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本当は、今の状況がもっと続かないかな?という悪魔のささやき

シン・ゴジラをアマゾンプライムで再度観たので(劇場でも観ました)、今回の緊急事態宣言にかけて、少し似ているな、と思ったことをこちらに書きます。

私がシン・ゴジラを見たときに思ったことは、「本当は明日にでもシン・ゴジラに自分が出社する会社を壊してもらいたいんだな。」ということでした。

5月6日の緊急事態延期が濃厚だが決まってなはいない中

「延長して欲しいな」と思っている人々が少なからずいる、という事実があると思うんです。

シン・ゴジラを見たときに、「日本再建への希望はすなわちリセットだ」という事を描いた映画だったのだとつくづく思いました。まさに今回のコロナは日本(もしかしたら世界を)をリセットするチャンスと捉えている人は多いでしょう。

シン・ゴジラの破壊するルートが私の知っている地域であり、自分の脚で訪れた所が多かったというのは、リアリティがありました。最初に上陸した羽田から蒲田近辺。再上陸した鎌倉か、東京都心への進出をかけた自衛隊との白熱の攻防を描く「ムサコス」。

そして品川、丸の内という下り。一時期オフィスは天王洲(ほぼ品川)、前職の場所が銀座一丁目(ほぼ丸の内)といったリアリティが、そのゴジラデストロイのリアルさをより身近にしたものです。

平成〜令和と続いた現代における危機感に関するリアリティの欠如

これは、もちろん311など大きな災難を経験している日本なので、明日布団、もしくはベッドから起きたら自分の出社すべき会社が木っ端微塵になっていたらと、いうある種の可能性(というか願望?)は潜在的には持っているんだなと思います。

そう、それはすなわち日本社会の行き詰まり感を、究極生命体が破壊してくれることに対しての期待感と絶望感の間を揺れる、というか、この事態にそんなことを考えることへの後ろめたさというか?

「そうか、この世がリセットされるんだ!」と思って止まない輩が、この5月6日から緊急事態宣言が解除されて、日常に戻ることへのある種の嫌悪感があるのではないかというコトなのです。

かの福島でさえ、もうかなり時間が経ち、自分ごとに捉えている人はどれだけいるでしょうか? 今なお汚染処理と、復興への道のりを描けずに、そしてチェルノブイリ化が進む一部の地域。まるでなかったかのように処理問題はただただ先送りされているだけの現状に、新たな巨大な敵が現れて、何とも言えない追い討ち感と、背徳の期待感のようなもの…。

日本は過去、何度も実にヤバイ国難から再建しています。恐らく他の国では、不可能だろうと思える再建を成し遂げてきています。

しかし、戦後の再建はあくまでも経済的再建であり、日本国民としての再建ではなかったように思えます。

リーマンショックも経済的な危機であり、日常まで影響を及ぼした印象はそんなに大きくなかったと記憶していますが、実際にはデフレスパイラルとして今なお日本に深く傷を残しています。

福島からの再建は、あくまでも日本のイチ地方が損害を被っただけです。それは日本経済に与える影響としては少なかったのかもしれません。(本当は甚大ですが、それを隠しているという意味でも経済重視の日本が垣間見えます)

シン・ゴジラでいう、連合軍の採択した熱核爆弾の投下という東京壊滅必須の作戦を跳ね除け、自国で編み出した「ヤシオリ作戦」で、なんとか切り抜けたというとラスト。

ゴジラは「神の怒り」の化身なので、それを甘んじて受け入れようとする、凍結作戦のコンセプト。怒りを駆除するのではなく、凍結(沈める)という考え。

そして、何よりゴジラが暴れ回り、破壊しまくった東京の再建への期待感。いや、もしかして首都東京は再建出来ず、首都をどこかに移転することによる、現状の東京経済一極集中への打破感...。

たしかに今回のコロナも死ぬかも知れない

最初に血液凝固剤を注入する場面、恐らく官民複合で結成された「決死の実行部隊」が、ゴジラのビームで一瞬で殲滅されるあたり。さらりと本編では描かれていますが、沢山人が死んでいること間違いなし。

話をコロナに戻します

話がシン・ゴジラにどんどん行ってしまいましたが、急に、仕事や会社がなくなったり、自分の命も無くなるかもしれない、という緊張感が決定的に足りない現代において、コロナは警笛を鳴らしてくれました。

そして、このままの自粛の日々が、いざ解除されるとなると、それを欲してしまったのです。
そう、もっとコロナが悪化しないだろうか?という悪魔のささやきです。

それはすなわち、「生きている」という実感が欲しいという裏返しなのではないでしょうか?

「本当は明日にでもシン・ゴジラ(コロナ)に自分が出社する会社(日本)を壊してもらいたい。」と思ってしまうのことが、現代社会において最大の問題なのだと庵野監督、いや、コロナは思い起こしてくれたのです。

でも、現実はコロナが社会をリセットしたのではなく、あなた自身が現実をリセットしない限り、緊急事態宣言が解除された後も、

いつもの冴えない朝がお出迎えするでしょう。

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