Fnaticの辛い冬と春に向けて

League of legendsのヨーロッパシーンを黎明期から牽引してきた古豪チームのFnaticが2勝7敗、9位でWinterシーズンを終えた。
EU LCSからLECにリブランドされた頃から、頂点は遠ざかり歯痒い思いを
してきたチームではあるが、今期は更に苦しみチームヒストリーで初めて
プレイオフを逃した形である。

ヨーロッパシーンを見続けてたファンの中には、ロースター発表時に
不安を感じていた人もいただろうが、ここまで低迷すると予想できた人は
少ないだろう。

なぜここまで苦しんだのか。シーズン中に修正は不可能だったのか。
Springの新ロースターに期待して良いのか。

一ファンとして、彼らへの愛憎入り混じった思いを何かにぶつけたくなり
こんなものを書くに至ったわけである。
拙い文章であるが、お目こぼしいただければ幸いである。

また、当記事においてメタや戦術などについて記述したものは筆者の主観、認識に基づくものであるため、より正しい知識をお持ちの方が間違いに
気づいた場合はtwitter等でご指摘いただけると嬉しい。

メンバー紹介

まずはWinterシーズンのメンバーについて軽く触れていく。

ゲームチームの宣材と言えば腕組み Yossyさんのゲーミング腕組み写真収集は必見。

左から順番に
Wunder…G2で2019MSI優勝を経験したベテランtop
Razrock…2020springでRookie of Split受賞のアグレッシブjg
Humanoid…2021Mad Lions春夏連覇時の安定感のあるmid
Rekkles…EUを象徴するadc。浮気してからfnaticに戻る癖がある
Rhuckz…昨年worldでhylisangの代打を数試合務めた。下部リーグの経験豊富

御覧の通り、Rhuckz以外LECで結果を残してきた選手が揃っている。
一見すると強そうなチームであるし、実際軌道修正を行えれば
強いチームになる可能性はあった。
なぜそうならなかったのか?

問題点

Winterシーズンの特殊性

チームの問題点に入る前に、今回行われた冬シーズンについて説明する。

今年からLECはリーグ戦の制度を変え、昨年までのSpringシーズンであった
開幕からMSIまでの期間を冬と春の二つのシーズンに分けた。

そしてWinterシーズンと銘打っているが、各チーム総当たりで1戦ずつ行う
所謂シングルラウンドロビン3週間で行った結果で下位2チームが脱落、
残りでダブルエリミネーションが始まるという短期決戦なルールであった。

13.1パッチへの準備

上記の事情により、パッチはシングルラウンドロビンが終わるまでは
13.1で固定されたのである。

13.1がライブサーバーに来たのは1月10日、LEC Winterシーズン開幕が
1月22日。プレシーズンからスクリムは各チームしていたではあろうが
準備期間としては当然短く、3週間という短さからシーズン中の修正も
例年より難しいシーズンであった。
つまり、用意できた戦術がメタに適していなかった場合大きな負債を
背負った状態
の試合になるわけである。

このパッチはルシアン、ナミ、ユーミ、ハイマーがnerfされる13.1bの
前であり、パワーのあるチャンピオンがbotレーンに比較的偏っていた。

特に強力なシナジーを発揮するペアと
レーンでのパワーを十分に持ちつつチームファイトでも活躍できるチャンピオン

しかし、fnaticの選択した戦術はこれらのチャンピオンを軸にするのではなく
BANすること
であったのだ。上記キャラ群の中で使用したのはヴァルス4回を筆頭に、ユーミ2回、アッシュ2回、ゼリ1回である。ファーストピック権のあるブルーサイドですらルシアン、ケイト、ハイマーをBANする試合が多かったこと、空いてもピックすることがなかったキャラ数を見るに
チーム方針として使用する予定はなかったのであろう。

結果として、botのレーン主導権を手放す展開が多くなってしまった。

13.1パッチへのアジャスト

ここから、短い期間でメタが進むのがlolというゲームの面白いところである。第二週あたりからCCの強いタンクサポを小規模戦の強いjgに合わせてbotサイドリバーの主導権を取りに行くチームも増え始めた。
上手く対応されたときのリスクも高いが、低レベル時にオールインしてbotレーンの勝ちを狙うチームも増えてきた。
トップメタに対抗できる戦術で、勝ち筋を広げようと試行錯誤していたわけである。

当然fnaticもノーチラスやレオナを使い始めた。Rhuckzのピックプールとも
マッチしているため、この波に乗らない手はないであろう。

しかし、運用方法は全く違った
レーンの勝ちも小規模戦の勝ちもbotサイドで狙わなかったのだ
チャンピオンメタがチームに寄って来たのに、戦術はまたもやメタとは
反対の方向を選んだわけである。

勝ち筋の作り方…2021年G2の悪夢

こうなると、当然ジャングラーの時間はtop、midに割くしかない。
しかし、Wunderはリソースを貰ってキャリーするタイプのtopレーナーではなく、安全&集団戦重視でレーンをプレイすることが多かった。15分時点でのゴールド差も-766でワースト1位、ソロキルもLECtopレーナーで唯一の0である。つまりtopサイドでもレーン、小規模戦の勝ちを狙わなかったのだ。

これは、2021年のG2で起きた問題と全く一緒なのである。Jankosは
midにしかリソースを割けないと2021シーズンを振り返っていたが
winterシーズンのfnaticにも同じことが起こってしまったのだ。
Wunder-Rekklesのラインは当時のG2と同じメンバーではありシーズン前から心配されていた要素であったが、完璧に再現する結果になった。

そして、長く染みついたプレイスタイルをプロレベルの試合で急に変更するのは難しかったのであろう。結局Winterシーズン期間では、この問題は解決しなかった。

こうした問題が重なってしまい、結果として相手に依存しない勝ち筋は
・mid-jgでスノーボール
・装備が揃うまで耐えて集団戦で勝利
の二つだけになってしまったのだ。

結果、ドラゴン取得率とファーストタワー取得率、ヘラルド取得率が
10チーム中9位、15分時点でのゴールド差は9位のHereticsの-1132から
大きく離れて-2375で最下位
スノーボール寄りのメタであまりにも厳しいスタッツである。

これが9位になってしまった要因である。

最終戦の中で見えた彼らのもがき

そんな状態の中でも、彼らのスタイルを維持しつつ勝ちを目指したのが
最終戦SKとの試合であった。

試合を見ていただければわかるが、オブジェクトはすべて直前の戦闘で不利を背負い撤退気味で、ドラゴンソウルにバロンまで取られている。
それでも、ゴールド差は最低限ですませてスケールするチャンピオン達でひっくり返そうという意思を感じる試合であった。

これはメタとは逆行しているが、自分たちのプレイスタイルを維持したまま出来る最大限をしようとトライしたのではないかと思う。
アグレッシブに行きたいRazrockとHumanoidもこの試合だけはひたすら我慢しつづけるという方針に合わせているようであった。結果として負けではあったが、Winterシーズンの試合で最も統一感がある試合であった。

個々人の細かいミスの多さは目を瞑るとしよう。

Springに向けて

fnaticは3月3日top、supのメンバーチェンジ発表をした。

この二人はFnatic TQというアカデミーチームから昇格という形である。
topのOscarininは19歳という若手であり、数試合アカデミーのvodをチェックした印象ではアグレッシブに行くスタイルのようだ。supのAdvienneに
ついてはレンジサポートのプールも広いプレイヤーで、EXCELでLECプレイ経験もある。

筆者としては、冬のリベンジに燃えてチャレンジしていくベテラン達の姿を
見たかった気持ちが強いので残念な気持ちもあるが、スタッツ的にも
チーム貢献的にも良い点があまりなかったWunderとRhuckzの交代は仕方がないことである。プロの世界はやはり厳しい。

また、コーチも変更となる。これらの変更がチームにとって吉と出るか
凶と出るか。最初の試合で大まかな雰囲気はわかるだろう。
日本時間で3月12日の午前2時から対Excel戦、良い試合を期待したい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?