分の足の甲を叩いてアピールして終わったが、残り4つは答えてくれた。保健師さんも靴は理解しており、本人なりにこうだよね?と伝える意欲があるので大丈夫ですよーと言ってくれた。特に問題ないし順調ですね、ベビイちゃんまた日焼けしましたねと言われ、ベビイさんはようやくエンジンが温まったのかもう終わったなら歩かせろと歩き出す始末である。うん、あと3時間早くエンジン温めて欲しかったのママ…。


さて、このようにどうにかこうにかベビイさんの1歳半健診が幕を閉じたのだが、この1歳半健診には並々ならぬ思いがあった。

ベビイさんが生まれて1年8か月、彼の発達が不安になりだして1年半あまりが経つだろうか。様々な相談機関に相談して、その都度言われてきたのが「1歳半健診を待ちましょう」だった。

とりあえずこの山を越すことができれば、この不安は多少解消されるかもしれないという思いと、これでダメだったら2人で死のうというある種の決意をずっと持ち続けていた。今健診が終わって「より詳しく発達障害かどうか分かるには3歳健診を待ちましょう」と言われている部分もあるので余命宣告が先延ばしにされている部分は否めないのだが、首の皮一枚でつながったとこれは見ても良いのだろうか。

これからも育児は続く。

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